グリーンの秘密
698話 グリーンの秘密
都内某所。
オレは彼女と暮らすようになって、住まいを変えた。
一緒の彼女も働くようになったから、あのボロアパートから出て、いくらかマシなアパート・マンションに。マンションの名がつく高級アパートだ。
さすがにタダ働きじゃ、なんなので組織の方から出動のたびに報酬が出るように。
出せるのなら、もっと早く出して欲しかった。
日本の平和を守るヒーローが、ボロ安アパート暮らしって言うのもないだろうと、実はずっとまえから司令に言ってた。
ここにきて、ようやく報酬と住むマンションをと。が、マンションは寮みたいなので秘密裏に暮らしてるオレと緑ではダメだと、組織のマンションには入居しなかった。
若いブルーとイエローは暮らしが楽になると入ったようだ。
パープルとレッドは入らず。
レッドは実家で本業の農家を継いでいるし。
パープルは、それなりの仕事と自宅があると。
彼女の仕事は、なんだか知らないが。
「ねぇ黒、寝た?」
Wベッドの隣には緑が、オレとしてはベッドより畳にマットレスで布団の方が好きだったが、ベッドにも、もうなれた。
「目は閉じたままだが……。眠れないのか?」
「あ……。考えてたのやはり黒には言っておいた方がいいかなと」
「ナニをだ? まだナニか隠し事が?」
「そう……。私、スパイなの」
「知っている」
「あなたが知ってるのはウンターヴェルドの地底人スパイでしょ」
「実は、私は地上世界をもスパイしてるの」
「ソレは、地底人のスパイ活動か?!」
「簡単に言えばそうよ。でも、誤解しないで。
私は地上での大きな出来事を報告しているだけよ。べつにゴーグルソルジャーの秘密とか、もらしたりはしてないわ。地上の大きな出来事は地底にも影響があるから」
「そうなのか、あっちょっとトイレへ」
地上人の世界をスパイしているというわけか。
オレに話してくれてるのだし、悪いコトをしてるわけでは、ないんなら問題ないだろう。
トイレを出て、冷蔵庫から水を出しコップ半分くらい入れて飲みほした。
そしてベッドに戻り布団に入ると彼女の肌に触れた。
そう、初めは驚いたが地底人の習慣らしく寝るときは真っ裸なのは相変わらずだ。
はじめの頃は、ついムラムラして彼女を。
「私もおトイレへ」
と、まるでアレをシタ後のように真っ裸の緑はベッドから出てトイレに。
そして、戻った彼女は、布団に入り。
オレの胸元に顔を沈めて。
「実はね、あのカタツムリ。私が地底から持って来て地上のあの少年に渡したの」
「え、テレビで話題になった大きなカタツムリを拾ったという……」
「ええ、ウンターヴェルドのオオウミガラス計画を知った私は地底の幹部に知らせたの。そしたら、モンスターにはモンスターをとあのカタツムリを渡されたわ。私がやれば良かったけど、あなたと一緒に居たから、アレを大きく育てるのは……」
「で、子どもに託したと? しかし、言ってくれれば」
「あのときは私がスパイをしてるとあなたに言えなかった……。ソレに私がカタツムリを出したら上にスパイのコトが知れるわ」
「なぜ、ソレを今になって?」
「私、あなたには秘密を作りたくなくて。ソレくらい私、あなたを……」
緑はオレの胸元に抱きつき小さな声でナニかを。
「え、なんだって? 聞こえなかった」
「コク、私……。子供が」
「ええっ! 今なんと!」
オレは上半身をおこして。今の言葉を聞き返した。
「子供ができちゃったの、変よね。地底人と地上人では子供は出来ないはずなんだけど」
「それ、何処で診てもらったんだ?」
「地下世界の……」
「ソレはまずい、ゴーグルソルジャー同士で。レッドとパープル、ブルーとイエローたちだって、そんなコトは……」
奴らはちゃんと避妊してるのか?
グリーンが身重になれば相手は、すぐにオレと、イエローにナニを言われるやら。
地底人とは子は出来ないと聞いてたからオレは避妊のことなんか。
「グリーン、イヤ緑。ゴーグルソルジャーを辞めてオレと結婚して妻になってくれ!」
「まあ……。どうしたの大丈夫よ私ゴーグルソルジャーを続けるわ。子供のコトは秘密に」
「秘密にって、腹が大きくなればバレるだろ」
「私、子供は地底世界で産むわ。地底では、胎児を安全に成長させるためにお腹が大きくなる前に取り出して成長器へ移して育てるの。だからお腹は目立たないの」
「試験管ベイビーか」
「あら、極端な言い方ね。地上のような危険な出産は、してないのよ地底世界では」
渋屋駅前。
「あら、寝坊でもしたの? テマリ。いつものロリータファッションは洗濯中かしら」
渋屋駅前に現れたテマリは一度見たことのある黒い上下のスウェット姿。そしてサンダル履き。髪はそれなりにセットしてあるが、いつもよりは雑だ。
「クリーニングに出したわけではないです。アンジェラがジャージが楽でマイブームとか言ってましたけど、あたしは普段はこの黒いスエット姿なんで、こちらの方が楽です。ジャージよりも」
「そう、で今日はなんでスウェットなの?」
「あ、いけないとは思いつつ最近はこの姿が多くてロリータファッションを着るのが面倒に……。でも、仕事のときはちゃんと」
「ま、わからないでもないわ。まだ寒いから、わたしも、いろいろ着込んじゃうもん。コートの下は見えないから寒い日はババシャツ着てるわよ。トレーナーとかも。下だって暖かレギンスやスウェットパンツ履いたりしてるわよ」
「愛さんはソレでいいですけど、テマリさんは……。ロリータをおやめになったの?」
「ドコから現れた、雪だるま!」
「あら、こんにちはカオル。その白いコートと帽子まぶしいわね」
「テマリさん、雪だるまは……。このモフモフの帽子は渋屋のショップで見つけたのよ。カワイイでしょ。テマリさん、そのかっこうではテマリさんとは思えませんわ。ひきこもりの中ボーかしら。テマリさんをカリスマとしたってるゴスロリさんたちは、なんて言いますかしらねホホホ」
あ、妊宿方面に去って行ったカオル。何しに現れたのやら。
「愛さん、ちょっとくやしいです。出直してきます」
あ、消えた。
家に帰ったのねテマリ。
アレ、ナニしにわたしのトコにテマリ。
呼んだ覚えもないし、テマリのコトなんか考えてもいなかったよ。
あの姿は、なんだかんだ言ってアンジェラの影響かしら。まあテマリには黄色いジャージは似合わないわね。
『マンモスマイマイVSモンスターオオウミガラス』の巻 おわり
つづく




