ワタシを見た
75話 ワタシを見た
まいったなぁ〜完全に門限やぶりだわ。
お父さん、帰ってなければいいけど。
とりあえず、玄関の鍵を開けて入った。
玄関の灯りはセンサーで、人が入れば灯る。
「ただいまぁ」
いちおう
家の人間には聞こえないであろう小声で言った。
もうお母さんは、寝たのかな?
「ふわぁ〜おかえり」
って、二階にあがる階段を降りてきたパジャマ姿の女。
だれよ、あんた?
「おそいわね。門限すぎてるわよ」
「あ、あんた……だれなのよ?」
「あ・な・た……でしょ、見たことあるでしょ」
「なんでよ、なんで、あんたがワタシなのよ……」
ワタシは、靴をぬぎ上がった。
「うそ……ワタシのわけない。でも、その顔は」
冷静になると、今のはワタシだ。
「姉さん、夜中にナニやってんの……。一人でぼそぼそと……夢遊病?」
「え、マサキ?!」
某ファーストフード店。
「で、弟が、夜中に何処へ行くつもりって。帰ってきたばかりの私に」
同じ渋屋で働く、高校の同級生だった金田一江に、お昼休みバッタリと会った。
ので、昨夜のおかしな話を昼食をとりながら聞いてもらった。
「なるほど……。あなたが、デートしてた時間に。もう一人のあんたが家に居て弟とゲームしてたと……。ふーん」
こんなバカげた話でも学生の頃、それほど親しくもなかった金田だから話せたのか?
仲のイイ友人ならバカにされて笑われたかも。
彼女が超常現象とかが好きだったのを思い出し話した。
彼女は、笑いもせずに聞いてくれた。
「同じ時間に、もう一人のあなたが存在した。しかも、ソレにあなたは会った……。ちょっとヤバいかもね」
「ヤバい……?!」
「ソレさぁ棚島ユリさん。ドッペルゲンガーだよ!」
「ど、どっ、ドペンガー?!」
「ドッペルゲンガーよ」
「ナニよ、それ」
「二重身よ。もう一人の自分……。ソノもう一人の自分を目撃すると、その人は近いウチに死ぬと聞くわ」
「それ、マジ!」
「信じる信じないは、あなたしだいってヤツね」
死ぬと、言われて。信じる信じないもって。
気にするわ。
店を出て、会社に帰ろうと歩いていたら。
「よおユリ、久しぶり」
誰かと思えば、元カレの山葉啓太。
「なんか、元気ないじゃん」
「ちょっとね……」
ワタシより背が高い啓太。
ワタシの目線には胸の文字が。
白いTシャツにはHONDAと。
「相変わらずバイク乗ってるの?」
「まあな……」
「え!」
ワタシは、思わず走っていた。
山葉啓太、彼は去年の夏にバイク事故で亡くなってる。
なんで?
『あんた、ながくないのかもね……』
金田一江の言葉が頭に。
ハアハア。
あっ、いけない。会社通り越しちゃた。
「急に逃げることないだろユリ」
目の前に啓太が!
「ほい、ユリ。久しぶり……」
って、お婆ちゃんまで!
「いや!」
ナニ、コレって。
ワタシに死がせまってるってコト?
お婆ちゃんや啓太が向かいに来たの?
いやだ、まだ死にたくない!
誰か、助けて!
どん!
うわっ誰かと、ぶつかった。
「すみません……」
ワタシとぶつかった相手は。
ワタシだ!
「あんた、ど、ドッペンガー!!」
「それを言うならドッペルゲンガーでしょ」
と、もう一人のワタシがホコリをたたきながら立ち上がり。
ワタシに手をさしのべた。
「大丈夫? あわてない、あわてない」
「ワタシ死んじゃうの?!」
「なんで」
「あなた、ドッペルゲンガーでしょ。もう一人の自分を見ると死ぬって……」
「はあ〜なるほど。あんたみたいに死ぬほど、あわてて事故おこす人もいるわね」
「あんた、なんなのドッペルゲンガーってナニ? モンスター? それとも悪霊か、なんか?」
「ワタシは、あなた。幽霊とか、バケモノじゃないわ」
「じゃナニよ?」
つづく




