仕事は……。
93話 仕事は……。
「おはよう。獄門島さん。なんだか、イズミからまた手紙をあずかった。渡してくれと。獄門島さんが、選んでくれたゲームソフトな、気に入ったようだよ。うん、助かった。ありがとう」
等々力さんに渡された手紙を見た。
メガネにバケットハットをかぶったお目々キラキラの女の子のイラスト。
コレはわたし? 完全に十代の少女だ。幼女にも見える。
と、デートの申込みが書かれてあった。
次の日曜日。アキバへ行きませんか。OKなら、下のメールアドレス宛に。
ウチの仕事は日曜祭日関係なしだし、休日はいつになるかわからない仕事だから。
と、ことわった。
せっかくの休日に中学生のオタクとアキバデートなどする気もない。
「おはようございます獄門島さん。コーヒーは?」
「おはよう。ありがとう。いただくわ」
「あと、コレ」
金田一さんが、ファイルをデスクの上に置いた。
今日は、早いわね。昨日の依頼の仕事かしら。
なになに、フィギュアを探してほしい。
人じゃなくフィギュア。
「ライトニングライバーZERO」のヒロイン新風セツラの最終回に着ていたニュースーツバージョン。
確か、「ライトニングライバー」って、20年以上前のアニメよね。わたしが子供の頃の。
そのフィギュアの資料が入ってる。写真は前と後ろの物が。
復刻版もあるので注意。以来は初期発売品。
スーツの背中のラインが色違いで初期物はハッキリしている。
社会的に話題作になったのは、わたしもよく知ってる。実は作品は見たことがないけど赤いショートカットの新風セツラは見覚えがあるキャラクターだ。
いまだにグッズも売ってる人気キャラなのね。
まえに田守くんや金田一が、この作品の世代でもないのに夢中になって話していたのを思い出した。
ん、なんだって。
このフィギュアは、キャラの不幸なエンディングもあってか呪われたフィギュアという都市伝説あり。
これまた、おかしな尾ヒレがついてるな。
「おはようございます獄門島さん、ボクになんか聞きたいコトがありそうですね」
いいトコに田守くん。
「オハッ田守くん。新風セツラ知ってるよね」
「ええ。このあいだ『ライゼロ』の新作映画が公開したばかりですね、獄門島さんも見に行くんですか。ボクは初日に……」
最後の方が小声に。
なるほど、仕事中に行ったのか。初日は金曜だから。
『ライゼロ』っていうのはファンが言ってる『ライトニングライバーZERO』のことだ。
「面白かったですよ。獄門島さんも是非。でも、やっぱりセツラが出ないライゼロなんて……でも、また、見に行くつもりです」
「なら、金田一さんを誘ってあげて」
「そうですね彼女も好きだからなぁ……」
「あのさ、新風セツラのフィギュアの話なんだけど」
「セツラのフィギュアならボク、持ってます」
「ホント、どんな?!」
「セツラのハイスクール制服バージョンです。ボクは戦闘スーツより制服姿のセツラが好きなんです」
「そうか……スーツじゃないのね」
「獄門島さんもセツラのフィギュア、欲しいんですか」
「いや、ちょっとね……」
「仕事ですね……。そういえば、セツラのスーツフィギュアには都市伝説がありましたよね。呪われた最終話スーツ」
つづく




