アンジェラの若返り
695話 アンジェラの若返り
寿探偵社オフィス。
「おはようございます蔵中さん」
「おはようございます獄門島さん」
「おはようございます獄門島さん。あの、朝食は?」
「あ、大丈夫よ金田一さん。今朝はアンジェラのトコで食べてきたから」
「朝から、アンジェラさんのトコへ」
「実はここだけの話ね。例の巨大カタツムリの件。アレねアンジェラたちの仕業だったのよ」
「あんなに大きなカタツムリを……」
「あ、蔵中さん。テマリの力は生物ならある程度の大きさなら触れてさえ入れば跳べるですよ。機械だとダメなんですけどね」
「そうなのね。で、あの大きな……」
「でもぉ、あんなバケモノをどうするんですぅアンジェラさんは……」
マドカちゃんがトレイにパンケーキを乗せて。
「瓊英さん、獄門島さんはアンジェラさんトコで朝食をすましちゃたって」
「だけど……。そのパンケーキは、金田一さんの新作?」
「はい、獄門島さんに試食してもらおうとぉ。これ、社長へ出した残りですぅ」
「瓊英さん、そんな言い方だと獄門島さんに残り物あげるみたいじゃない。わたしは、はじめから獄門島さん用に多めに焼いたの」
「ああ、気にしないから金田一さん。ソレより、ぜいたく言ってイイ?」
「はい」
「どこかの喫茶店で食べたんだけど、そのパンケーキの上にソフトクリーム乗せてくれる」
「はい、すぐにぃ」
「獄門島さん、アンジェラさんは例のカタツムリをどうしたんです?」
「獄門島さん、私も気になります」
蔵中さんも。
パンケーキで話がそれたから、そのまま、そらそうと思ったけど。
「アレね、妙薬になるんだって魔女のね」
「はぁなるほど、魔女のね。軟膏とか作ってホウキに塗って飛びますよね」
「金田一さん、それは童話の魔女だ。と、アンジェラに言われるよ。ホラ、旅行に行ったとき彼女は人に」
「あ、はい。田守さんをボードの用に。あの、アレは酷いとアンジェラさんに言ってくれました?」
あ、言ったかな? 忘れたわ。
「アレは、おもしろいものを見せてもらいましたね」
「え、蔵中さんは憶えてるんですか?」
「え、アンジェラさんが妙な呪文を言い出したときに耳をふさいで座席に伏せたから憶えてるわよ」
うわ、蔵中さん。ソレで、アンジェラの魔法を防いだの。
「あんなおもしろい事、忘れるなんて、もったいないじゃない」
意外と油断ならない人だわ。蔵中さんって、伊達に探偵社に長く務めてないわ。
「獄門島さん、まどか聞きそびれましたぁ。カタツムリはどうなったんです?」
「あ、マドカちゃん。ソレ、美味しそうだね」
マドカちゃんの手のトレイに乗ったパンケーキ。見事なソフトクリームが乗ってるのを見て、アンジェラのトコでリンリンのアップルパイ食べたけど、まだ入るわ。
ベツバラね。
「獄門島さん、あれだけ大きなカタツムリだったんです、どんだけ魔女の薬が。わたしは、あまり魔女の薬とか詳しく知らないんですけど、アンジェラさんが子供になったのは薬のせいとか、例の同人誌に書いてありましたけど……。若返りとかにも」
あ、蔵中さんはアレを持ってるんだっけ。
「わたしも興味あります」
「まどかも!」
「そうなの、ソフトクリームのお礼もあるし、少しだけ話すわね。アンジェラの薬のコト」
わたしはソフトが溶けないうちにとパンケーキをうけとり食べながら。
「蔵中さん。本当はね、薬のせいで子供になったんじゃないのアンジェラは」
うん、やっぱりウチのソフトは美味しい。
「そうなの……」
「アンジェラの若返りの法は、人から精力を吸取りおこなうの。その方法は、さすがに詳しくは知らないけど。で、うっかり吸取り過ぎて子供にまで若返っちゃたと。で、もとに戻ろうと薬を使ったそうよ。テマリから聞いたんだけど、ソレは上手くいかなかったと。もとにもどれたけど、お酒飲んだらまた、子供にもどったんだって」
「アンジェラさん、子どもの姿でも飲んでましたよね」
「でも、最近飲まなくなったそうよ。おそらく身体が子どもになってきたのよ、完全な」
「そうなのね、魔法の若返りは期待出来ないわね」
「え、蔵中さん。若返りたいんですか?」
「金田一さんや瓊英さんみたいな青春を……。私の若い頃って悔やむ事ばかりだったから」
蔵中さん、わたしの青春は?
つづく




