ユニットデータ:水上艦艇(裏)
8.砲撃レンジ
砲撃レンジとは、その艦艇の長距離砲戦能力を表しています。
砲撃レンジは0~3の数字によってランク分けされ、口径の2乗×砲クラス(in)に砲身精度の係数を掛けた値が30000以上なら3、18000以上なら2、12000以上なら1、12000未満なら0の数字が与えられています。
砲身精度の係数は以下のとおりです。
砲身精度:
条約明け:1.2
戦間期:1.1
条約以前:1
砲身精度における各項目は、主に起工時期を目処に決定してあります。
具体例を挙げますと、日本の陽炎型駆逐艦は、50(口径)×50(口径)×5(in)×1.2(砲身精度)=15000なので砲撃レンジ1を持つことになるわけです。
9.索敵範囲
索敵範囲は、その艦艇の持つ航空索敵能力を表しています。
索敵に従事する搭載航空機の能力を参考に、以下の計算式を用いて算出しました。
索敵に従事する搭載航空機が偵察機の場合:航続距離(km)/1000+1
索敵に従事する搭載航空機が偵察機以外の場合:0
航空機を搭載していないがレーダーを装備した艦艇:0
駆逐隊:0
索敵に従事する搭載航空機が偵察機の場合というのは、その航空機が艦攻や艦爆の流用、または日本の零式水偵や彩雲など純偵察用の機体であるケースを表しています。
索敵に従事する搭載航空機が偵察機以外の場合は、機体の航続距離に関わらず、索敵範囲0を与えてあります。
史実では、空母の大量就役によって消滅していった戦艦や巡洋艦などの艦載航空機ですが、本作ではいまだ現役であるものとしてデータ化しました。
特に日本海軍の戦艦・巡洋艦は、高性能な零式水偵の存在もあり、他国の同種艦艇よりも長大な索敵範囲を誇ります。
日本の航空母艦にも、大航続距離を持つ彩雲偵察機の存在を顧みて、他国の航空母艦より優れた索敵範囲を与えてあります。
なお、航空機を搭載していない艦艇であっても、対水上レーダーを搭載している場合は、索敵範囲0を与えてあります。
加えて、駆逐隊によるスクリーンの効果を顧み、駆逐隊ユニットにも索敵範囲0を与えてあります。
10.就役コスト
就役コストとは、その艦艇が出撃する際に掛かる補給の量を表しています。
就役コストは、艦艇の種類により以下の数字を与えてあります。
戦艦:12
大型巡洋艦:9
ポケット戦艦:6
大型空母:12
中型空母:9
軽空母:6
護衛空母:3
重巡:3
大型軽巡:3
軽巡:2
小型巡洋艦:1
特殊巡洋艦:6
艦隊駆逐艦:3
二線級駆逐艦:2
護衛艦:1
敷設艦:3
掃海艇:1
11.艦種記号+防御修正
艦種記号は、以下のように定めてあります。
大戦艦:BBA
戦艦:BB
巡洋戦艦:BC
ポケット戦艦:PB
空母(ジェット機運用可能):CVA
空母:CV
軽空母:CVL
護衛空母:CVE
重巡:CA
軽巡:CL
駆逐艦:DD
護衛艦:DE
敷設艦:CM
掃海艇:MS
商船:AK
給油艦:AO
工作艦:AR
魚雷艇:PT
仮装巡洋艦:HK
また防御修正は、艦艇の持つ耐久力を6で割った数字の端数切り捨てを与えてあります。
防御修正は、戦闘時における追加損害の発生に影響を及ぼします。
12.雷撃力
雷撃力は、使用魚雷の炸薬量×炸薬係数×射線数/15+1に以下の性能修正を加えた数字で求めています。
次発装填装置:+1
無航跡:+1
磁気信管:+1
日航空魚雷:+0.5
ただし、算出された数字が1.75未満だった場合は、四捨五入せず1の数字を与えてあります。
具体例を挙げます。
日本の陽炎型駆逐艦は、炸薬量780kgの93式3型魚雷を搭載していますので、7.8(炸薬量)×1.3(炸薬係数)×8(射線数)/15+1(無航跡)=6.408+1を四捨五入した7を雷撃力として保有しています。
ちなみに炸薬係数は、TNTを1として、日本とドイツ、イタリアに1.3、イギリスと南部連合に1.6を与えてあります。
イギリスと南部連合のそれは、いわゆるトーペックス炸薬の効果です。
じゃあ日英同盟を構成している日本がトーペックスを採用していないのは何故かというと、おそらく日本海軍は、イギリスから技術供与されたとしてもトーペックス炸薬の不安定性(つまり誘爆のしやすさ)を理由に採用を忌避したのではないかと考えたからです。
同じように、本作品の合衆国もトーペックス類似のRDX炸薬を使用していません。
これは、日本と同じく、戦時下にない合衆国が取り扱いに注意を要するRDX系の使用を躊躇ったからだと考えてください。
もし自国海軍の艦艇が誘爆事故によって沈没するような事態が起きれば、合衆国議会は確実に大問題として取り上げ、海軍当局を突き上げるでしょうから。
史実の日本海軍でさえ、水雷艇友鶴の転覆事故やら第四艦隊事件やらで大騒動となったのです。
議会がいろいろと口出ししてくる合衆国なら、それ以上のことになることは疑う余地もありません。
ここだけの話、史実の合衆国海軍がコブラ台風で大損害を出した時、あれが戦時下でなかったら太平洋艦隊司令長官と艦船造修局長官のクビがあっさり飛んだと思います。
余談ですが、日本帝国海軍がRDX系=トーペックス系炸薬を作れなかったわけではありません。
というのも、日本陸軍はこのRDX系炸薬を大規模に使用しているからです。
にもかかわらず水中爆発力に富むRDX系=トーペックス系炸薬を日本海軍(というか、イギリスと南部連合以外の海軍)が採用しなかったのは、先にも書いたとおり「RDX系=トーペックス系炸薬が誘爆しやすいから」です。
日本海軍が魚雷用に採用した97式炸薬は、TNTと比べ水中爆発力に勝る一方で安定性にも長けた(少なくとも、機銃弾の命中程度では誘爆しない)優秀な炸薬でした。
ドイツが採用した魚雷用炸薬も同じもので(そもそも97式炸薬自体がドイツからの技術供与により開発されています)、ドイツ海軍も誘爆しやすいRDX系=トーペックス系炸薬に興味を示さなかったことは注目すべき類似点かも知れません。
正直な話、史実のイギリス海軍があんな危険な爆薬をよくも採用したものだと感心します。
もっとも、ユトランド沖海戦でイギリス巡洋戦艦が次々と爆沈した理由も杜撰な装薬管理にあったそうなので、誘爆に関する脇の甘さはイギリス海軍の伝統なのかも知れません。
なお無航跡魚雷に関しては、日本の酸素魚雷のみならず、電池式魚雷や合衆国のNAVOL魚雷も含んでいます。
NAVOL魚雷とは過酸化水素を用いた内燃システムで、ドイツのヴァルター機関みたいなものだと思ってください。
NAVOL魚雷は炸薬量を除けば性能面で酸素魚雷に匹敵しているので、本作での合衆国駆逐艦(射線数も多いので)は日本の艦隊駆逐艦に準じる程度の雷撃力を誇っています。
13.対潜力
対潜力は、搭載爆雷数/(爆雷投射数×1.5)の平方根×(爆雷投射数×1.5)×炸薬係数/10の四捨五で導いてあります。
炸薬係数は、魚雷のものと同じです。
爆雷投射数は、爆雷投射機によるもののみを計算し、投下台や投下軌条によるものは加えていません(計算式の×1.5の部分がそれに当たります)。
この数字に次の修正を加えたものが、最終的な対潜力です。
※DD・DE・FFのみ
対潜迫撃砲を装備している場合
ヘッジホッグ×1:+3
ヘッジホッグ×2:+5
スキッド×1:+5×炸薬係数
スキッド×2:+7×炸薬係数
米:+2
英:+1
CVE:0
対潜迫撃砲とは、史実の前方投射対潜兵器のことを表しています。
両者の違いは、ソナーと連動していないのがヘッジホッグで連動しているのがスキッドです。
史実と異なり、日本海軍の一部対潜艦艇はヘッジホッグを装備していることとしてデータを設定してあります。
代わりに、USAの艦艇は、史実では装備していたヘッジホッグを備えていません。
これは、本作のUSA海軍が守るべき海上輸送路を持っていないため、こうした海上護衛装備に掛ける開発予算が削られていることを原因とします。
とはいえ、合衆国の汎用駆逐艦は優秀なソナーと豊富な爆雷兵装とを有し艦艇数も非常にたくさんであるため、仮に戦争になったとしても特に問題とはならないでしょう。
14.航続距離
航続距離は、出撃したあと海上にいられるターン数を表したもので、カタログデータの航続距離(nm)/1000で導き出しています。
端数は0.7以上で切り上げし、16+の奇数は-1することで調整してあります。
これは実際の航続距離とは異なる数字となるのですが、あくまでもゲーム基準として捉えるなら、艦艇同士の比率としては相応なものとなります。
なお、魚雷艇など一部の艦艇は航続距離を丸数字で記載してあります。
これは、その艦艇が丸数字のフェイズ数(1ターン=6フェイズ)しか海上にいられないことを表しています。