メイドカフェで
72話 メイドカフェで
「アレはココいらにうろつく不浄なモノに憑かれたのか……な、テマリ」
「いいえ、ただの社会への反発ですわ」
「ココの連中には、たいした力はないか……」
「まあ、ああいったやからはココとは、かぎらず人混みでさえあれば何処にでも現れるわ。アレにとってココは馴染みの場所なんでしょ。それより、アンジェラ、あたしが好みの美味しいお店がありますの。昼食に行きましょ」
「そうだな、ハラが減った」
秋葉薔薇の裏通りに美味しい店があると姉さんに連れて来られた店で昼食を。
って、ココはメイドカフェってとこじゃないか?
表通りでビラ配ってたメイド姿の娘とは、ちょっと違った黒いロングスカートに白いエプロンの何処かのお金持ちの家に居そうなリアルなメイドたちがウエートレスしている。
表通りの連中に比べたらシブい店だ。
ある意味違う萌だ。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
いま、入ってきた客は歩行者天国で見かけた黒ロリ親子?
「ココは、テマリの仲間の店か?」
「違いますわ。チャラチャラした、メイド喫茶ではなくてよ。料理は本格派で美味しいのよ、食べてごらんなさい」
「正直メイドの店に来たのも、こんな格好をしたのも初めてだ。テマリに任せるカネは私が払う、好きなものを頼め」
ふわふわ卵のオムライス。中のチキンライスも、田舎のファミレスとは、ぜんぜん違う。
メイド喫茶みたいにケッチャプでハートなんか描いてない。デミグラスソースだ。
「気に入った蔵馬」
「姉さん、オレがオムライス好きだったのおぼえてくれてたんだね。コレはサイコーに美味いなぁ」
姉さんは、サイコロステーキ。美味そうなタレの臭いがした。
しかし、メガネの姉さんは初めて見た。
ん、アレってレンズ入ってない。
年齢も若く見えるし、化粧っ気もなく、朝の姉さんとは、別人だ。
オレのタイプで惚れてしまいそうだ。
ズボンにかくれていた脚もキレイで長い。
「おい、蔵馬。なに見てるの。姉さんに惚れた。私は近親相姦の趣味はないよ。たまってるなら新熟歌舞伎町の店、紹介してやるよ。優しいお姐さんの店知ってるから」
「姉さん。変な気をまわさないで、風俗に行ったと知れたら岡山のマイちゃんに……」
しかし、女の姉さんが、なんでそーゆー店に詳しいんだ。
オレは姉さんの仕事を知らない。
風俗で働いてるのか? まさか、姉さんにかぎって、ないだろう。
たまたま知ったそっち方面の知り合いでもいるんだろ。
姉さんは、昔から顔がひろい。
「ああ、岡山に彼女居るのか。で、どこまでいってんの結婚式には呼んでね」
「いや、結婚なんてまだ。親にも会わせてないしぃ」
つい、できたばかりの彼女の名前言っちゃたよ。
「東侠みやげにHなランジェリー買っていきなよ、夜は盛り上がるよ。イイ店連れてってあげるから」
「ランジェリーって、オレとマイちゃんは、まだ」
「ネてないの? なら、ランジェリー買って……」
いや、手もにぎってないと。
「ホコ天の武勇伝、見せてもらったわよ」
なんだ? さっきの子供の黒ロリが、オレたちのテーブルの横に来て。
ホコ天の武勇伝って。この子、姉さんの変装を。
つづく




