偶然はない
49話 偶然はない
朝から暑いので出社前にコンビニのベンチでスムージーを飲んでると。
「このまえのオバさんだ」
オバさんって。
「わたしはまだ……。オバさん言うな!」
「お母さんの妹は、まだ高校生だけど叔母さんだよ、いいぃじゃん!」
「それは、親戚でしょ。わたしはあなたと無関係よ」
「無関係じゃないよ、同志だもの」
「同志? なにソレ?」
「ホラ、このまえ一緒にUFO見たでしょ」
「確かに見たけど、なんで同志?」
「紹介するわ同士の角田珠江ちゃん! それから、コチラは野口靖子さん! 野口さんは年上の中学生」
なんだ、同志って? メガネの三編みお下げの子とおかっぱヘアの子が頭を下げた。
「眼鏡のタマちゃんに野口さんって、あんたはさくらもも子か?」
「違いますよ、あたしは椎名美香といいます。あだ名はミカン」
椎名ミカンって、リンゴとかいう有名人がいるよね。
「あたしたち向こうの公園で、たまたまUFO見たんですよね。それで意気投合して。UFO観察会を作ったんです。もうひとりじゃありません!」
UFO観察会って、夏休みの自由研究か。
「もうオバさんも入ってます。よく見ると言ってましたよね」
う〜んUFOなら、わたしより。
「わたしは見るだけで、詳しくないから。詳しい大人を紹介してあげる」
と、わたしはスマホを出して。
今日は、もう出勤してるかな。
〘おはようございます。どうしたんです? まだ、会社に来てませんよね〙
「重役出勤よ」
自分で言ってしまった。
「金田一さん、UFOに詳しかったよね。ちょっと付き合って。『月光』に来て」
〘はあ? 今回の仕事はそういう……〙
「う〜ん。社長と八ツ墓村さん来てる?」
〘はぁ朝から社長室で……あ、いえ会議中です〙
なるほど、朝からねぇ。
「なら、いいわ。ちょっと来て、カフェ月光。おごるから」
〘いいんですかねぇ〜〙
「わたしの助手指名というコトで」
「あんたたち、あそこのカフェに行こう!」
わたしもヒマだね。
10分もしないで、金田一が来た。
揃ったトコで、ウェートレスを読んで。
「クリームソーダ4つ! じゃ、ミカンちゃん。この人は金田一江さん。UFOのことなら、わたしより詳しいから。じやあね会社いってきま~す」
「どういうことです獄門島さ〜ん」
会社に入りデスクに着くとファイルが。
「おはよーす。さっき、八ツ墓村さんが置いて行きましたよ。あの金田一さんは? 一緒じゃ?」
いつもの田守くんだ、なんで知ってる?
金田一が出る時言ったのかな?
「ええ……まあ」
ファイルを開けると。
「UAP 未確認飛行現象」
なんですかぁ?
「UFOに関する調査……コレ、なんの偶然!」
「この世に起こる事に偶然なんて、ないんだよ。獄門島くん」
珍しい。会社の最年長等々力平吉さんが、声をかけてきた。
彼はたしか、社長と同い年だったか。
少し上かな?
子供も孫も居ると。定年のない探偵社じゃベテラン社員だ。
「偶然なんか、ないんですか?」
「君に起こった事は、ナニかしら意味があるはずだ。よく考えてみなさい」
と、言って外へ。
あの人も忙しいからな。
もう一人、40代のバリバリの働き盛りの青沼静香さんが、この会社の稼ぎ頭。
わたしなんか妙な雑用仕事専門。
さて、今度のUFO調査ってナニ?
つづく




