モテ期2
64話 モテ期2
今回の仕事は、ある女性の身辺調査だ。
おそらく依頼人は、どこかの企業の人事だろう。
新人採用の前によくある調査だ。
企業によっては人事課の中に調査係が居て、ボクらのようなプロには頼まないトコも。
あ、ここが調査人のアパートか。
最近のアパートは、ちょっと見、外見はマンションみたいだ。
階は少ないトコが多いからアパートだと。ココは三階建てだ、もっと上が、あれば、けっこうな高級感のあるマンションに見える。
一階にはクリーニング店と、コインランドリー。
「このアパート、住心地イイですよ」
突然、声をかけられ振り向くと驚いた。
ボクがこれから調査する女性だ。
名前は仁村ひなこ。
「いや、ボクは……その……たまたま通りかかっていいアパートだなぁと。ボクの住んでるアパートは、築五十年で、一度も修理してないようなトコで。あなたは、ソコにお住まいで」
実はボクは、背田谷の実家住まいで家族と。
ちなみに母は社会人になったからと食事を作ってくれなくなった。
だから、ボクは家に居ながら自炊してる。たまにコンビニ弁当が続くが。
そんなボクはアパート暮らしの経験はない。
アパートのコトは、こないだ調査した場所のコトだ。
「ええ、まだ半年も住んでなくて。新しいわりに安いなぁと思い、考えたんだけど安いから決めちゃいました」
写真だと、かたそうな感じだが、実際に話してみると。エクボがあり、笑顔がカワイイ女性だ。
「安い……。けっこうな高級アパートじゃ」
「はい、だから早く決めないとすぐに他の人が契約してしまうと言われて」
そうなのか。ココからだと駅にも、さほど遠くない。近くにはコンビニ。その先には商店街。さらに先には大型スーパーが建築中だ。安いと言っても事故物件では。
まあ、そんなコトはいいや。ボクが住むわけではないし。
「今は、どの部屋も入ってますけどね。不動産屋さんの話では、けっこう出はいりが多いとか」
「そうなんですか、なんで出る人が多いんです?」
ナニ言ってんだボクは。
アパートの調査じゃないんだけど。
なんか、この娘と話たい気持ちに。
「ウチには出ませんけど、出るらしいんです」
「出る。出るって……アレですか? 」
「アレです。引っ越したその日に挨拶に行った隣のオバさんに言われました。ココ、出るわよって」
「そのお隣さんチも?」
「夜にパチパチうるさいので、うるせー!って怒鳴ると音が止むそうです」
「その人、あなたを脅かして楽しんでんじゃないんですか」
「さあ。でも、翌日そのおオバさんの隣が引っ越していきました」
「隣のオバさんが、夜な夜な怒鳴ってるせいでは?」
「それはないと思います。このアパート、部屋の防音設備は、しっかりしてて隣の音は、ほとんどしません。だからワタシ、隣のオバさんの怒鳴る声は聞いたことないんです」
普通、調査相手には接触しないのだが偶然だ、しかたない。
なんとも可愛らしい笑顔で別れた。
彼女はボクより、一つ下だ。
3時頃、小腹がすいたのでファーストフード店でハンバーガーを。
食べながらノートパソコンを。
彼女、仁村ひなこが出した履歴書のコピーを見ていると。
「あら、またお会いしましたね」
「あ、獄門島さんの知り合いの」
「病院坂です。顔は憶えられるのに名前は……」
「ですね。名刺でも、もらえれば……その歳では、そんなもの持ってないよねアハハ」
「あら、田守さん。あたしをいくつだと思ってます?」
「あれ、ボク名前言ったけ。獄門島さんに聞いたのかな? キミは、夏休み中の学生さんだよね……」
「ハズレです。こう見えて、あたし学生じゃありません。まあ……歳はナイショだけど」
「あー田守さん、また新しい女のコと知り合いましたね」
「そんなコト、わかるんだ」
「あたしには見えるって言いましたでしょ。その娘は何者ですか?」
「仕事の関係だ。赤の他人のキミに言うことじゃないから」
「ふ~ん仕事関係か。奥にやっぱり、同じくらいの娘が……この娘は、生霊になりかけてるわよ。心当たりない?」
「と、言われてもボクにはその娘は見えないので……ん、キミの瞳に写ってる娘かな……その娘は。金田一さん?」
つづく




