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フライングヒューマノイド

36話 フライングヒューマノイド


 フライングヒューマノイド、初めて見た。

 夜空に光が動きまわるヤツは、見たコトあるけど。

 昼間は初。


「珍しいヤツだアレは」


「おばさん、アレは、ナニ? 宇宙人?」


 おい、子供。何度もおばさん、言うな。


「宇宙人なのかなぁアレ? なんか人が肩車して飛んでるように見えない?」


「言われてみれば……そう見えなくも。でも、頭でっかちの宇宙人にも見えるよ、おばさん」


「あのねぇおねえさんよ、わたしは。あなたが見ているテレビの歌のおねえさんより若いのよ」


 たしか、今のおねえさんは、三十代と聞いた。


「そうなの? でも、お婆ちゃんと同じメガネかけてるから。帽子も似てる」

「このメガネはね、死んだお婆ちゃんのだったのよ」

「お婆ちゃんも、そういう変なTシャツ着てた」


 けっこう言う子だ。まあ確かにオシャレな娘は着ないシャツだ。


「あ、UFO消えちゃた」

「ホントだ、雲の中にでも隠れたか?」


「おねえさん、あたしがUFO見たって証人になって。あたし、よく見るんだけど。みんな、信じないの」

「そうなの。いいよわたしも、よく見るよ」


「ありがとう。おねえさんもUFO見るの?」

「ホントになんだかわからないヤツね。アレって何なのかしら? あ、じゃ。おねえさん、仕事だから」

「そうなんだ、じゃあね〜」


 なんだか寂しそうだった。友だちいないのかなぁあの子。


 会社に行くと。


「獄門島さん、UFO見ました?!」


 なに、田守くん。わたしのココロを読んだの?


「さっき、この近くでUFOが目撃されたと、ネットニュースで」


 そういうコトか。


「見たよ」


「ホントですか、ボクは見たことありません。羨ましいな。ボクも見てみたいんです。獄門島さん、そのUFOのTシャツはナニか関係が? 朝はカエルの……」

「ないわよ、たまたまよ。UFO見るけど、今日のは初めて見たヤツよ」


「フライングヒューマノイドってヤツですよね。ヤツは、なんですかね?」


「まあわからないからUFOっていうんだろうけど、誰がフライングヒューマノイドって?」


「そういうの、金田さんが詳しいですよ」


「へえ〜金田さん、UFOマニアなの?」


 そこへメイド服姿の金田一江が。


「おはようございます獄門島さん。今日は暑いですねぇ。ナニかお飲み物を」


「いいわ、ソコのコンビニでスムージー飲んだばかりだから」


 オフィスの奥のわたしのデスクに着く。


 漫画雑誌読んでたらすぐにお昼になった。

 出勤して一時間も、たってない。 


 わたしに仕事はなかった。

 これだから、会社が始まる定時に来るのが、いやになる。


 午前中はボーっとしているか読書の日が多い。

 読書は、ほぼ漫画だけど。


 これから毎日重役出勤にするかな。


「お昼行ってきま〜す」


 さて、お昼は何を。

 サイフ出し中身を確かめた。

 Tシャツを安いので済ませたから、少しは美味しい物を。


「獄門島ちゃん、お昼はナニ食べるの?」


「あ、聞かないでください八ツ墓村さん」

「その呼び方、そろそろやめない。アユでいいから。獄門島ちゃん、そのUFOTシャツさぁチョ〜ダサくない?」


 と、言われるけど、やはりアユとは。

 Tシャツはスル〜してほしかった。

 まあ、八ツ墓村さんにはファッションセンス褒められたことないから毎度のことだけど。

 

 もともと、わたしにはファションセンスなんてものはないんだけど。


「ねえ、カツ丼食べに行こう、美味しいトコ見つけたんだ」

「美味しいトコ……カツ。高くないですかソコ?」

「遠慮しないで、今日は社長にお小遣いもらったから私が出す」


「遠慮しませんけど。社長にお小遣いって」


 なんとなく想像はつくけど。


 駅前に新しく出来たという揚げ物屋で上カツ定食を食べた。

 普段は食べない値段だった。

 タダだからより美味しかったわ。

 当分、イヤッ。

 二度と食べれないかもしれない。


 店から出ると八ツ墓村さんが、唖然とした顔で。


「黒い病院坂薫が来る……」


               つづく

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