モテ期
63話 モテ期
「おはようございます、獄門島さん。朝ごはん抜きは、よくありませんよ。まだ、時間ありますから、コンビニでパンでも買って食べて下さい」
「あ、そう……」
今日は早く来すぎた。まだ、9時じゃない。
このところすぐ目が覚めるのよね。
しかし、今日は当たりだ田守くん。
わたしは朝食は食べてない。
言われたら、食べたくなった。
ちょっと行って来るか。
外に出たら、朝から暑い。
やっぱり、会社のデスクで寝てた方が良かったかも。でも、やっぱお腹にナニか入れたい。
おや、コンビニのベンチで飲み物を飲んでるのは。
白い日傘。白いミニドレス。白いソックスと靴。
カオルじゃないの。
「愛さん、おはようございます。朝から珍しいですね」
って、それはコチラのセリフ。
「そうね、いつもなら寝てるかも、この時間……」
「何飲んでるの?」
「スムージーです」
わたしも、パンはやめてスムージーを買い外に。
日傘と兼用のアヒルの傘をひらいてカオルの隣に座った。
それほど外の陽射しは強い。
「愛さん、あたし昨日……。面白い人に会いました」
「面白い……。お笑い芸人とか?」
「いえ、そういう面白いじゃなく。田守盛太さんです」
「田守盛太くん。え、カオルはウチの田守くん知ってるの?」
まえに、仕事を頼まれたけど、会社には来てないよね? あ、なんだか一度よばれたとかで。
そのときにかな。
「一度行きましたけど。社長さんと八ツ墓村さんにしか。昨日かき氷屋さんで会いました。田守さんと。そしたら彼の頭の中に愛さんが見えたので、知り合いだと思い声をかけてみました」
「田守くんの頭の中にわたしが、ナニそれ?」
「生霊みたいな……そこまでいってませんね。残像ですか……」
田守くんって妙な力があると思ってたけど。
やはり、人の姿を残す力とか。
いや、ソレを見るカオルの方が。
「それに彼の守護霊がスゴいです。時々見ますけど、そういのか憑いてる人。あの人のは、けれど怠け者みたいで、いつも居眠りを……」
「そのスゴい守護霊って、田守くんに妙な能力与えてない?」
「そうです。さすが、愛さん気づいてたんですね」
「ええ、今朝も朝食ぬきを当てられたわ。で、まだ早いからナニか買って食えみたいな……」
「そうなんですね……でも、朝食にはスムージーだけ、よりはサンドイッチでも食べた方がいいですよ」
そう言ったカオルのヒザにはサンドイッチが乗ってた。
実は、はじめはサンドイッチをと、思ってた。
「あたしも、さっきここで田守さんと会いまして、朝食のコトを。あの人、朝ごはんと、お弁当買ってましたよ」
「朝からお弁当ねぇ……」
寿探偵社。
「おはようございます。八ツ墓村さん」
「おはよータモちゃん!」
「また、朝帰りですか……しかも、まだ昨夜の酔が覚めてない」
「ブー。昨夜ではありません。最後に飲んだのは4時半頃……5時まわってたかな……」
「社長に怒られますよ酔ったまま出勤なんて」
「あ、大丈夫。私、酔えば酔うほど出来る秘書なの」
と、八ツ墓村さんは、まるで酔拳のようなポーズを。
あっ危ない! 酔拳ポーズで、よろけた八ツ墓村さんが転びそうに。
「気をつけて下さい、八ツ墓村さん床に倒れて頭でも打ったら大変なコトになりますから」
「ありがとうタモちゃん。なんだか今日は、たくましく見えるわね」
「あー八ツ墓村さん、朝からナニしてるんですか社内で、田守さんと」
「いや、コレは……八ツ墓村さんが、転びそうになったのを]
「ですよ、大丈夫よ金田一ちゃん。タモちゃんのドーテーうばったりしないから」
「ナニを言ってるんですか、八ツ墓村さん。わたしは……」
「金田一ちゃん、早く告った方がいいわよ。タモちゃんモテるんだから」
「八ツ墓村さん、何をあたしが……田守さんに」
告るって、金田一さんがボクに。
会社へもどると、おかしな光景が。
田守くんに抱きつく八ツ墓村さん。と、その前に立つ金田一江。
「八ツ墓ちゃん、来た?」
社長だ。
「八ツ墓ちゃん、まだ酔っぱらってんの? 若い子に抱きついちゃダメだよ。盛太くん、彼女を社長室まで、連れてきて」
「ハイ社長」
社長の横でお茶の乗った盆を持ったまま、かたまってる金田一が。やっと、動いて。
「獄門島さん、コーヒーは?」
マグカップは、わたしのだ。
そういえば、出社して一番はじめに会ったのは彼女だ。わたしにまたお茶を。
「ありがとう金田一さん、いただくわ」
「あ、あの獄門島さん。田守さんってモテるんですか……」
え、ナニ? どうしたのいきなり。
そう言えば、さっきカオルが。
『田守さんって、彼女いるんですか? あたし、あの人好みだわ……』
なんて。
つづく




