尸解仙
7話 尸解仙
誰も居ないじゃないか。何処に?
個室は一つ。
さっきまでトイレの入口に居たから出れば、わかる、はず。
アレはもしかして幽霊? 幽霊がウチに?
しかし、美人だった。
寿探偵社。応接室の二人。
「キミは、あの男と何を話したのかな?」
「それは……あの、貴方はあの汚い男と、どういう」
「私は、とある依頼人にヤツを消すようにと……」
「消す! 香港の探偵は、殺しの依頼もうけるんですか?」
「誤解しないでほしい。殺すとは言ってない」
「でも、消すって……」
「あの男はひと月前にシャンハイで、死んだ男です。死んだ男は殺せません」
やっぱり、あいつは幽霊?
「尸解仙は、ご存知ですか?」
ナニソレ?
わたしは無言で首を振った。
「簡単に言うと、不死の仙人です」
仙人。あの汚いのが。
仙人と聞くと白いヒゲの中華風やせたサンタクロースみたいな。
「尸解仙になるには一度死ななければなりません」
「そうなの、ヤツは幽霊じゃないの?」
「ええ、ヤツは、すでに尸解仙です。ヤツは死ぬために、わざとある女性を襲いました」
「その話は聞きたくないね。ラウとやら、北京語でリューの方がいいかな」
「現れたな、ス・フフオ!」
あの汚い男が、会社に。
「ラウとやら、奈波の行くへは知ってるのか?」
「奈波は、オマエを嫌っていたのが、わからないのか」
「なんとなく……。だから俺は、奈波をレイプした」
「ス・フフオ! 東海林奈波は、私に依頼してきた。オマエを殺した自分を殺してくれと。ホントは自殺したかったが出来なかったと」
「まさか、奈波を殺ったのか!」
「いや、私は殺し屋じゃないからと、ことわった」
「東海林奈波は、何処に居る?!」
「オマエの手のとどかないトコだ」
え、この人は東海林奈波の行くへを知っているの。
しかも、汚い男。スなんとかを殺したのが奈波とは、どういうコトよ?!
「貴様か、奈波の部屋をあらしたのは」
「なんで、私が」
「尸解仙として蘇った俺は奈波のマンションへ行くと部屋はあらされてた。下着が一枚もなかった、この変態野郎が」
「下着? なんのコトだ」
下着が、一枚もなかった。じゃ下着泥棒はウチに仕事を依頼した人物なの?
つづく




