36本目 胡愛の憂鬱
作品に興味を持って下さり、ありがとう御座います!
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☆更新頻度と文字数について検討中です。
暫くランダムで更新するかと思います、ご迷惑をおかけしますがご了承下さいm(_ _)m
今回はだいたい2000字くらいです(普段の1/3くらい)
「何なのよアイツ、何なのよアイツ!」
工藤 胡愛は学校が終わるやいなや、クラスメイトに挨拶する事も無く教室を飛び出した。
「気に入らないっ!」
気持ちと連動するように、ツインテールが燃え上がり波打つ。
流々は胡愛の事を知らず、そして胡愛も流々に会ったのは今日が初めてではあったが、以前からある人物より流々の話を聞いていた。
「どうしてあんな奴を・・・」
走り続けた胡愛は、気持ちが収まらぬまま帰宅する。
乱暴に玄関を開けると、普段は居ない人物が出迎えた。
「おかえり、胡愛ちゃん。今日は早かったのねぇ」
「・・・ママ」
玄関横の台所から顔を覗かせているのは、鮮やかな赤い髪をした30代の女性、工藤 炎樹である。
そう、胡愛は炎樹の娘であり、胡愛が流々の事を知っていたのも炎樹から聞かされていたからであった。
「ママ、今日仕事は?」
「装備の点検でお休みよ。あら、言ってなかったかしらぁ?」
「聞いてない。私は今日、始業式だけだから午前で終わりなの」
「そうだったの。お母さん、始業式見に行けば良かったわぁ!」
「恥ずかしいから来ないで」
胡愛の突っぱねるような返答に、炎樹は寂しいような嬉しいような気持ちになり、眉をハの字にしつつ笑う。
年頃の娘は難しい、どうしても親に反抗的にしてしまうのも仕方の無いことだろう。
しかしそれでも胡愛は母親が好きである事は自覚しており、少し会話しただけでも先程までのムカムカした気持ちが薄れていくのを感じた。
「始業式といえば、胡愛ちゃん今日あの子に会ったかしらぁ?」
「あの子?」
──ドクン
胡愛は何となく嫌な予感がした。
「ほら、前に話したじゃない? 九冬 流々ちゃん、タコの足が生えた女の子よぉ! 同じ・・・には見えないんだけど、同じ年だし胡愛ちゃんと仲良くなれるんじゃないかなってママ思うのよぉ」
──ドクン、ドクン
「・・・・・・」
「可愛くて、すごく良い子なのよ。でもね今までずっと一人だったみたいだから、胡愛ちゃんにはお友達になってあげ『あんな奴、しらないっ!!』──く、胡愛ちゃんっ!?」
突然声を荒げた胡愛は、会話を打ち切り自室に駆け込んでいった。
炎樹はいったい何が起こったのか理解できず、胡愛の駆け上がっていった階段を呆然と見詰めることしか出来なかった。
「胡愛ちゃん、何かあったのかしらぁ・・・」
炎樹も母親とはいえまだ30歳、年頃の娘の気持ちを察してあげられるにはまだ若かった。
◆
「ママまで、あんな奴のこと・・・」
せっかく薄れてきた気持ちが再燃し、胡愛は苛立っていた。
しかし怒りのぶつけどころが無く、仕方無しに枕を「ぼすっぼすっ」と叩き続けている。
「良い子なんだろうなって事くらい、分かってる! 今まで大変だったんだろうなってことも、何となく分かってる! でも、気に入らないっ!!」
あれだけの大事件、ニュースにSNSとあらゆるところから情報は入り、当然胡愛もそれを見た。
大きなモンスターが人を襲うところも。
沢山の強そうなダイバーが戦っているところも。
そのダイバー達が負けたところも。
流々が皆を助けたところも。
そして──流々が沢山の大人に責められ、石を投げつけられているところも。
「違う、私はこんな事したいんじゃない・・・」
胡愛が流々の詳しい事情を知った時、自分と似ていると思った。
人間なのに人あらざる姿を得た、きっと分かりあえる事も多いだろう。酷い大人に囲まれてきた流々と友達になろう。
そう思っていた──先日までは。
「私は悪くない・・・悪いのは、あの子よ」
流々は何も悪くない、頭では分かっている。でも気持ちがついてこない。
胡愛は教室を出る時に見た流々の顔を思い出す。
「泣いてたな・・・可哀想な事したかな・・・」
流々は感情が顔に出る子だった、素直で怖がりで恥ずかしがり屋で、でも話しかけられると人形で顔を隠しながら嬉しそうに笑っていた。
「すごく可愛い子だった、髪?もすごく綺麗な緑で触ってみたかったな・・・」
あれだけ素直な子ならばきっと良い友達になれたはず、同じ歳で髪色だって赤と緑で並べばきっと映えるだろう。
甘いものは好きだろうか、行けるなら一緒にカフェに行くのも良い。
クレープを交換しあって食べたり、似合う服を探しに行ったり、同じ趣味を見つけるのも良いかもしれない。
そんなあり得たかもしれない未来を胡愛は想像する、だがそれはもうあり得ない。自身が拒否してしまったからだ。
「絶対・・・私は悪くない。私は認めないわ」
胡愛はそのまま布団を被り寝入る。
この気持ちをどうしたら良いのか分からず、起きたら勝手に物事が良い方向に転がることを願って。
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最後まで読んで下さり、ありがとう御座いました!
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