ハニーにおまかせ!
705話
「ホント、妙な偶然でしたよね。愛さん」
ランチ月光で、テマリとお昼をしてる。
「偶然ね、たしかに。太秦萌南の娘の写真見たとき、モモコに似てると。コレも偶然ね」
「モモコが、人の姿でこっちに来てたのも偶然です。しかも、見た目があの年頃の女の子」
「そう、ソレも偶然よね。なんで、アンジェラは人間化したモモコの歳をあの歳に。大人でも、良かったはずよ」
「あれ、このまえ連れてきたときに言いませんでした? アンジェラが、自分の服を着せられるサイズにと」
「そういえば、あのときはアンジェラのゴスロリファッションで」
「でも、ですよ。アンジェラは嫉妬して大人にしなかったのかも、自分は子どもの姿だからモモコにも。アレで大人にして自分の服を着せて歩かせるのもしゃくだったのかもね」
「モモコとアンジェラって、どこかライバルのようなトコあるわよね。魔法では、ぜんぜん上なんだけどね、アンジェラは」
「きっと、どちらも長生きしてるからじゃないですかぁ」
「そうね、あのさアンジェラがよく、千年生きてるのははったりでと言うよね。千年も生きてないとか言うけど、なんか話のつじつまが合わないときがない。ホントは千年以上生きてるわよね」
「あ……。そういえば、キリストと友だちだったとか聞いたような……。なんか、マグダラのマリアは、実は私だとか。ウソかもしれないけど。ホントならもう二千年以上よね」
「マグダラのマリアって?」
ウチの会社で二週間メイド修行したモモコに。
「どう、モモコにメイドはできそう? キャラからして無理なんじゃ」
「そんなコトありませんわ、お嬢様。私は完璧なメイドですわ」
口調が、ソレらしく。
「とりあえず、わたしの知り合いの店に頼んでみるけど、ことわられたらあきらめてよ」
アキバのわたしの知り合いの店といったら、等々力くんと行った、女王蜂遥の『ハニーにおまかせ!』だ。
メイドカフェ『ハニーにおまかせ!』。
「獄門島愛、ホントにこの子十六なの」
「本当よ。まあ見た目は小学生だけど、背が低いだけよ。ね、モモコ」
「ホントです。大きな声ではいえませんけど障害があって背が伸びなくて」
という設定で来た。そして。
「ほら、マイナンバーカードも」
当然偽物だ。
「あんた、中学生を働かせてたじゃない」
「あの子の場合はメイクすればそれなりに」
「この子もメイクしてみて、ハーフだからそれなりに十六に見えるわよ」
中学生を働かせていたという弱みもあって、彼女はしぶしぶ雇ってくれるが。
「獄門島愛、とりあえず研修の二週間よ。その間に何処かからクレームとか来たらやめさせるからね」
たしかに小学生を働かせたら、問題だ。いや、問題じゃすまない。捕まるかも。いや、捕まるか。
が、モモコは小学生ではない。自称七百才だ。アンジェラより若いけど。
「モモコーネ・リラ。ハーフだと言うが、雇ってしまった。大丈夫だろうか?」
「店長さん、アタイに合うメイド服がありません」
「そりゃそうね……。あ、マユちゃん。あなたお裁縫、得意だったわよね。一番小さいサイズのメイド服を彼女のサイズに合わせてくれる。ミシンを持ってこさせるから」
さすがに心配。まるで娘がはじめてのアルバイトをしてるのを見る母親みたいに、わたしは店内の端っこのテーブルに座ってる。
「あ、ウソ。獄門島さんだ」
「あれ、大学に入ってからメイドのバイト、やめたんじゃ」
三日月愛だ。久しぶりね。
「はい、一度辞めました。けど、お小遣いだけじゃコスプレ代が足りなくて。今日は一人ですか? 平日ですものね和泉くんは……」
「そうね、ココへ来るのいつも和泉くんと一緒だったからね。実は知り合いの娘が、ココでバイトを……。そうだ、マナちゃん。面倒見てくれる。ちょっとした問題児なのよ」
「問題児? ヤンキーとか?」
「いや、そーゆーのでなくて、見ればわかるわ。多分、控室に居ると思うから」
彼女に頼めばわたしは様子を見に来なくても、あとテマリにでも来てもらえれば。
マナは、テーブルにお冷を置いて控室の方に。
「こんにちは、愛さん呼びました?」
うわっ突然、わたしのテーブル席にテマリが。
「ココは、ドコです。お店ですね。メイドさんが……。メイドカフェですね」
「そうよ、わたしの知り合いの」
「あの、まさかココでモモコが」
「そのまさかよ」
つづく




