呪われたフィギュア
94話 呪われたフィギュア
田守くんも知っていた。呪われたフィギュア。
なんでも、初期発売されたセツラの最終話バージョンのスーツを着たセツラのフィギュアを手に入れた者に不幸があったので都市伝説化したと。
不幸とは、交通事故にあい下半身不随になった者や勤めていた会社が倒産して無職になったとか、家族から死人が出たとか、この手の話にはよくある噂話で何処の誰とは、わからないのが都市伝説だ。
探せと言われても、さて何処にあるのか、そういうフィギュア。
やはりアキバかな。
等々力和泉くんへメールを送ってみた。
セツラのフィギュアとは打たなかった。ただ古いフィギュアを探してると。
速い、すぐに返信が来た。
《たしかに中古のフィギュアとかはアキバのフィギュアショップで沢山出まわってますが。普通の街のリサイクルショップや大手古書店などでもあつかっています。なにか、探してるんでしたらご協力しますよ。ネットでも検索すれば出てきます》
なるほど、ネットねぇ。でも、ネットで簡単に見つけられるなら探偵社に依頼なんかしないわよね。
どうしよう。彼に協力を頼もうか。
いや、やめておこう。
呪いを信じるわけじゃないが、子供を巻き込むのは、よくない。
オタクカルチャーといえばアキバだけではない。
平日で、すいている中乃ブロードウェイに来た。
ココにその手の老舗店があるので、中を覗いた。
やはり、古い作品なので、なかなか見つからない。
何軒かあるうちの一番大きくて古い某ショップで。
「あ、あった!」
が、コレは、田守くんが持ってる制服バージョンだ。
わっ高っ。コレが八千円。コレって中古だよね。
「おねえさん、新風セツラのフィギュア探してるの?」
かざられたセツラのフィギュアを覗き込んでたら、声をかけてきたのは金髪で角刈りという店員だ。
「コレしかないの?」
「昨日まで戦闘スーツのヤツがあったんだけどねぇ〜」
「ソレ、最終話の?」
「そうだけど、ココにあったのは復刻版でねえ。若いお客さんだったから、なんにも知らずに買ってたよ。安いとか喜んで。おねえさんが探してるのそれ?」
「ん〜初期モノ、ちゃんと背後の線が濃いヤツ」
「そりゃ見つからないだろう多分。処分したという話は聞くが……。ウチみたいなショップじゃ無いよ」
「どういうコトです?」
多分あのせいだ。
「アレさ、呪われてるって話だ。知ってる?」
「呪われてる?!」
知ってるけど、ちょっと大げさに驚いてみた。なにか情報が聞けるかもと。
「知らないの。あの、最終話でセツラが死んだのは知ってる?」
「ええ、生命の維持が保てなくなりハジけてしまったのよね。アレ観たときはショックだったわ、なんでヒロインが死んじゃうのって」
一応、最終回だけは観ておいた。
「オレも見てて同じこと思ったよ。死ぬとは聞いていたんだが、あんな死に方するとは。で、最近の新作映画に出てなくてがっかりだよ。セツラが出ない『ライゼロ』なんて『ライゼロ』じゃないよな」
田守くんみたいなことを。
「あ、話がそれた。で、最終回が放送されたあとにスタッフから不幸が続出。監督のアンビル芳樹が死んだのは呪いのせいだと当時いろいろ言われたそうだ。オレはあの頃子供だったから信じちまったよ」
この人思ったより年なんだ。若いバイト風だけど。
「それから『ライゼロ』が、なん度かブームになって、やっぱり人気ナンバーワンのセツラのフィギュアが出て最終回のスーツ着たバージョンも売り出された。で、よっ。知ってる?」
知らないと、答える前に。
「そのフィギュアの造形師が事故で死んじまってよ、買った連中は大騒ぎだ。呪われてんじゃないかって。だから、処分っていうのは、お寺に持っていったんだよ連中……。中にはお祓いをして、家に置いている者も居るそうだけど」
「なるほど、もしかした人形供養とかしてくれる寺とかにあるかもしれないのね」
「かもな。たしかアレは今じゃ裏で取引されてるっていう話も聞くけど、持っていていいモノじゃないってよ」
「お祓いして所持してる人も居るんでしょ」
「ですがねぇ〜その連中がどうなったか……」
「どうなったんです?」
「知らないなぁ」
やはり、よくある噂話だ。
ショップには、出まわってないようね。
わたしは人形供養している神社仏閣を調べて行ってみた。
とりあえず、すぐに行ける都内から。
意外と多い。
植野のある寺に来てみた。
「供養された人形を見たいと……」
住職に頼んだら、暇だったのか境内にズラリ並べられた供養した人形やヌイグルミを見せてくれた。
毛が伸びるという日本人形か多いのが、ひと目でわかる。
あと、ヌイグルミ。それに着せかえ人形も多かった。
子供の頃によく遊んだスズちゃんやアリスちゃんもあった。
肝心のアニメキャラのフィギュアは、というと、はしっこに。
わずかに数体あった。
どれもわたしが知らない女の子たちだ。
新風セツラはないようだ。
わたしは手を合わせ。住職にお礼を言って、次のお寺に向かった。
さすがに供養となると神社は大きなトコへ行かないとない。お寺が主だ。
次は朝草方面の某お寺に。
はじめは見世物ではないと断わられたが、亡くなった母の形見と同じもの探してるなどとウソをついたら見せてくれた。
「で、どんな物をお探しですかな。お聞かせいただければすぐに、探せますよ」
「はい実は母は生前アニメの制作会社で働いていて」
「アニメの。アニメーターか、なんかで?」
「はい。で、母が仕事した作品のフィギュアを集めてました。ソレをわたしが壊してしまい」
「それなら、アニメショップへ行かれた方が、なぜ寺に?」
「それが……捜してるのは古い物で、しかも変な噂がありまして」
「変な噂のあるフィギュアですか。もしかして『ライトニングライバーZERO』の新風セツラ」
「はい、住職さん知ってるんですか」
「ええ、あの頃オタクだったもので。まさか、アレを持ってたためにお母様は……」
つづく




