獄門島姉妹
97話 獄門島姉妹
「獄門島さん、今日は掃除当番だよ」
「ゴメン、部活あるから」
「行っちゃたよ、いくら県で1位になったからって当番サボるのはどうなの」
「仕方ないよ。あんたみたいに帰宅部で、フラフラしてんのとは違うんだ。あの子は」
「だからって……」
「あのぉ……」
「あら、2組の獄門島さん?」
「姉の代わりにわたしが掃除します」
「ええっあんたは隣の組じゃん。いいよ」
「気を使わなくてもいいわよ。あたしら二人でするから……」
すまなそうな顔して2組の獄門島さんは、帰った。
「妹の綾ちゃんは真面目だよね……まあ、そのぶん面白くない子なのよね……」
「双子だからって、なんでも同じじゃないのよ、ウチの弟も双子なんだけど、兄はおっとりしてて弟は、お喋りでうるさいの」
「え、ミエの弟って双子だったの。似てないわよね」
「ウチのは一卵性じゃないから、あまり似てないの。似てない双子だってたくさん居るのよ。似てるコがテレビとか出て、チヤホヤされてんのよ」
合気道部、初代部長で全国制覇を成し遂げた獄門島愛が、あたしのお姉ちゃん。
歳が離れてるから同期だった部員は居ないけど、顧問の玉蟲先生が当時も顧問してた。
はじめは同じ部活はプレッシャーになるから、やる気なかったけど。
入学式の後で、幼なじみのシンペイが。
「宮も、合気道やるんだろ。一緒に入ろう合気道部。愛ネエも入ってたんだよな。とーちゃんに聞いたんだ愛ネエは全国制覇して、日本一になったんだよな」
「そーゆーこと、言われそうでイヤなのよね」
「そうか、わかるよ。オレの兄貴も野球部でキャプテンで二刀流でさぁもう高校からスカウトが来てんだよ。そんなトコに入ったらナニ言われるやらオレ野球ヘタだし。格闘技の方が好きだし」
「じゃ空手部か柔道部は?」
「なんでか、この学校は両方ない。合気道部は、愛ネエの時代から顧問が変わらず居るから……。愛ネエの同期も居ないし比べられることもないから一緒にやろうぜ!」
なんて、小さい頃から仲が良い隣の唐沢新平と入部。
実はシンペイをちょっと好きなんだ。あたし。
顧問の玉蟲先生に。
「さすが、獄門島愛の妹だ。スジが良いし、技のキレも良い、お前なら世界にもいける!」
などと、おだてられ一年で県大会を制覇。さすがに一年。全国では10位。
お姉ちゃんが全国制覇したのは三年生の時。
お姉ちゃんは、高校では合気道をやめて、テコンドーをはじめた。
なぜか、大会には一年生のときに、一度だけ出て全国優勝したのに大きな試合は一度だけ。
高校を卒業するとテコンドー界からも消えた。
ケガしたって話は聞いたけど。なんでやめたかは知らない。
今、東侠でひとり暮らしのお姉ちゃんは何をしているのやら。
なぜか、家族の誰も知らない。
知ろうともしてない不思議な家族だ。
部活がおわり、家に帰ると。
「お帰りミヤちゃん」
あたしたちは双子だから、姉とか妹は、なしにしようと、名前で呼んでる。一応妹のアヤ。
「あんた、掃除当番代わりにやると、うちのクラスへ来たってミエが言ってたんだけど、気をつかわなくていいよ。担任に言ってあるんだから」
「ミヤちゃんも、お姉ちゃんみたいに全国制覇目指すの……」
「はじめはさ、あたしなんてとか思ってたけどシンペイや玉蟲先生が、おまえならやれるとか言うし。あたしホメられるとのびるタイプだからさ、県大会制覇したから、いけそうな気がしてんの。お姉ちゃんもそういうタイプだったって玉蟲先生が……。アヤもやらない? まだおそくないぞ」
「わたしは、ダメだよ。ミヤちゃんが運動神経とか、みんな持っていっちゃたもの」
「そんなことないよ。気持ちの問題だアヤ、あんたも愛ネエと同じ血が流れてんだよ。ヤル気出せば」
「ミヤちゃん知ってる? わたし、東侠へ出る前にお姉ちゃんに聞いたんだ。なんで合気道をやめたのか」
「おーい。二人とも、何やってんの。なに玄関で長話? 夕食出来たわよ、早くカバン置いて着替えてらっしゃい!」
「はーいママ!」
つづく




