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戸辺島早紀

702話 戸辺島早紀


 佐倉井実(さくらいみのる)氏が戻り、戸辺島早紀(とべしまさき)という女性の住所がわかった。


 彼女は都内に住んでるということで、わたしが写真を手に入れに行こうとすると。


「探偵さん、俺も行くよ。最近、サギとか多いからな。知らない、あんたが一人で行くより怪しまれずに俺なら。あ、電話番号もわかったんで」


 今はスマホを使ってる佐倉井氏が電話を。


「古い番号だからなぁ通じるか……。鳴ってるけど、でないなぁ……。ダメだメール入れとくか。ん……。やり慣れてないからなぁ。今から行く、佐倉井と」


 この人も、わたし同様にメールの手押しが遅い。ホントに慣れてないんだろうな。


 珠江ちゃんのお父さんだった角田氏も行くと。   

 三人で、行くことになった。


 仕事だから、わたしが、一人で行けばいいんだけど。


 で、佐倉井氏が、クルマを出してくれた。


「健ちゃんは、なんで免許をとらなかったんだ?」

「あぁ都内に住んでるとね、いらないだろ。ウチの周りは道は狭いし、ウチには車庫もない」


 佐倉井氏は八百屋で普段は軽トラだそうだが、息子の乗る軽バンを借りた。

 会社のとは、違うが最近の軽バンは乗り心地がイイ。 わたしは後部座席で一人で広い。


 戸辺島早紀の家は都内でも、県境付近でかろうじて区内という北区に。


 道が混んでなければ一時間で着くかな。

 本当は電車の方が楽かも。

 わたしのスクーターでも行ける距離だ。


 ナビ見ると、駅から離れてるからクルマの方がイイと。


「探偵さん、クルマのガソリン代は料金から引いといて」


 あ〜。そういうの面倒だから電車の方が値段がわかりやすい。

 息子のクルマなんで、返すときに満タンにするとか。正しい交通費とは言えない。まあ、そこんトコはわたしは。

 そういうコトは蔵中さんに。

 一応ガソリン代の領収書はもらっておかないと。


「あの、どちらがウチの会社を?」


 ウチはあまり一般広告を出してないから一般の人の仕事はあまりない。

 あっても、それなりの関係者とかだと。


「私です。あのミカンちゃんのお母さんから、聞きました。良い探偵社を知ってると。あ、ミカちゃんか」


「え、あの子のお母さん。親しいんですか?」


「ミカンちゃんって椎名のとこの」

「あぁそうだ、マリんトコだ。なんでも娘さんがお世話になって感じ良かったというので教えてくれたんだ」


 それ、わたしが担当した仕事だ、ミカンが宇宙へ行った。

 そんなトコから、つながってたのか。

 今回の偶然は。


 日曜日のわりに道はすいてたので、意外と早く戸辺島早紀の家に。


 わぁ大きな家。角田氏の家より古そう。昔からある都内の家ね。庭も広いわ。


「彼女、実家に居たんだね。祖父母の家か?」


 クルマを道路に停めて家を見てると家から老婦人が。


「早紀のお客さんかい、クルマは庭に停めな。駐車違反になるからねぇ。早紀は向こうの、はなれだよ」


 言われて、クルマを庭に入れて停めて、はなれの新しい家に。


 表札が出てる。フルで戸辺島早紀と。


「彼女、結婚してなかったのか? 姓は同じままだね」

「変わりモンだったからなぁ当時は……。今もかな。メールは、見たらしいな。さっきのお母さんだろ。年取ったなぁさすがに」

「彼女は、仕事はナニを?」

「知らなかったか? 健ちゃん。小説家だよ、大学のときにミス研に居てよ、賞とったんだ」

「ミス研、ミステリー研究……。じゃ乱歩賞とか、かい?」

「いや、雑誌の新人賞だ。言わなかったか?」

「あぁ、私は大学の彼女は知らないから……」


「あの、インターフォン押します」


 けっこう仲のイイ二人は、話し出すと止まらない。ココに来るクルマの二人はずっと話てた。

 で、二人のコトを大分知った。


 玄関のドアが開くと女性が。


「久しぶり戸辺島」


 玄関から出た女性は、ナニも言わずわたしたちを見て。


「佐倉井くん、だけかと思った。残念ね、モデル頼もうと思ったのに」


 と、ボソッと。


「モデル?! 俺が……」


 ロングヘヤーで、わたしくらいの長さ。わたし以上に無精なのか手入れはしてない感じで、ボサッとしてて、ソレに少し白がも混じってる。


 眼鏡は黒いセルで、化粧はしてない。

 なるほど、変わり者ぽいって感じだわ。


「その女は、佐倉井くんの娘? それとも彼女? あら、あなたはもしかして……」


 戸辺島早紀は角田氏に近寄り顔を見つめた。


「うそ、やっぱ健ボーだわ! 久しぶり健ボー」

「そりゃ中学んときの呼び名だ。久しぶり早紀さん、またの名は」

「スケベーサキ! 懐かしいわね。そっちの娘は健ボーのコレ」


 と、戸辺島早紀はわたしを見て小指を立てた。

 またの名をスケベーサキって、どんな女よ?


「あ……違うよ彼女は」

「もしかして、若い奥さんもらったの?」


 と、わたしを見て。


「あなた、私の若い頃と似てるわね。やっぱり健ボーは、私のコト好きだったのね……」


 たまたま、近くに居たから奥さんと思われたのかしら。


「わたしは、角田さんの妻でも女でもありません!」


 わたしって彼女の若い頃に、似てるの?


 あ、よく見ると眼鏡にレンズが入ってない。

 でも、目は悪そうだ。角田氏の顔を見るのに大分近づいてたし。


「あのな、戸辺島ぁ実はだな、俺たちは太秦萌南(うずまさもなみ)を探しているんだ。で、サキのトコに最近の写真がないかと。そっちの彼女は俺たちが萌南探しの為に雇った探偵さんだ」


「萌南を探してんの、なんで? もう彼女と別れて……。あんたは奥さん居るのよね、浮気でも、するつもり」


「いや、そんなつもりは……」


「あ、わかった。健ボーね。萌南と、よりもどしたいのね」


「いや、わたしは……。今は結婚してるし、子供も居る。佐倉井がな、萌南に会いたいと」


「やっぱり、佐倉井くん。浮気したいのね萌南が忘れられないのね」


「いや、そういうのじゃ。偶然な、健ちゃんが萌南の写真を撮ったもんだから、懐かしくなって、どうしてるかなぁとか」 


「そうなのね、健ボーが萌南の写真を」

「あぁそうなんだ。偶然に公園で写真を撮ったら彼女が写ってたんだ。ソレを見て佐倉井が」


 なんか、男たちはあの女にタジタジね。

 ホント、キャラあるわね戸辺島早紀って女。


              つづく

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