変わった女
43話 変わった女
うわぁ朝だ。明るい。
昨夜カーテン開けっぱなしで寝てしまった。
まだ、4時半じゃないの。
トイレ行ってまた寝よ。
カーテンを閉めて陽をさえぎった。
雨戸がないから、少し明るい。まだ、昼間のように暑くないのですぐに眠れた。
スマホが鳴った。この音は電話だ。
朝から誰だ!
えっ篁。
「朝からナニ? 久しぶりだけどタカムラぁ」
〘朝? もう昼過ぎたぞ〙
え、時計を見れば12時21分。
いつの間にか、そんなに寝てたの。目覚ましかけてなかったわ。
仕事行かなきゃ。
〘もしもし、聞いてる?〙
「ゴメン、会社行かなきゃ」
〘え、今何処?〙
「家でーす。寝てました」
〘そうか、じゃまた、夜かける〙
「LINEじゃだめなの? 後で読むからじゃ」
朝ごはん、食べそこねた。
この時間なら昼休みだから、何処かで食べてから行こ。家にはナニもなかった。
近所の中華屋さんで『冷やしマーボはじめました』というポスター見て入った。
冷やしマーボ定食を食べてると。
「おはようございます獄門島さん」
田守くん。
「今日はお初にお目にかかります」
定時に来ていても彼と会うのが昼前後なんてよくある。ここは誤魔化そう。
「なんでかね、朝は会わなかったね」
「獄門島さん、何時に来てました?」
「朝から居たわよ」
「そうですか、それはすみません。今日は午後から出勤かと……」
なんでまた、居る時は気がつかないくせに。
「あ、その冷やしマーボー美味しいですか? ボクもソレにしようかな」
すぐに食べ終えた。冷やしだから、早い。
「じゃ田守くん。お先に」
会社の中は、涼しい。
席に着き、デスクでスマホを見るとLINEが入ってた。
篁昂輝からだ。
彼は専門学校時代の友人。あくまで友人で、元カレではない。
「マリナのことで相談したい。仕事がすんだら連絡くれ、電話でもイイ」
マリナとは、わたしの友人で篁と付き合っていた娘だ。
結婚したと聞いたけど、その頃わたしは日本に居なかった。
バックパッカーして世界のあっちこっち歩いてた。だからこの頃の二人のコトはあまり詳しくない。
その日は仕事がなかった。わたしは定時で会社を出て電話した。
昔、3人でよく行ったお茶の湯駅で会うことに。
わたしたちはお酒を呑まなかったから、こういう街の方が楽しかった。
学校の近くで彼等のアパートも近くだった。
わたしは背田谷の親戚の家に。
背田谷と言ってもセレブじゃない。昔から住んでるサラリーマンの家だ。
お茶の湯駅に着く。
篁は、待ってた。
「久しぶり愛。ナニ、そのメガネに帽子。杖まで、あ、ソレ傘か。日傘? 暑いからなぁ」
別に日傘のつもりで持ってるんじゃないアヒル傘。
お婆ちゃんの形見のメガネとやぼったいバケットハットのせいで二十才くらい年上に見えると言われた。
前髪を下ろしてる篁は若々しいって、わたしらまだ二十代だ。二十過ぎればおばさんとか言う娘もいるけど。
「篁、マリナと結婚したんじゃなかった?」
「いや、同棲はしてるけど結婚はしてない」
「そうかマリナは、まだ安倍麻里奈なのね」
「ああ」
「相談ってナニ? マリナか、あんたが、浮気でもしたの」
今のわたしの職を知って連絡くれたのかと、そんなコトを聞いた。
まあ知るはずないんだけど。
「浮気とか、じゃなくマリナが変わったんだ」
「変わった? どんな風に。あの娘まえから変だったけど。あ、あんたそこに惚れたのよね天然マリナに」
「昔の話は関係ない。まあ一度会ってみてくれ、ウチに居るから」
と、言うことで二人が同棲しているマンションに行くことに。
マンションは水同橋方面に。
「ココの303」
三階建ての小さなマンションで彼が専門学校を卒業してから住んでると。
「マリナ、ただいま」
ドアを開けると、這ってマリナが玄関に。
つづく




