驚きの事実
704話 驚きの事実
話は前日の戸辺島邸に戻り。
わたしの仕事は終わりと、お昼に戸辺島早紀邸を引き上げようと玄関に来たところに。
「おや、もうお帰りで?」
戸辺島早紀の両親が。
「おうよ、昼のしたくは出来たかね」
お祖母ちゃんだろう。老婆が顔を出した。
その後、お祖父ちゃんも。
うわっ、ウソ。お祖母ちゃん!
わたしのお祖母ちゃんにそっくり!
「すみません、お母さんたち。今日はこちらでお昼でしたよね。ナニもしてなくて」
と、太秦萌南が来て。
「すまん、俺らが急に来たもんで」
「お客さんかい……。ん、あんた? 早紀かい?」
「いえ、違いますよ」
「お祖母ちゃん、その人はお客さんだよ。私じゃないよ」
わたしたちを見送りしようと来た戸辺島が。
「そういゃ若いなっと、それに細い……」
「そうだ、佐倉井たち。一緒に昼を食べよう。近くにファミレスがあるんだ祭玉のうどんレストランだけど、みんなで行こう」
と、言うことで戸辺島の両親と祖父母そして、わたしたち客人三人も一緒に行くことに。
さすがにファミレスとはいえ、9人で座らず両親と祖父母のテーブルと中学、同級生組のテーブルに別れた。
わたしは完全に赤の他人だけど。
席に着くと。お祖母ちゃんがやって来て。
「あんた、ホント。早紀の若い頃に似てるなぁ。しかし、その眼鏡は少し老けて見えるぞ」
「このメガネはお祖母ちゃんの形見でレンズだけ変えてあるんです」
「ほう、形見かい。早紀、わしの眼鏡いるかぁ? 早紀のソレ、レンズ無いだろ」
と、自分の眼鏡をはずした。
「お祖母ちゃん、コレは伊達メガネだからレンズいらないの」
「でも、早紀は目が悪いんだから入れたら、老眼でしょ?」
「萌南、わたしゃまだ老眼ではないよ」
「もういい歳でしょ。そろそろ、あたしもヤバいんだ。早紀だって」
「じゃあね、眼鏡のお嬢ちゃん……」
と、自分の席に戻ろうとしたお祖母ちゃんが、振り向き。
「お名前は?」
「獄門島愛です」
「獄門島……。ホントかい!」
お祖母ちゃんが引き帰ってきて、わたしの前で。
「千葉の房総の?!」
「はい、実家は外房ですが」
「実はな、姉が嫁にいった家が千葉の獄門島なんだ」
え、なんという偶然!
「名は?」
「お祖母ちゃんは獄門島幸と旧姓は……」
「幸姉だよ、あんたは姪っ子……」
うわっ、お祖母ちゃん涙を。
「ちょっと、どういう偶然よ。それ、あなたはウチの親戚なのお祖母ちゃん」
思わぬコトが、わたしはこの中で赤の他人かと思ってたら、戸辺島家と親戚関係だった。
お祖母ちゃんがそっくりな謎がとけた。
ハンカチで目を拭いながら自分の席に戻り、家族に話を。
そしてお母さんが、わたしを見てコクリと。
わたしも。
「こんな偶然もあるのね。あらためてよろしく探偵さん」
と、戸辺島早紀が握手を。
料理が来るまでは同級生たちの昔話でにぎわった。
「そういえば、戸辺島は絵が得意だったな。黒板に先生の似顔絵描いて」
「あったな、先生が見て俺はもっとハンサムだとか」
「鬼瓦みたいな顔してな」
料理が来て少しだけ静かに。
「なんか、ココに来るの久しぶりよね早紀」
「ああ、ウチは基本外食はしないからなぁ」
「二人とも料理は得意なのか? 大学のときはモナミ、冷凍食品ばかりだったよな」
「佐倉井に雪女と、べつに凍ったまま食べてないわよ」
「萌南は、お母さんになったからな。今は上手いけどね、私の食事は彼女が……」
「そうね、向こうのお母さんとかにも習ってたから……」
「いけない、思い出しちゃた? 萌南、ゴメン」
「もう何年もたってるのにね……。ダメね」
太秦萌南はポケットからスマホを出して画面を。
「コレ、ウチの家族」
と、二人に。
「お、外人だな。誰かに似てないか?」
「どれ、どれ。たしかに、映画俳優かな……。娘さんカワイイな」
「天使みたいでしょ」
「天使は見たことないが、そうだなカワイイ。モナミに似てるし」
わたしも見せてもらった。
たしかに娘さんはカワイイ。
子どもだがハーフ顔で外人の子どもって感じ。
天使だわ。
それから、三日後の夜。
戸辺島邸。
「あ、またトイレ行きたくなっちゃた」
夜中に目が覚めると、トイレに。
部屋を出て玄関を通りトイレに。
用を済まして、玄関を通ると光が。
玄関のドアの上の窓から光が。クルマかしら?
でも、ピンクの光ってナニ?
なんだか確かめようと玄関を開けた。
人?!
人の形のピンク色の光? だんだん光が弱くなって人型が、子ども?
「え、アン?!」
暗闇なのに、その子どもの姿はハッキリ見えた。ピンク色の光の中。
アンだよね。いや、アンにしか見えない。
女の子はわたしを見て笑っている。
「アン、アンよね!」
コレは夢? 現実? あたしの前に見える子どもはアンよね。
「アン、アンだよね。こっちに、ママのところに……」
「ママ!」
アンが駆け寄ってきた。そして抱きとめた。
感じる。アンだ。幽霊じゃない。
抱きしめられる。
目から涙が、うっ前が見えないくらいドッと。
「ママ、会いたかったよ」
「ママもよ、大丈夫? 痛いトコない?」
「大丈夫だよ」
「そう、それなら一緒にママと暮らそう日本で」
「ママ、ソレは無理だよ。もうママとは、住む世界が違うから。わたしは向こうでパパと一緒よ。ママには悪いけど向こうで楽しく暮らしてるの」
「そう。なら、よかったわね」
「ゴメンネ、ママ。長くはこっちに居られないの。ママが、ナニか未練があると……」
「そう、アンのお誕生日に。十才のお誕生日に、おめでとうって言いたかったの……」
また、涙があふれ出た。
「ありがとうママ」
「まだ、ちゃんと言ってないわよ。アン、十才のお誕生日おめでとう。ハッピーバースデー!」
抱きしめた。
そしてあたしからアンが、離れていくのが、わかった。
ウソ、背に透明な羽根が体と同じくぼうっと輝いて見えた。
「ありがとうママ、うれしいわ」
アンが宙に浮いてる。
「サ・ヨ・ナ・ラ、ママ……」
アンが夜空に上って行く、天に?
「アン……」
夜空に消えたアン。
それからどのくらいあたしは夜空を見上げていたのだろう。
戸辺島邸の裏庭。
「うわぁやっぱり、コチラの冬は寒いな。夜はとくに」
「サイコーよモモコ。わたしも見ててもらい泣きしたわ。やっぱり似てたのね、モモコのことアンと」
「抱きついたときに違うとか言われたら、どうしようと思ったけどね。でも、だましちゃたけど……。いいのかな」
「まあね……」
「愛さん、向こうにまだ営業してるしファミレスあったから、温かい物食べて帰りましょ」
「そうね、あそこのファミレスの鍋焼きうどんは美味しいわよテマリ、あのファミレスまで跳べる?」
「大丈夫です、手を」
『おめでとうが言えなくて』の巻 おわり
つづく




