表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/698

カミングアウト

40話 カミングアウト


 館長は、黒いフードマントの女に術をかけられて倉庫に入ったらしい。

 普通の警備員なら、館長なのでスルーしただろう。


「鬼コべさん、あなたあの黒マントの女をご存知のようでしたけど」


「『鬼コべさん』、はじめて。そんな呼ばれ方。テマリでいいわ。友だちでしょ愛さん」


「チャイナドレス姿で、女は私の部屋に。あの女は快盗魔女だったとは……」


「館長さん、あの女に誘惑されましたね」


「ああつい、スケベ心が……お恥ずかしい。で、君は?」


「あたしは、獄門島さんの助手です」

「えっ」


 鬼首村手毬は、わたしに、人差し指を立て「しっ」ていうポーズをした。


 助手では、ないけど。館長に説明すると面倒だから、いいや助手で。


 警備室に戻り、金田さんが買ってきたペットボトルのダイエットコーラを飲みながら。


「あの快盗魔女って、何者なの? テマリさん」

「魔女です。名前は、いくつか、あるようですけどあたしにはアンジェラ・リーと」


「アンジェラ・リー。魔女……で、『宇宙人による石碑』を狙ってるわけね。快盗って、泥棒なの? その魔女は」


「どうなのかしら、べつにあの魔女とそんなに親しいわけではないので……でも、欲しい書物が有れば、どんな図書館でも忍び込んで盗み取るような魔女で」


「そうなの、でもあの会話は親しそうだったわ。悪友とか、もしかしてテマリさんもあの石碑を……」

「いやいや、あたしはあんな物、興味ないわ。あ、テマリでいいです」


「あの〜獄門島さん。その方は?」


「ああ、ゴメン。金田さんには紹介してなかったわね」


 とは、言ったけどゴスロリの鬼首村手毬。

 わたし、名前しか知らないんだ。


「あの助手と? 助手は、あたしだけじゃ?」


「それ、ウソだから。館長に説明するの面倒だったから。彼女は、たんなる知り合い」


「知り合いですか……。あの、金田一江(かねだかずえ)です。よろしく」


鬼首村手毬(おにこべむらてまり)よ。コレでお友だちですね。よろしく金田さん」

「どうも……お友だちになれて嬉しいです」


「お友だちになれたので、あたしカミングアウトします。実はあたしジャンパーなんです」


「ジャンパーって、冬に着る」

「違いますよ、愛さん。瞬間移動、出来るんですかテマリさんは?」


「瞬間移動。エスパーなのテマリって」


「エスパー! 久々に聞いたわ。でも、普通のジャンパーじゃないの。あたしは次元をジャンプ出来るのよ。だけど、そんなにあちこち跳べないのよね。思ったトコへポンポン跳べれば苦労しないんだけどね」


「次元をジャンプするって」


「パラレルワールド。わかります? ソレもある一定の場所だけ」


「次元ジャンパー。パラレルワールド……。漫画ね」


「話がまわりくどっかったけど、あの魔女アンジェラは、パラレルワールド知り合ったの。彼女は魔道書コレクターなのよ。集めた魔道書から、魔法を得て次元を飛べるようになったようね」


「魔道書コレクター。じゃ『宇宙人による石碑』は魔道書なの? 石板よね」


「彼女の世界には、それを書籍化した物があるの。その原版と言われた石碑は消えたと。彼女、こっちの世界にあるのを知ったのね。で、現れたのよ。あっちの本は不完全なの」


「なるほど、魔女の動機はわかったわ」


「話は面白いけど、テマリさんはなぜ、魔女の窃盗を阻止するんですか。あの魔女と、お友だちじゃないの?」


 金田さん、面白いところをついた。


「うん、確かにあたしは、向こうの世界で彼女とお友だちになったわ。だから、こそ。お友だちの悪事は止めたいの」


 なんだか偽善的な。


「あたし、正義の味方なの」


 ますます。


「なるほど……テマリさんのカミングアウトついでに、あたしもカミングアウトしていいかなぁ」


 何なの金田さん、急に。実は男だとか、ないよね?


「実は、あたしの名は金田一江じゃないんです」


「え、どういうこと、あなたまさか怪盗魔女?」


 ミステリー物によくあるパターンだ。


「ありえません愛さん。一江さんと魔女アンジェラは同時に同じ場所に。彼女は魔法を使い、逃げました。あれは替え玉には見えなかったわ……」


「あの、そこまでスゴいカミングアウトじゃありません。あたしの本名は、金田一で、名をコウといいます」


「金田一……江」


「ハイ、金田一江(かねだかずえ)ではなく。あたし、この本名嫌いで。世間では、かずえと。父ははじめ、あの歴史上の人物、江姫からとってゴウとしたのですが、母が娘でゴウはと、コウと……」


「そうなんだ。でも、かくすほどじゃ」


「あたしなんか鬼首村だし。なんだか怖いでしょ手毬は、気に入ってますけど。金田一、コウさんカワイイですよ」


「あ、なんだか、あたし恥ずかしくなっちゃいました。なんで、急に……」


  ピーピーピー


 また、警報が。モニターを見ると、なんだか小さい黒い影が動いてる。


               つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ