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廃校にて

30話 廃校にて


 メイドカフェか。と、思えない。


 こういう店でありえない言葉を言ったのは肩にフリフリが付いたエプロンつけたお婆ちゃん? 髪は白髪まじりだ。

 六十代くらいかしら。


 最近の人は還暦過ぎても若いから老人とか、言いにくい。

 言ったら怒る人も。六十過ぎれば老人よね、映画だってシルバー料金だし。


「あんたら、何処から?」


「はあ、東侠です」


「東侠では、こう言うと聞いたけど」


 誰かウソを教えたらしい。

 海外の観光地か、ここは。


「なあぁ、店長さん!」


 厨房から、店長さんと呼ばれたボーズ頭の中年のオッさんがニコニコ顔で出てきた。

 この人が「マー姉ちゃんの店」の婿さんかしら。


「昔の喫茶店の話です」


 いやいや、今も昔も普通の喫茶店では「ご主人様」は言わないから。

 ソレにわたしらお嬢様方だし。


 壁に貼ったメニューを見てカオルが。


「お蕎麦だけじゃないんだ。あたし、オムライスが食べたい」


「じゃ私、カレー」

「わたしは、お刺身定食!」


 って、お蕎麦屋さんだけど誰もお蕎麦をたのまない。

 あるある。


「思ったより、普通の島よね」


 テーブル席につくなり八ツ墓村さんが、わたしの耳もとで小声で言った。


「そうですね、もっと陰気な島だと……」


「はい、カレーライス」


 カレーは早い。

 次にオムライスが来た。

 最後にわたしのお刺身定食。


「あんたたち、釣り師には、見えないね。観光に来たのかい? 本島から来るのは、ほぼ釣り師だ。テレビとかの取材でも、ないだろ」


 やはりと、いうかカオルの姿をしげしげと見て。


「雑誌の撮影か、なにか?」


 グラビア撮影とかも来るらしい。

 で、とっさに。


「そ、そうです。彼女が、モデルでコチラがスタイリスト、わたしがカメラマン」



「あんたが、カメラマン? カメラは?」


 突然ついたウソだ。そんな設定、もちろんない。


「コレ!」


 わたしはスマホを出して見せた。


「コレは最新のカメラです。これで、望遠も広角もいけます」


 まあウソではない。

 ふと、画面を見た。まだ、圏外だ。

 とりあえず圏外でもカメラは使える。


「へえ〜薄くなったのねぇ最近のカメラは」

「テレビだって薄くなりましたよね」


「そうかい、最近買ったのはアレだけど、薄くはないね」


 と、オバさんは、リモコンでテレビをつけた。

 画面にはドラマが映ったが、映りが悪い。


「映り悪いですね」

「そうかい、この島はみんな、こんなもんだよ」


 電波の入りが悪いんだな。


「古いドラマね、再放送かしら。関東から離れるとテレビ放送大分違うわよね。コレ、朝ドラだよね? 昔見たよね」

「八ツ墓村さん、ゴメン。わたし朝ドラ見てないから、わからないわ」


 食事が終わり、店から出て二人が。


「久しぶりに食べたよ、あんなオーソドックスなオムライス」


「大きな声では言えないですけど、レトルトカレーの味だったわアレ。私もお刺身にすれば良かった」


「漁港ならサカナでしょ。それに必要経費で落とせるから高い物食べた方が得よ。社長、そういうとこ気前がいいのよ」


「早く言ってよぉそーゆーの獄門島ちゃん!」


「さて、撮影のふりして何処かへ行きましょう」


 わたしは、資料の中にあった島の地図を見た。

 ひょうたん型のわくに点がある適当な地図だ。道など載ってない。


 村と、書かれた点から大分横に離れた場所に廃校とある。村は、廃村とは書いてない、古い地図でかいたのか? 古い廃校へ行ってみるか。


「廃校って、おばけとか出ないかしら。遺体が出た洞窟調べてさっさと帰ろう。そっちの方が出そうだけどね」

「洞窟が、さ〜。釣り場近くとあったけど、島の裏の釣り場には無かったよね、探すのも大変だし、とりあえず廃校へ。洞窟は明日にでも」


「明日! 今日は島に泊まるの。あの釣り人さんは夕方のむかえに来る船で帰ると、私ら帰れなくならない?」


「大丈夫よ、どうにかなるから……八つ墓村さん」


 どうにか、なるよね。自信ないけど。



 廃校前。


「夜護子小学校だって、今と字が違うわね」


「あたいが、そこの最後の生徒なんだ」


「あら、アカネちゃん」


「家でご飯食べて、学校行こうとしたら、おねえさんたちが見えたから追てきた」


「いまさらだけど、学校は」


「いいよ、こっちの方が面白そうだし」


 どうしょう。調査しにくくなる。


「茜ちゃん、島の事件のコト知ってる?」


 と、八つ墓村さんがストレートに聞いた。


「事件って?」


 若いから知らないのかしら。


「事件……おねえさんたち、事件を調べてんの」


「いいえ、ココに来る前に聞いたから怖いなと思って。島のおえらいさんたちが生け贄をあげてたという」

「生け贄、そういう話は大昔……。でも、この島は子供や若い連中が少ないのはたしかだ。若い連中は、すぐに島から出るって聞いたけど。あたしも中学終えたら出るつもり」

「島から出た若い人たちは実は……なんて話はないの」


 八ツ墓村さんが憶測で言った。


「本島に行く定期便がないから、みんなどうやって出たのか、わからないのよね」


「だって、愛ちゃん。怖いね」


「でも、生け贄を出してた網元や村長は捕まったのよね。最近もやっぱり若い人たちは、少ないんでしょ?」


「少ないよ。でも、生け贄はないよ。みんな、家の船でこっそり出てくんだろうね。あたいもジィちゃんに頼むつもりだ」


「帰ってきてるの若い人たち?」

「みんなじゃないけどね。ホラ『マー姉ちゃんの店』のマー姉ちゃんは、婿さん連れて帰った」


「何処でもある話よね。私、なんか実家出てから帰ってないわ。親も生きてるのやら死んでるのやら」


「八ツ墓村さん、ご両親に連絡先、教えてないの」


「ええ私も東侠で、のたれ死んでると思われてるかもね」


 実はわたしも同じようなものだったりして。


「さあ、何処か適当なとこで写真撮って仕事終わらせましょ」


 わたしは、彼女が島の都市伝説を知らないようなので、話を止めた。

 都市伝説の地元の人は、あんがい知らなかったりする。


 ウソ設定の仕事をはじめた。


「おねえさんたちは、遊びにきたんじゃないのか」


 校庭で二宮金次郎像を見つけて、カオルを並べてパチリッとプロぽく数枚、廃校舎の前でも数枚。


 休憩中、撮った写真を見てたら。


「あら、この写真。心霊写真!」


               つづく

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