魔法少女が来た
46話 魔法少女が来た
わたしたち、鬼首村手毬。アンジェラ・リーの三人は篁昂輝のマンションに向かう車中。
「私は、この電車というのは嫌いなんだ。やたら混んでるし、ガタガタとゆれる」
平日の昼間だ。今はガラガラなのに。
「アンジェラさんは移動は、やはりホウキとかで?」
「ホウキ、あんなのは、おとぎ話だよ。私の知人では、ホウキに乗る奴は居ない。使い魔とかが多いかな」
「アンジェラは、ネズミの使い魔だったよね。あたしなら、この傘かな」
傘で。メリーなんとか? テマリは。
そういえば、あの石板を盗んでたのは立ち上がったネズミだった。大きいと言っても人が乗れるサイズでは。
「でも、ネズミじゃ乗るのに小さいわよね」
「私は使い魔には乗らない。飛ぶ時は、おもにイケメンの肩だ」
「肩? 肩って肩車」
「肩に乗ると、そういうかたちになる。連中に術をかけ、その精気力で飛ばすんだ。うまく飛ばさないと力尽きて落ちなくもない」
「こっちの世界でも飛んでた?」
「たまに。あまり向こうで死者を出すと面倒だから、多次元を渡り、力を得ているから、たまにコチラでも気分転換に飛ぶ時がある」
たしかアンジェラって、男の精気を吸って若返ると、精気を吸われた連中は。
死者って。やっぱり。
「その方法は、どうやって?」
「それは、古代から伝わる魔導書……おっと、言わされるとこだった。テマリ、言っておろうが知りたけりゃ私の弟子になれ、そしたら全て教えてやる」
「イヤです。あたし、人の下につくのが苦手なの」
なんだか、よくわからない関係だ。この二人。
前もってマリナには電話しておいた。
マンションに着き。
ドアフォーン鳴らすと、すぐにドアが開いた。
マリナの姿にテマリは驚いてたが、アンジェラにリアクションはなく。
「見事な蛇体だな」
マリナはTシャツ姿で下半身はナニも。
下腹部のあたりから蛇体だ。ホントにパンツは履けない。
アンジェラの目線が気になってか蛇腹の股間あたりをTシャツを伸ばして隠したマリナ。
「どうぞ、奥へ」
篁は仕事だろう。居ないようだ。
「安倍麻里奈です。よろしくお願いします。え〜と……」
「こっちは鬼首村さん。そちらは鬼首村さんの友人のアンジェラ・リーさん、子供に見えるけど、数百年生きてる魔女だから。あなたを助けに来てくれたの。おしっこ出来た?」
マリナが赤くなりてれながら。
「なんとか、お風呂場で……。魔女さんなんですか、アンジェラさんは、あこがれの魔法少女ですね」
見ためはね。
「安倍麻里奈、けったい名だな。まあ名前は関係ない。思ったより落ち着いてるな、そんな体になって」
「そういう娘なんで、彼女。でも助けてやって」
「まず、噂の女神像を見たいな」
「それなら、ほらその上に」
「ココにあったのか、妖気も魔気もなかった。その像が……」
アンジェラが、像の所でしげしげと。
「なるほど、かなり古い物だ」
「お店の人は、中世ヨーロッパ。フランス革命より前と」
「フランス革命……それより五百年くらい前かもいや、もっと……なんでこんなものが日本に……。しかし、抜け殻だ。ヤツは足を手に入れたコトで封印が解けて、何処かに、ん。だが、完全ではない。術で呼び戻せる。まだ、像から糸のような物が。遠くへは行ってない。テーブルを借りるぞ」
マリナが、リサイクルショップで見つけたという円形のちゃぶ台を持ってきた。
「コレに落書きしてもいいか?」
「ええ、消せれば」
「書くものを」
マリナは趣味のパステルセットを持ってきた。
アンジェラは、ショルダーバッグの中から、小さなハードカバー本を取り出した。
まわりがボロボロで古い本とわかる。そして付箋が沢山付いてる。
アンジェラは、ちゃぶ台に本のページを開き見ながら六芒星をちゃぶ台に描き、ナニやら知らない文字を真ん中に書き込んだ。
六芒星の先の所から枝分かれしたような線を入れた。毛の生えた六芒星みたいだ。その上に蛇体の像を置いて。
わたしには、意味がわからない言葉の呪文を唱えた。
「スェニーヌ・イ・ナコマサ・デ・ロィフンパ!像からは、まだ逃れられぬ。戻ってこい!」
蛇体の像がガタガタと音をたて回り始めた。
「ホントの魔法少女……」
マリナの目が輝やいてた。
つづく




