田守ロリータ遭遇
62話 田守ロリータ遭遇
ようやく、某氏の浮気調査がおわり。
社長に報告の後は、今日は仕事もなし。
と、外へ出たのはいいが盆も過ぎたのに残暑がきびしい。
会社に居た方が涼しいが、居たら居たで、なにかやらされそうだし。
暑いので屋根のある所へ向かった。
ここはオシャレな街、渋屋だ。
まあ、そういう街とボクはあまり縁はないのだけれど。
いつのまにか屋根があるトコに。
ビルの中なんだよねココ。。
ボクの祖父の町の商店街とは違い冷房もきいてる。
八百屋とか魚屋はない。
ココの和菓子屋も高級そうな感じだ。
『天然氷』と、書かれた看板が目についた。
おそらくテレビで紹介されるような高級かき氷なんだろうが、ちょっと食べたくなった。
夏休みとはいえ、このあたりは子供と縁があまりない。時間も4時半頃と中途半端なので店はすいていた。奥の席に中年のカップルが一組。
ボクは氷に杏仁豆腐と生クリーム、ソレにキュウイソースがかかった『緑の氷壁』なるかき氷を頼んだ。
注文品はすぐに来た。
冷たいかき氷を食べる前に、なぜか熱いものを食べるみたいにふ〜っとしてしまったボク。
あるあると、聞くが。
恥ずかしくて、ついガラガラの店内を見てしまった。
誰かボクを見て笑ってないか。
やはり店には奥のカップルだけだ。
キュウイソースに甘い生クリームとやはり甘い杏仁豆腐を一緒ふんわかかき氷を口に放り込んだ。
思ったよりいける!
コレ、選んで正解!
「ソレ、美味しそう」
うわ、ボクの席の前に着いた女のコが、いきなり、ボクのかき氷の山をパクッと。
「って、おいナニすんだキミは。氷に口紅がついた」
そういう問題じゃないか。
「あ、ゴメンゴメン。そこ食べれば間接キスだよ」
そう言った前の子は白い服の美少女。
間接キスも悪くないかも。
「冗談よ。あの、おねえさ〜んすいませ〜ん! あたしにも、コレと同じ物を」
と、彼女はボクのかき氷を自分の方に寄せた。
「コレはあたしが食べるわ。これから、くるのは、あなたのね」
頼んだかき氷が来ると、彼女はスプーンを取り。
「コレ、ヤッパ美味しい。プリンのと迷っていたのよね」
「だからとフツー、他人ので味みするかなぁ」
「ねぇあなた。メガネかけたバケットハットの人、知ってるよね」
「メガネでバケットハット……。メガネかけてる人は何人か知り合いが……バケットハットって、どういう?」
「もう一つ。いつも、アヒルの取っ手がついた傘を持ってます」
「傘……アヒル。もしかして。獄門島さんのコトかな?」
あの帽子はバケットハットというのか。
「そう、その獄門島さんの知り合いです。あたし病院坂薫。ヨロシク。愛さん、あたしのコト話してなかった? 実は一緒に仕事もしてるのよ」
「そうですか……」
なに? この娘、ウチで仕事も? 何者なんだこの美少女は。
仕事したのだから子供ではないんだろう。
恐ろしく童顔。
「ボクは獄門島さんの同僚で田守といいます。ヨロシク。あの……なんで、わかったんです? ボクが、あの人の知り合いと」
「あなたの後に憑いてますよ、獄門島さんの生霊が」
え、思わず後ろを見てしまった。
「あ、大丈夫ですよウソです。あなたが見た人の残像みたいなのだから害とかは、ないです」
「そうなんだ。キミはそーゆーの見える人なんだ」
「そーゆーヒトなんだけど。フツーあなたみたいにそんなに多く残像が残りませんよ。あなた記憶力いいよね。特に人に関して……。あーコレ美味しいわ。このトロッとした杏仁豆腐。あたし杏仁豆腐好きなの」
なら、プリンと迷わなくても。
「まあ確かに人を覚えるのは得意で……」
けっこう仕事に役立ってる。
「まあちょっと違うが、キミの今朝の出来事、当ててみようか……寝坊して、朝ごはん食べなかった」
「残念、寝坊はしてないわ。だって、あたし寝てないもの。朝ごはんは、あたりね。朝はゆで卵一つしか食べてません。ソレにあたし、朝はトーストだから朝ごパンです」
「あのね、パンでもなんでも『朝ごはん』なの。朝ゆで卵とか、朝バナナ……は、言うな。でも、朝バナナは……まあいいや。ボクは時々、人の過去が見えるんだ。ちょっとだけど考えてるコトも」
「時々……ですか。役に立たない異能ですね」
「まあね、正直そうなんだけど……。あまり口に出すと嫌われるし」
ボク、ナニを言っているんだ。初めて会った子なのに。
「あなたにその力をあたえてる守護霊が、怠け者だからよ。今も居眠りしてるわ。おこしてあげましょうか。それから、いつもシャキッとさせてあげようかな」
つづく




