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来た者

317話 来た者


 カオルが椿さんの布団の中に隠れてヤツの声を直接聞くと言う。

 そう言えばカオルは妖怪や妖精が見えるんだ。前にもココ狩井沢で妖精を見てるし。


 何も出来ないわたしとテマリは客間で待機。

 さて、今夜は現れるのか。


「わあっ、こら」


「ひいっ、痛いじゃないですか愛さん」


「いつの間にわたしの布団の中にテマリ! あ、鼻血出てるよ、大丈夫?」


「愛さんに蹴られたら鼻血も出ますよ」


 テマリは布団から出て自分のバッグからティシュを取り鼻につめた。

 ゴスロリのテマリはショーツも黒。


「テマリ、ブラは!?」


「え、寝るとき愛さん着けてるんですか?」


「いや、普段は。でも、取っとくとテマリが」


「愛さん、あたしそこまで手くせ悪くないですよ。でも久々ですね同じ布団で寝るのは」

「違うだろ、テマリ。あんたの布団はちゃんと隣にあるだろう。油断も隙もない。いつわたしの布団の中に……」


「だって愛さんの体を触って寝ると快眠が……」

「ウソよね、わたしのペチャパイで快眠なんか出来るわけが。まったくナニされるか……」


「今、何時です?」

「2時まわったとこ」

「そろそろ来ますかねアイツは」


 

 茂木林椿の部屋。


「あの、布団の中で苦しくないですか?」

「大丈夫よ、少し開けてるし。椿さん、イイ匂いがするわね。どんなボディシャンプー使ってるの?」


 病院坂さんはパジャマ姿。パジャマも上下真っ白だ。で、パジャマと言ってもロリータ風のヒラヒラが付いたシルクのカワイイやつで触れると気持ち良い。

 わたしにイイ匂いがすると言うが。


「あの、ボディシャンプーとか、使ってません。お祖母ちゃんが昔から使ってる石けんです。病院坂さんも素敵な匂いが、それって香水ですか?」


「石けん……そう言えば風呂場に。あたしは横にあったボディシャンプー使ったけど、椿さんが匂いが違うのは石けんだからか」

「わたしは、小さい頃からお祖母ちゃんの石けんでなれてしまい。ボディシャンプーはお母さんたちが。でも、病院坂さんはその香りではないので香水かと」

「香水とかは、つけたことないの。多分体臭かしら」

「体臭が、そんなにイイ香りなんですか?」

「そんなにイイ香り? 自分じゃわからないから。まあ、どんな香りかは、わからないが相性イイとその相手の体臭がイイ香りに思えると聞いたことがあるわ」

「わたしと病院坂さんは相性がイイのですか?」

「かもね、でも一人じゃないのよ。獄門島さんもテマリさんも相性はイイみたい……。あら、何かの……気配が。来た?」



〘こんばんは、マイハニー。まだおきてるかい〙

「さっきまで寝てたわ」


〘タイミングよく目が覚めたんだね。ソレはボクが来るのを待ってたからだよ。ボクの愛しいひと〙

「偶然よ」


〘そうなのかな、世の中に偶然とかはないんだよ。キミの下腹部はもう暖かくなってるだろ。ボクを迎えようとしてるんだよ。自慰は、してるかい? それよりも何倍もの快感が得られるんだよ。もうそろそろボクと一つになろうよ〙

「まえから考えてたの。他の誰かじゃなくて、なんでわたしなの?」


〘君ほど純真で清い子は、居ないからさ。キミは学校で淫らな話とかしてないだろ。しようとも思ってない。ボクはそういうキミに惚れたのさ。さあ「どうぞ」と言って脚を開いてごらん。ボクはインキュバスではないから、無理やり襲ったりはしないからキミが「して」と、一言〙

「『どうぞ』じゃなかったの。愛しいヒトとか、言ってるけど、あなたはわたしといやらしい事をしたいだけなんじゃないの」


〘今夜はやけに……ん、いつもと違う違和感〙


「ごめんなさいね。それはあたしのせいかしら」


 病院坂さんが布団から出た。


「あ〜ら声だけ聞いていたらどんなボクかと思えば、ご老人じゃない」


 え、病院坂さんは見えるんだ。


〘おまえはなんだ? ヒトなのか、なんでボクが見える〙


「まあ、一応人のつもりだけど。あんた毎晩、純真な中学生にあんなHなこと言ってるの。椿さん、こいつは人間でいえば一種の変態よ。自分はインキュバスとは違うとか言ってたけど、やってることはそう変わらないわよ。この子と一体化してあんたはどうなるの?」


〘ヒトと交わって、もう一つ上のランクに。ボクは神なんだよ、森の精霊なんかじゃない。悪魔とも違う。だから人を無理やり……そんな事をしたらランクが上がらない〙


「ランク、ランクってあんたはRPGゲームのキャラクター?!」


  ドンドン


「カオル、ナニがあったの。開けて!」


 あ、獄門島さんだ。わたしはベッドを降りてドアのカギを。


 ドアが開いて獄門島さんとテマリさんが。


「ヤツと話した。ティンカー・ベルみたいな妖精かと思ったら小人の爺さんだったよ。あなたたちが来たら消えたわ」

「そうなんだ、そろそろかと、耳をすましてたらカオルの声がしたから……」


「テマリさんが言うように妖精なのは間違いなかったは、でも外国人顔だったわ。あれはやはり外国の妖精よ。日本になぜ、あんな妖精が……。あのテマリさん、おっぱい」


「あ、つけるの忘れたわ」


 テマリさんは下は黒いショーツ一枚。パジャマとかは。

 手で上を隠して。


「あの……彼らもナニかが原因で空間移動でもして世界中を移動してるのかしら?」

「ナニかって」

「さあナニかしら? ホラ海外の品物に混じって海外の虫とかヘビとかが輸入されたりするじゃないのそういう場合も」

「輸入……。妖精が」


「あるかもしれません。この近くの白樺林は実は二十年くらいまえに北欧から輸入して作られた林と聞いたことがあります。別荘地ですから、植えるより早く自然な林を作ろうと」


「そんな妖精が木と一緒に輸入とか……」

「愛さん、淫魔が像の中に封じられてて、海外から持ってこられたコトもあるんですよ」

「そんな話があるのテマリ。伊達にオカルトマニアじゃないわね。で、あいつはカオル」


「また、来ると思いますよ。変態だし……」

「そうなの」


               つづく

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