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深夜の声

315話 深夜の声


「✡❝❝❞❞☆∞♀Χ∇µ£§」


「ストップ、止めて。確かに声は入ってるけど、ナニを言ってるのか、まるでわからないわ」


「不思議ですね。わたしには普通に日本語で聞こえてました。今のレコーダーの声とは違いました」


「なるほど、テレパシーみたいなものですかね。こいつは自分の言葉で話してて、椿ちゃんの頭の中ではその言葉が通じている……。ちなみになんて言ってたの?」


「え、言うんですか?」


「あ、言える範囲でいいですから」


 うつむいた茂木林椿は頬を赤らめて。

 小さな声で。


「おまえをずーっとまえから好きなのは知ってるだろう。ぼくは、おまえを救ってあげたいのだ、妙な人間の作った神など信じるな、ぼくとともに生きよう。一つになるんだ」


「あの、ぜんぜんHで卑猥ではないよね椿ちゃん。『一つになるんだって』やはりアレかな」


「それは……言いたくありません」


「こら、テマリ。自分の興味本位で……。要するに彼女を誘惑しているのよねヤツは。『人間の作った神など信じるな』って、こいつは……。テマリ」


「よく悪魔が口にするわよね……悪魔祓いとかで」


「じや悪魔なんですか?」


「あの、今回も触れてきたり、あなたが自分の手でおかしなコトとか、してないの?」


「そのへんはいつもと変わりません。声だけです」


 その朝は、茂木林椿には学校に行ってもらい。わたしとテマリは、あの奇妙な声の入ったボイスレコーダーを持ちアンジェラのトコにジャンプした。



「おまえらはいつも突然だな!」


 入浴中だった。


「ゴメン、アンジェラ。ココへ来るのは簡単だけど時間とか制御出来ないのよね」


「最近減ったけど、まえは帰りに、こちらの世界の過去に跳んだコトがあったわ……ちょっと面白かったけど。そういう能力だからアンジェラ、許してやって」


「最近はこの体だからいいが、まえの体のときは男との最中に来たことがあったよな」


「アレはいいものを……」


「ゴクモントー。テマリは基本スケベだから気をつけな」


「そういえば、アンジェラは最近ご無沙汰」

「なっ。今はな、身体が子どもだしな、性欲とかないんだ。まだ生理もないから楽だぞ子供は」


「そうなんだアンジェラは、生理ないんだ。いいなぁ~でも、子どもにはもどりたくないなぁ」


「ところでおまえたち何しに来た?」


「ああ実は……」


 簡単にボイスレコーダーについてのコトを話してアンジェラに声を聞いてもらった。


「何だコレは……。人の声ではないのは確かだ

……。ナニを言ってるかなんて、さっぱりわからない」

「聞いた娘によるとHで卑猥なコトとか。アンジェラ、訳せない?」


「アンジェラは、コレはなんの声だと思う?」


「悪魔だって人に話すときは人語で話す……。コレで人に話してるのなら相手に伝わってるはずだ。相手の頭のなかではその人物が理解できてるテレパシー的ものか」

「あ、ソレはあたし言いました。問題はその声の持ち主は何者なのか?」


「『人の作りし神は信じるな』と、その声は……」


「なるほどゴクモントー。そいつは、人が作ってないモノだ。だとすると……古きモノ」


「古きモノ。ソレはナニ? アンジェラ」


「もうテマリわかるだろ?」


「え、ソレは……新しい人が作った神より古き神」

「ええ、神様なの」


「古き神たちは人が考えた全知全能の神とは少し違う、彼らは精霊だ、わかりやすく言うと妖精とでも」


「妖精? あの羽根がある小さいヤツ」


「妖精と言ってもそんなヤツばかりじゃないのよ、愛さんはファンタジー系のロールプレイングゲームとかやったことあります?」


「ゲームは『スーパーゴメス』くらいしか……あと格闘物もちょっと」

「そうですか、妖精って日本でいう妖怪みたいなもんでいろんな種類がいます。おそらく夜中に誘惑に来るなんて、なんかやはり夢魔みたいな妖精ですかね」


「その娘は、どんなタイプだ」


「普通の中学生よ」

「男はいるのか?」

「そうね聞いてないけど、どうかなぁ」

「ある種の妖精は純真無垢な少女に取り憑いて一体化をはかるとも言われてる、その中学生が一度でもうなずけば心はヤツに奪われると聞くが、実際の例は初めてだ。作り話ならその古きモノは、新しいモノによって滅ぼされる」


「新しきモノって」

「人が今信じてる神だよ」


「そのノリだとエクソシストね」


「まあ、相手がどんなヤツかはわからないからな、その辺の神父や坊さんで相手出来るかな?」



 なんて言われて帰ってきた。さてどうしようテマリ。教会か寺へ行く。それとも神社。

 陰陽師とか、東侠に居るのかな?


「オカルトマニアのあたしではエクソシストは……。やはりカオルさんに来てもらいます?」

「でも、あのコ、祓いとかは出来ないと。それにどうやって連絡を」


「カオルさんを思って跳んでみます。やったことないけど」


 と、ジャンプしたテマリが消えた。


 夕方、椿さんが帰って来た。


「妖精ですか? そんなモノが日本にも……」


「そうね妖精といえば西洋のおとぎ話よね。日本にも居るのね。で、ヤツの誘いに絶対乗ってはダメ。たとへ相手がピーターパンみたいでも」


 アンジェラが言っていた。

 こっちとあっちでは100パーセント違うわけじゃない共通するものもたくさんある「ピーターパン」の童話もその一つだ。


「妖精は、悪いいたずらもするが、付き合うコトで良いこともあるそうだけど、やはり付き合うものではない人外のモノだし。そういうのに詳しい人に聞いてきたの。彼らは、あなたみたいな純真無垢な少女が好きなのよ。彼氏は居る?」

「いません。男の子と付き合ったことは、ありません。わたし、Hなコトとかはその声から教わってきました。はじめはちんぷんかんぷんでしたけど学校で級友たちの話を聞くと、ああこのコトかと。級友の中には男の子とお付き合いしてる子もいますから、そんな体験話も……。あの自慰の仕方も教わりました。みんなしてると……。あ、言ってしまったわ。恥ずかしい。わたしは、そんなコトは……」

 

 赤くなった椿さんは冷蔵庫から冷たいお茶を出しゴクゴクと。 


 してるのね。 べつにそんな恥ずかしいことじゃ。


   パンポーン


 あ、テマリが戻った?


               つづく

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