テマリの本音
41話 テマリの本音
「あれ、なんだろう? 小人みたいな」
「ドワーフ?、あの石碑をねらって来たのかしら」
ドワーフって、金田さん。ファンタジー。
「あ、鉄格子をくぐり抜けた。行ってくる、金田さん、ここで見てて!」
「あたしも行きます!」
わたしは、テマリと警備室を出て金庫へ。
小人は二人いた。一人は肩に乗り金庫のダイヤルを回してる。
「あんたたち、何者!」
わたしの声に作業をやめた小人が鉄格子の前に。
ちょっとスマートだけど、白雪姫の小人みたいにヒゲを生やし、とんがり帽子だ。
「あんたたち、ナニしてんの?」
「おや、テマリじゃないか」
「ナニ、テマリの知り合い?」
「知らないヤツラじゃないけど……」
「ここに古きモノの石碑があると聞いたので、テマリもソレでか?」
「ナニ、わけのわからないコトを。確かに石碑はあるけど『古きモノ』のソレじゃないわよ。ドコで、そんなデマを?」
「魔女に聞いたんだ。扉をあけるカラクリも聞いた」
「魔女って、アンジェラ?」
小人は二人で目を合わせてから同時に。
「違う、マリリンだ! アンジェラなんて奴は知らない」
「愛さん、アンジェラよ、彼女の別名よ」
「あなたたち、その石碑を手に入れてどうするの?」
「魔女に売る!」
「やはりね。あんたたちは、ウソはつけないのよね。あいつ、自分が失敗したからって。あなたたちに。あの魔女のやりそうなコト」
「そうなの……」
「もし、手に入れて手渡したら、あの魔女は即次元を飛んで逃げるわ、お金なんか払わないわよ」
「魔女は、われらをだましたのか?」
「おそらく、試しにテキトーな偽物の石板を渡してごらん」
なんだか、納得した小人たちは、倉庫から出てった。
「あの魔女マリリンともいうのね」
「だけじゃないわ。他にキャロルとか、マーガレットとか、名乗ってる」
「あの、小人は? あなたのコト知ってたようだけど」
「この世の闇の世界の住民よ、人間にはUMAとか呼ばれてる」
「時々動画で撮られてるよね、連中。テレビで見たわ」
「そうね、中には目立ちたがり屋も居るから」
「ねえ、あなたも魔女と同じ穴のムジナ! そんな風なコト言ってたよね、彼ら」
「そ、そうだっけ?」
「たしか。『ここに、古きモノの石碑が、あると聞いたので。テマリもソレでか?』って言ってた」
「そうよ。『ソレで』あたしはアレを守りに来たって。あの魔女の手に入ったらろくなコトに使わないわ。もったいないもの」
「もったいない……?」
「子供にお宝をあげるよーなものよ」
「そーいえば、あの魔女随分と若く見えたわ」
「アレが一番本物に近い姿よ。セクシーな美女になる時もあるわ。彼女、太古から伝わる魔道書から、人間から精気を奪うコトを学んだわ、それで若さと美貌を」
「性器を奪うって、そんな物取って、どーやって若さと美貌を。まさか食べたりするの? 変態じゃない。いや、それ以上に危ない!」
「え、なんで赤くなって、食べるって……。あの、もしかして、この辺の性器と勘違いしてない?」
とテマリは股関のあたりを指さした。
あ、それじゃないんだ。
じゃ人間のセイキと言えば精液の方かしら。
「あの魔女は人間から精気を奪って何千年も、若さを保って生きてるの……あたしもその方法が知りたい。ハッ!」
本音が出たわねテマリ。
「石板をあの魔女より先に手に入れて取り引きでもするつもりかな……テマリさん」
「するどい! なんでわかったの?」
「あんたの話を聞いてなんとなく」
なんか、ひらめいたの。
「愛さん、あなただって永遠の若さと美貌を欲しくなくて」
「いいえ、わたしゃ早くババァになって、のほほ〜んと暮らしたいから、いらないわ。永遠の若さなんて」
「そうなの……」
「盗みなんてやめて帰りなさい黒ロリちゃん。人を殺してまで生きたいの」
「あたしは人を殺したりは……」
「人間から精気奪ったら死んじゃうよね。あなたって、そこまでして生きようとする悪人には見えないわ。美魔女でも目指しなさいよ美人なんだから」
「ホホホホホホホホッ、笑わせてくれますね。美魔女など、ほんの一時。魔術なら、百年保たせるから価値があるのよ」
魔女、アンジェラが鉄格子の前に。いつの間にか石板らしい物が何枚か台車の上に。
台車の所には大きなネズミが数匹立っている。
「あなたたちのバカな雑談中に、私の使い魔がいただいたよ。じゃあねゴスロリちゃん。残念だったわね。ムダ・アクッ、ラブッ!」
つづく




