生霊はそこに
66話 生霊はそこに
「冗談は、よして下さい。ボク、霊とかお化け、苦手なんですから」
「ジョーダンじゃないわよ。カオルの顔が見えるもの」
田守くんは、あわてて背後を見た。
「うわぁ!」
ジョーダンのつもりだったが、彼の後の席にカオルが居た。
振り返り、ニヤリとちょっと怖い顔で笑った。
「カオル、朝からこんなトコで……」
「おはようございます。愛さんも。ここのモーニング・サービスが、那古屋並に豪華と聞いて食べに来たの。まさか、愛さんたちが後ろの席に座るなんて驚きモモの木よ」
「驚いたりしてすみません。だけどウソをついてますね病院坂さん」
「あ、わかっちゃた」
「ココに来たのは偶然じゃないですね」
「あら、守護霊さん起こしちゃたから、力が働いてるのね。そうよ田守さん。世の中に偶然なんてないのよ」
なに? なんだか、わからない展開に。
カオル、守護霊を起こしたってナニ?
「田守くん、金田一江と会った時は心が読めなかったのね。ホント、あなたの守護霊って役たたずね」
そうだ、彼の妙な力は、だからナニ? 的なコトが。それは役たたずの守護霊のせいなのか?
「で、どうなの。金田一さんとは」
「別に彼女のことは、なんとも……」
「そうなの、良かった。田守くん、あたしと付き合って!」
「え、ボクは霊とかお化けが苦手と。あの、だから病院坂さんみたいな人とは……」
「アハハハ」
わたしは、思わず笑った。別に悪気はない。面白いだけだ。
「ゴメン。実はボクには好きな人がいるんです。だから……」
「え、まさか。愛さんじゃないよね」
「違います……。確かに年上好みですが」
カオル、なんでわたしを巻き込む。
しかも、田守くんって年上好みですか。
わたしには、どーでもいいことだけど。
「ここだけの話ですよ。お二人さん、ないしょにして下さい」
結局、田守くんに惚れたカオルはフラれ。
告白もしてない金田一が、恋の可能性が、ないのが知れた。
似合いのカップルだと思ったのになぁ。
で、彼が好きな人って。
会社にもどった。
「あ、田守くん。ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど」
「ハイ。青沼さん、なんでも!」
『モテ期? 田守くん』の巻 おわり
つづく




