増える被害
60話 増える被害
パトカーの周りに人が沢山。
「危険ですから、近づかないで!」
警察官が、押寄せる野次馬たちを止めてる。
道路脇に穴が。
昨日の林道みたいな穴だ。
穴の近くの電信柱が倒れてはいないが、斜めになってる。
穴の近くで泣いている娘が。
近くに布をかぶせられた、なにかが。
「あ、愛さん。来ましたね」
「この穴は、やはり……」
「その、かたむいてる電柱で、ようをたしてた犬が……」
「食べられたの……」
犬か、その布の下は。大型犬だろう。あの大きさだと。
「犬は飲み込まれて、すぐに吐き出されたそうですが、全身の骨が折られて死んだそうです」
「吐き出されたの犬が……」
横で聞いていた万城目さんが。
「犬嫌いだったのかなぁ」
「だったら、最初から襲わないんじゃ」
犬に嫌いなナニかが。
「やっぱりミミズのデカいヤツみたいのだったと。飼い主さんが」
「時代が流れてまた、来たのぉ……」
そんなことをボソっと言った老人が、去っていった。
あの老人、なんか知ってる。
野次馬たちをかき分けて追ったが見失った。
ゴゴゴゴ
地鳴りだ。アレが出る!
「みなさん、穴から離れて!」
わたしと万城目さんでやじ馬たちを!
「うわぁああ」
足を咥えられた警察官が宙に浮いた。
穴からヤツが!
警察官一人を一緒に穴の中に。
犬と警察官一人の被害が報道され、穴を見つけたら近寄らないで警察へ報告してほしいと街頭スピーカーで流れた。
街中は怪物騒ぎで、猟銃を持った男たちがクルマで見回りをはじめた。
「街中怪物騒ぎだね。怪物見たのは大きな収穫ね」
「テマリは怪物なんか、あの魔女の異世界で見慣れてんじゃないの?」
「このまえ一緒に行ったじゃない愛さんも……。わからなかった?」
「ナニを?」
「あそこは、この世界のパラレルワールドよ。あっちはそう変わらないから、向こうにあんな怪物は、居ないわ」
「そうなの」
「多分……。あたしは見たことがないわ」
「そう……。わたし、あることを思いついたので、確かめようと思うの。万城目さん、警察に聞きたいことがあるんだけど、第一発見者のあなたに教えてくれるかしら」
「なんです」
頭金警察署。
「被害あった遺体の状況。ダメダメ、そんなこと話せないよ」
万城目さんの担当になった若い刑事に聞いてみた。
「あと何人喰われるか、わかりませんよ。なんとなく彼女が助かった原因が、わかった気が。だからあの残された遺体のことが知りたいんです」
「そうなの……。じゃ聞かせてよボクが、上に言うから」
「まだ、確信がないので……。それが大きな声じゃ言えませんから、ちょっとこっちで」
わたしは廊下の隅で刑事に。
「わかった。聞いてみる」
署を出る。
「ナニが、わかったの愛さん」
「彼女のまえでは言いづらいから、家でね」
その夜にも三人だ。
深夜に帰宅途中の人がやられた。
行方不明に。
帰宅路で穴が見つかってるのでヤツのしわざに間違いないだろう。
三日たっても例の刑事からは連絡が来ない。やはり思い違いだったのか。
きたっ!
〘すみません、なかなか上司に伝わらなくって。やはりあの遺体には〙
つづく




