地下鉄のロリータ3
81話 地下鉄のロリータ3
ボクは、田守との電話をきってスマホをポケットに。
「車内での電話は、いかがなものかと」
「コンニチハ病院坂ちゃん。ボク、キミに会いたくて地下鉄を乗りまわしてたんだ」
「どうしてですか。あなたとのお付き合いはキッパリと、おことわりましたでしょ」
「そうだけど、ボク……あきらめきれなくて。あの後、別れてからボクの頭の中はキミでいっぱいだった」
「はあ〜なるほど、確かにあなたの頭の中は、あたしでいっぱいね。あたしでみだらなコトを考えてたりもしてたのね」
「え! ナニを……キミボクの頭の中が見えるのか?」
「そうね、うまく波長があえばね。あなたの友人の田守くんも見えるわよ」
「そうなの……」
マジかよ~この子。超能力者?
病院坂ちゃんで夜、したのもわかっちゃたよ。
なんてこった。
「あ、でも沢山の私の中に違う顔が」
まあ、それはボクって惚れっぽいから、別の街で見かけた娘とかも。
「その無表情の黒い服の色白女は、よした方がいいわよ」
無表情の女とは、あの黒いロリータか。
「それは、目の周り黒くて……君と同じロリータファッションの……黒だけど」
「アレと出会ったのね、あぶないから。親しくなったらダメよ」
「あぶない?」
「アレは魔女だから」
「魔女ですか、この21世紀の現代に。確かにあぶない」
あの女は頭がおかしいのか、魔女だって。
「なにか、あたしの悪口言ってない」
うわぁいつ現れた。黒いロリータ!
「魔女に魔女と言って悪口かしら」
「そのあと、あぶないって。あたしはアンジェラみたいな男を食う魔女じゃありませんの」
「男を食う魔女がいるんですか?!」
「アンジェラってね、男にストロー挿してヤシの実みたいに精気を吸い取って干物みたいにしちゃうのよ超美人だけど怖いわよ」
干物女って、いるけどアレとは違うものだ。
干物男だ。
それはミイラみたいのか?
「あなたも魔女だと……?」
「あたしも、その秘法が使えたら一生若く美しいままで……あら、カオルさん。そのバッグは何処で?」
「あら、わかりました。スター・エンジェル・シスターの新作よ」
「え、昨日行ったけど……そんなのなかったわ」
「何処のお店へ? コレは大官山本店の限定品よ」
「そうかぁ昨日は妊宿店だからかぁ……。それ、黒もある?」
なんだ、この二人は仲が良いのか悪いのか? ロリータファッションの話を始めた。
ボクには、さっぱりわからない。
なんだか、ボクの存在が無視されてる。
「とにかく、最近は白があれば黒があるようよ」
「まだ、本店にあるかしら? スマホで予約入れとこ」
そんなこと、はじめたゴスロリから目を離し。
白ロリの病院坂ちゃんが。
「あ、ゴメン。忘れてたわ。あんたのこと」
「カオルさんの彼氏?」
「違うわよ、この人はあたしにフラれた……なんてぇ名前でしたっけ?」
「和戸村、和戸村猛だよぉ名前も覚えてもらえなかったのか。悲しいなぁボクは」
「あ、この人の記憶の中にテマリさんが居たわよ。あなたも知り合いじゃないの?」
ゴスロリはテマリというのか。
彼女は、ボクをしばらく見て。
「知らないわ。ワカモト?」
「和戸村です。知りませんよ、そりゃ。車内で見かけて魅力的な女性だなぁと」
「なるほど。あたしには、そんな生霊ばかり憑いてるんじゃないの。街を歩けば皆振り向くわ。あなたの記憶に残るのも当然かしら。ワカモトとかいったわね。よかったらあたしとお付き合いしませんこと」
魔女で、ちょっと怖いけどこの魅力的なゴスロリと付き合ってみたい気も。しかし、ワカモトではない。
とか、話してたら西船に停まった。
病院坂薫はボクの手をとり降りた。
黒いロリータも。
「テマリさんは、総武線でしょ。じゃあねぇ」
と、隣りの発車寸前の東西線市ヶ屋方面行きへ飛び乗った。
「テマリは、千葉の田舎だから、あと、二時間くらいかけて帰るのよ」
「あの娘、テマリっていうの。カワイイ名だね」
「鬼首村手毬、フルだと怖いのよね……。あの人に誘われたらついて行っちゃダメよ。本当に魔法の実験台にされるわよ。まあいろいろだけどね。ウサギさんに変えられたりならカワイイからいいんじゃない。でもガマとかネズミなんかも。ネズミならカワイイかな……」
かわいくないよ。
「ホントに魔女なの彼女?」
「だから、逃げて来たのよ。あなた一人なら連れて行かれたわ」
彼女そんなに恐ろしいコなのか。
「ありがとう。ボクを魔女から守ってくれたんだね。ボクを思って……」
「ホントは、あんたがホムンクルスの材料にされてもいいんだけど、後味悪いから。それから、何度あたしに告白しても同じだから、あたしを探すのはやめてね。今日だけは、市ヶ屋まで付き合ってあげる」
『和戸村とロリータちゃん』の巻 おわり
つづく




