簡単調査か?
82話 簡単調査か?
珍しく朝、出社してすぐに社長室に呼ばれた。
室内には見慣れないおばさんが居た。
「彼女が今回の依頼を担当する社員です」
依頼人かぁこのおばさん。
「こちらは依頼人の子南様だよ獄門島くん」
「獄門島と、もうします」
依頼人のおばさんは、わたしを上から下までじっくりと眼鏡に手をかけ見た。
なんだかなぁ~嫌な感じ。
「で、社長どんな依頼内容で?」
「子南様の娘さんなんだが、ある異性と付き合っていてね。その人物について、調べてほしいそうなんだが」
え、コレはけっこう普通の仕事だ。
なんで、わたしなんだろ?
「この娘さんが……」
「大丈夫です。ウチのエースですから」
エースと、きたか。そんなの言われたの初めてだ。
「彼女で、おまかせできますか?」
「まあいいでしょうお願いしますよ。探偵さん」
依頼人という女性は、わたしに一度頭をさげ、社長室から出ていった。
「おのおばさん、調査員が女性じゃないとダメなんだって」
そばで黙っていた八ツ墓村さんが、おばさんが出ていってから言った。
「娘のプライベートを見知らぬ男に知られたくないそうだ。だから女性を指名してきたんだよ。ウチは、あと青沼くんしかいないからね。彼女今は仕事が入ってるから獄門島ちゃんを呼んだわけだ」
「あのおばさん、顔も見ないと納得しないとか言ったのよ。パソコンの画像じゃダメだって……信用ないわよね」
「なるほと、でも田守くんが調査してもバレないんじゃ」
「最初、田守くんに任せようとしたんだよ。そしたら、若い探偵が娘と間違いでもおこされたら困るとか言って。ドラマや映画の見過ぎじゃないの、あのおばさん。はじめは私が、やろうと思ったけど。あのおばさん、なんかぁ……。調査員とかまで調べそうだよね。田守くんがやってたらバレそう……」
「そんなトコに居て、秘書ぽい娘をはい、彼女が担当です。なんて出せないでしょ。八ツ墓くんは、素人だし。あの依頼人なら、そくことわったね」
「社長、こう見えて私は探偵アニメや探偵小説、映画ドラマの猛者ですよ。それに経験も……」
「あのおばさんは、そういう素人を見極める目が、あるんだろうな。だから一目実物をと、で、獄門島ちゃんを、じゃ仕事に」
「わたしみたいのが、あのおばさんの目に……」
「大丈夫だよ。獄門島ちゃんなら、こなせる仕事だから。ウチのエースだからね」
エースって、マジでいってるのか社長。
「おーい金田一ちゃん。資料まとめて獄門島ちゃんに届けて」
「あ、社長。その場でいただきます」
仕事の内容は娘の彼氏の調査と、いつもより簡単そう。
「獄門島さん、パソコンで資料作りますよ」
金田一さんが、事務室でパソコンのボードを叩きだした。
事務室での彼女の仕事、初めて見る。
金田一さんの仕事はお茶出しだけではない。でも、事務的仕事をメイド姿でするのも変だ。
子南九里歌。私立訪夢中学一年。書道部所属。
彼女の画像が。中1にしちゃ子供ぽい。
彼氏は、不明。
「え、彼氏は何処の誰かも分からないの? ソコから調べるのね」
「それで心配なんじゃないですか。親は……」
「彼氏が何処の馬の骨か、調べろってわけね。探偵の初歩ね、やはり田守くんでも」
「まあいいじゃないのたまには獄門島ちゃん」
「社長!」
社長が事務室に。
「それ、終わってからでいいからコーヒーフロート作ってね金田一ちゃん。あのソフトクリームの機械でひねり山を作るのどーもうまく出来ないんだよなぁ僕ぅ」
大あくびをしながら社長は事務室を出た。
中学一年で、彼氏か。わたしが、初めて彼氏出来たの高3だよ。
「この子、中1で、彼氏ですか……」
「金田一さんの初カレは?」
「わたしは中3です」
「その子としたの?」
今度は八ツ墓村さん。なにしに来たのよ。
「はあ……しましたけど……うまく出来なくて、その後別れたから……」
「その彼も中3?」
「はい」
「そうか、ドーテーだったのね。残念だったわね」
「いえ、べつに残念じゃ……」
「獄門島ちゃんの初カレは?」
「高3」
「おそいわね」
「奥手でしたから、それに女子校だったし」
「他の学校の子だったの?」
「大学生の家庭教師……」
「へえーなかなかドラマじゃん獄門島ちゃん。AVでも、よくあるパターンよね、で、その彼としたの」
って、八ツ墓村さん、AVをよく見てるの?
「わたしが大学合格したら、来なくなりましたから……」
「ソレ、ホントに彼氏?」
「だと、わたしは思ってます!」
「なんですか、事務室で恋ばなですか」
田守くんが、突然事務室のドアを開けて。
「え、田守さん。聞いてたんですか!」
「いや、聞いてないよ。まえ、通ったら女性の楽しそうな声が……」
だからと普通開けるかドア。
しかしコレは、いつもの田守くんの異能力か?
「聞いてないって、良かったね金田一ちゃん」
「余計なこと言わないでくださいよ、八ツ墓村さん!」
「なに、金田一さん。ボクに聞かれちゃまずいこと言ってたの」
「初めての男が田守くんならいいなぁ〜だって」
「そんなこと言ってません!」
「っていうか、獄門島さんは言いませんよね。八つ墓村さんみたいに……」
つづく




