49本目 幼い邪神の姉の姉
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翌日の日曜日、明石探索者協会の会議室にて緊急会見が行われていた。話題は言わずもがなクトーについてである。
最近になって漸く流々に対する騒ぎが収まってきたところで投下された話題、今世界はクトーをめぐって水面下で争奪戦が繰り広げられていた。
クトーと共にいるのが流々であることから、人間に何かしらの強い影響を及ぼす力を持っているだろう事は素人でも予想がつく。
各国がその様な存在を放置するわけもなく、何とか手中に収めようとあの手この手で日本探索者協会に圧力をかけてくる。
しかし日本探索者協会からしてみれば、クトーは流々から離れることが出来ず、流々は友達から離れるのを嫌がっており、そんな流々を護が死守している。
更にこの姉妹を日本探索者協会が保護しており、クトーを手に入れるのはこの強固な三重の壁を越えなければいけない。
しかも仮に超えることが出来たとしてもクトーは力を失っていて、調べても何の成果も得られないのだから「なに無駄な努力をしてるんだ?」と呆れるしかない。
その辺りのことは各国の協会に連絡済みなのだが、特にプライドの高い国の協会は「御託はいいからさっさと寄越せ」の一点張り。
そもそも探索者協会はダイバーのまとめ役ではあるが強制権は無いので、ダイバー達に対しあくまでお願いしか出来ない立場である。
そんな日本探索者協会の態度に痺れを切らした外国の協会は無許可で流々達に交渉をし始め、当然頭を縦に振らない流々を力付くで連れて行こうとし、護に撃退されるを繰り返していた。
電話越しで何度説明をしても納得してもらえないので、もうこの場で言ってしまえば良いだろうとのクトーの言葉に丹波達探協員も同意。
もう面倒なのでぶっちゃける事にしたのである。
「──というわけでして、此方のクトーさんは日本から離れることはありません。強制するような行為も認めておりませんので、その様な行動を行った場合、彼女達は正当防衛を取ります」
丹波は向けられたカメラに向かって、言外に「死にたくないなら来るな」と伝えた。
しかし当然記者達からは無責任だという声が上がるが、そんな者は丹波の鬼のような反撃を食らうことになる。
「では貴方は、幼い女の子が大人の男達に暴力を振るわれていても抵抗してはいけないと言うのですね? 会社名と、上司の名前と、貴方の名前を答えたうえで返答をお願いします」
「え、あ、いや・・・そんなつもりは・・・」
「では、どういうつもりの質問だったのですか?」
丹波、強い。
丹波はその気迫で、アンチ記事を書こうとする記者達を次々と黙らせていった。
「か、薫お姉ちゃん、すごいっ」
「私も薫さんにだけは勝ったことがないのよね・・・」
『謎の使命感を感じるな』
会見場に居るのは何もその様な記者達ばかりではない。流々の事を英雄視する者も居れば、ダイバーではない普段の流々の特集を組もうとやって来た者も居る。
丹波はその様な記者達と積極的に会話し、流々とクトーのネガティブイメージを潰し封殺した。
「こういうのはですね、曖昧にするのが一番ダメなんです。『お前は間違ってる』ってはっきり言ったほうが、皆納得してくれるものなんですよ」
「薫お姉ちゃん、かっこいい!」
「そ、そうですか? 流々さんにそう言って貰えるなら、頑張った甲斐がありますね」
流々の尊敬の眼差しを受けた丹波は、デレデレである。
かくして、『新種のモンスター』では無く『ダンジョンを知る者』という立ち位置を得たクトーは流々と同様に配信活動及び、学会へ顔を出す事で知識人としてその存在を知られていくのであった。
◆
翌月曜日の登校中、クトーは早速胡愛に弄られていた。
「ふーん、コレが流々のパパねぇ」
『おい、娘。我をコレと呼ぶな』
「あぁ、ごめん。ところで、何で今まで喋らなかったの? バレたら不味かったの?」
『いや、寝ていただけだ』
「寝てたっ!?」
クトーは声の威厳こそ凄まじいが、外見がメンダコであるためか胡愛は特に臆すること無く接していた。
いや、指でつついたりしているので、ペットか何かだと思っているのかも知れない。
そして今日はクトーの他にもう一人、普段とは違う顔触れがあった。その人物はクトーを弄る胡愛を諌めつつ、同じ親として挨拶を交わす。
「こんな近くにいらっしゃったのに御挨拶もせず、申し訳ありませんでした。私、胡愛の母で工藤 炎樹と申しますぅ」
『善い、我も黙っておったのでな。我はクトー、いつも流々が世話になっている』
「いえいえ、此方こそぉ」
二人は性格が似ているようで、のんびりとした挨拶を交わしており、それを聞いていた流々と胡愛は嬉し恥ずかしといった様子で足が速くなる。
そして護はその様子を幸せそうに見つめるのであった。
さて、今日は何故炎樹が共に登校しているのか。それは炎樹の今日の活動先が探学だからである。
本日は学外授業で生徒達はダンジョンへ入るが、生徒のみで入った場合不測の事態に対処できないため護衛としてプロダイバーが付くことになっており、炎樹はその為に呼ばれたというわけである。
「炎樹ママ、いっしょ?」
「そうよ。同じ班かは分からないけど、一緒よぉ」
「えへへ、いっしょっ!」
炎樹と共にダンジョンへ入るのはテンタクルス騒動以来だが、あの時とは違い喜びと興奮で胸を躍らせる流々。その気持ちが抑えられないのかヒレがパタパタ、後ろではタコ足がゆらゆらと揺れている。
それに気付いた炎樹は同じようにそれを嬉しそうに見つめる護と目が合い、くすりと笑い合うのだった。
流々「ニコー♪(パタパタ)」
胡愛「すごくパタパタしてる・・・何あれ、かわいい」
流々のヒレとタコ足は、動物の尻尾的なもの
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