37本目 邪神の憂鬱
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翌日、流々は鬱々とした気持ちで登校する。
手を繋ぎ一緒に歩く護は、その様子を心配そうに見ていた。
「おはよう流々ちゃん!」
「よっ、おはようさん!」
「お、おおお、おはっ・・・ぁうう」
俯いて歩いていた為挨拶に驚き、ちゃんと挨拶を返せなかった流々は更に落ち込んだ。
「護様、流々ちゃんまだ気にしてるんですか?」
「そうみたい、気にしない様には言ったのだけれど気持ちの切り替えが出来てないみたいね。ところで、その『護様』は流石に止めて貰えないかしら?」
「あっ、ごめんなさい。ついクセで」
護は目の前の女子生徒、芦屋が自身の探索配信の視聴者なのだろう事を察した。
しかし流々が心配なうえ、視聴者に対し興味もないので話をそこで終わらせた。
隣には相変わらず沈んだ表情の流々、このまま探学に連れて行っても良いのだろうか?
少し考えた護は立ち止まり、しゃがんで流々の頬を撫でながら話しかけた。
「流々、行きたくないなら行かなくても良いわ。行きたい時に行けば良い。ただこれから先、人に嫌われることなんていくらでもあるの。全部気にしていたら生きていけないわ」
「・・・ぅん」
「だから理由もなく嫌ってくる人は無視したら良い。虐めてくる人は、二度と虐めたくなくなるほど痛めつけたら良い。自分なりの解決方法を探しなさい」
「待って、護さん。流石に痛めつけるのはダメです!」
護の予想外の言葉に、猪名川と芦屋は待ったをかけた。
当然だ、流々の反撃など受けたら死んでしまう。
「い、虐めてくる子は私達が何とかしますんで、穏便に!」
「そうそうっ、俺等が何とかするんでっ!」
「そう、なら任せるわ」
そう言うなら仕方ないと、護は溜め息をつく。
その溜め息はどういう意味の溜め息なのだろうか? 想像しただけで冷や汗が止まらない二人であった。
((こ、怖ぁああああーっ!!))
護に色々言ってはもらったが、学校へ行くことを選んだ流々は通学路を進み、教室に到着する。
あとは教室に入るだけなのだが、どうしても勇気が出ない流々は教室前で護に抱き締めて貰うことにした。
「・・・お姉ちゃん」
「ん? 良いわよ、ほら来なさい」
「うんっ!」
ぎゅっと強めに抱き締めてもらい、頭も撫でてもらう。そして5分ほど護の体温を感じ、大好きな香りを胸いっぱいに吸い込んでから、流々は名残惜しそうにゆっくりと護から離れた。
「じゃあ私も教室に行くわね。頑張るのよ、流々」
「うん、うん。いってらっしゃい・・・」
涙目で護を見送る流々、その様子を芦屋と猪名川は後ろから見守っていた。
「なぁ、次の休み時間に会えるよな?」
「・・・確かにっ! あれ、じゃあこの感動の別れは何?」
「・・・何だろうな」
流々と護の関係がよく分からなくなってきた二人であった。
教室へ入ると生徒の数はまだまばらだったが、その中には高砂の姿があり、流々が登校してきたのを知るとすぐさま近寄ってきた。
「流々ちゃん、おはよぉ! えらい早いねぇ、起きんの得意なん?」
「う、うん。わりと・・・」
芦屋以上にグイグイくるタイプである高砂に、流々はやや押され気味に答える。
その後続々と登校してくるクラスメイト達が挨拶し合う。
流々はその中から胡愛の姿を探したがチャイムが鳴っても彼女は姿を現さず、結局週末まで登校してくることはなかった。
◆
「なるほどー、仲良くなれないクラスメイトが居るんすか」
週末、久々に探索者協会へやって来た流々と護は自分たちを呼び出した職員が来るまでの間、偶然居合わせたポテ子に学校での出来事を話していた。
朝にも関わらず、ポテ子は探索に出掛ける様子がない。
『ポテ子よ、仕事は良いのか?』
「今日はお休みっす。と言うか、流々ちゃんに会えた日はお休みっす!」
『お前はそれで良いのか・・・』
ポテ子の自由っぷりにクトーも呆れ顔である、まぁタコなので表情は変わらないのだが。
「で、その胡愛ちゃんでしたっけ? それから会えなくて、それがショックで流々ちゃんはそんな感じなんすね」
「気にしない様には言っているのだけれどね、中々気持ちの整理はつかないみたい。まぁこうやって誰かの為に悩む事が出来るくらいに流々が成長しているってことだから、私としては複雑なのよ」
そう言って護は膝に座る流々を撫でる。
流々はいつもならば気持ち良さそうに目を細め、その手に頭を擦り付けに行くのだがその様子もなく、出されたお菓子に目を輝かせることも無く、ただ沈んだ表情で黙々と食べている。
いくら思い出しても自分の何が悪かったのか見当もつかない、やはり見た目の問題だろうかという結論に至るが、容姿などどうにもならないので更に落ち込む。
そんな流々の様子を見て、周りも困り果てるのだった。
「そういえば、工藤 胡愛って炎樹さんの子供さんの名前じゃなかったっすか?」
「炎樹ママの?」
流々は少し前から炎樹のことを炎樹ママと呼ぶほど仲良くなっており、当然子供が居ることも聞いていたのだが名前を聞いたことはなかった。
「そういえば苗字が一緒ね」
「ホントだ! じゃ、じゃあ炎樹ママのところ行けば胡愛ちゃんに会える?」
「んー、でも向こうが会おうとしてこないわけですし、難しいんじゃないすか?」
「あううぅ・・・」
そういえば住んでいる場所も知らないなと、二重に気落ちする流々。
だが「炎樹に聞けば胡愛の様子ぐらいは分かるのでは?」と思い至り、探協から支給されているスマホを取り出した時。
「あら、流々ちゃん元気ないわね。皆も揃って、どうしたのぉ?」
背後から朗らかな声が聞こえた。
声の主は今まさに連絡を取ろうとしていた人物、工藤 炎樹だった。
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