東海林奈波
8話 東海林奈波
「下着とは、なんのことだ」
「だから、奈波の部屋の下着だけが、なくなってた。俺は奈波のパンティが狙いだった。おまえ以外考えられない!」
「確かにあの人は美人で巨乳だった、私もブラが欲しかったが……盗みなどせん!」
ブラ欲しかったのか、あんた。
真面目そうな顔して意外とあぶないヤツだな。
ラウ・カーチャン。
しかし、二人は中国人だよね。
日本語で会話してる。
「ソレはあんたに、聞かせるタメだ」
「わたしの心が、よめるの?! あんた」
「ああ、俺は仙人だからな……だが、女しか」
「変態め、だから彼女は、おまえを嫌ってたんだ。わからないのかストーカー男」
「だからさ、だから、俺を殺してくれたんだ。尸解仙になるには死なないとな。どうせ死ぬのなら、好きな女に殺されたい。わかるだろ、この気持ち」
「わからんでもないが……」
わかるの。
「だが、彼女の心は壊れた。彼女は日本に帰って自殺したんだよ」
「なに! 奈波はソレが出来なかったと」
「おまえの意図など知らない彼女は、人殺しの犯罪者になってしまったんだ……悩んでたよ……で」
そう言ってから、ラウは銃を出した。
「なんだ、ソレは。そんなモンで、俺をどーするつもりだ。俺は不死の尸解仙だぞ」
「どうかな」
ドキューン
リューの撃った弾丸が男の額に。
同時に男のサングラスが飛んで、男の瞳のない目が見えた。
「ス、こいつは仙解弾だ、私は仙界から依頼をうけて来た。今の世に仙人などいらないと!」
「不死を望んではいけないのか……俺は…俺は、ただ、ずっとイイ女を……抱いて……たか……ぐわぁああああ」
男の体がチリとなってく。そしてソコには服とサンダルとサングラスが残った。
「不死なんてイイものじゃない」
「ラウさん、東海林奈波は死んだのですか」
「ああ、でもヤツの最後を見に来ていたよ」
「ラウさん、あなたって異能力者?」
普通の探偵さんじゃ。
「おい、今銃声がしたよね」
「あ、社長……」
「銃声は、アレ。ラウさんは?!」
あの男の汚い服やサンダルも消えていた。
「社長、わたしは今……」
「どうしたの獄門島ちゃん。あ、私ね、さっき幽霊見たんだ。トイレで……スゴい美人だった」
翌日。
「あ、田守くん。 獄門島ちゃんは?」
「さあ今日はまだ見てませんけど」
「社長、獄門島さんなら屋上に行くと」
「悪いが、金田くん。呼んできて。社長室に居るから」
「社長、電話しましょうか」
「え、田守くん彼女の電話番号知ってるの。獄門島ちゃん、最近スマホ変えてるから、まえのが通じないんだ」
「え、今時珍しいですね。ワザとかなぁ。社長に教えないのは……」
某マンション。屋上。
最後の麦チョコを口の中に。
コレは朝食だ。
百均のお菓子コーナーの一袋。
好物の一つ。
ホゲホゲタラタラ ホゲタラポン
スマホの電話だ。
非通知。誰だろう。私の電話番号知ってる人間は少ない。
〘おはようございます。田守です〙
田守盛太だ。カレに番号教えたっけ?
〘社長がお呼びです。あ、私だ獄門島ちゃん。今行くからソコで待ってて〙
「ちゃんはやめて」
社長があがって来た。
ココのマンションのエレベーターは屋上まで登れる。すぐに来た。
「どうしたんです社長。わざわざ」
「あ、いや、八ツ墓村くんが見えたからね。部屋で一緒だと手が出ちゃうから」
「手だけですか……」
「まあいいじゃないの。昨日キミが話した香港の探偵」
「ラウ・カーチャンですか」
「そう、そのカーチャン。あの後、調べたんだ。そしたら彼は2年前に死んでいる」
「そんなはずは!」
アレは幽霊とかには。
「現在もラウ探偵社はやっているんだよ。従兄弟らしいんだけど。名はラウ・トーチャン。この男だ」
とパソコンの印刷機の紙を渡された。
見るとまるでハードボイルド映画の探偵のような格好をしたハゲて太ったヒゲのスーパーマリオみたいな男が写ってる。
従兄弟なのコイツ。
「ぜんぜん違う男」
「それと、八ツ墓村くんがミスって、資料に入ってた東海林奈波の写真が出てきたんだ。見てびっくりしたよ。昨日トイレで見た美人の幽霊だったんだ」
と、今頃渡されても。
八ツ墓村さんのミスって。
「なんで東海林奈波の霊がウチの会社に」
「昨日の一悶着を見に来たんじゃないの」
ラウ・カーチャンも死んでたって。
『私は仙界から依頼をうけて来た』
『不死なんてイイもんじゃない』
ラウも、もしかして尸解仙?
「あの社長、東海林奈波捜しの仕事って誰の依頼なんです」
「それは……ヒ・ミ・ツ」
『尸解仙殺し』の巻 おわり
つづく




