地底人の身体
203話 地底人の身体
ヒーローって、商売じゃないから本業がないと、やってられない。
稼ぎがない。
命、はってんだからボーナスの一つでも出してもらいたいよ。
ボーナスはいらないから、せめて生活が出来るようにしてくれないかなぁ。
合宿所みたいでもイイ。
出動が多いと月給にひびくし。
漫画とかでスポンサーを付けたヒーローが、いるけど、ありゃ昼間公衆の面前で活躍してる連中だ。オレたちみたいに闇で密かに地球を守るヒーローには向いてない。
などと愚痴も言いたくなる。
で、オレのアパートだ。
都内というだけがとりえの安アパートだ。
「汚い部屋だが、あがってくれ」
「ホントに……。基地内の私の部屋はキレイでした」
「そうなのか、すまん。基地内に生活エリアが?」
「いえ、個人の寝るだけの部屋でした。でも、何もなかったぶんキレイでした」
「それ、独房じゃなかったのか?」
たしかに、この部屋は散らかってるし、モノが多い。
ダンベルやら、の鍛錬道具。武道書の数々。暇つぶしの漫画雑誌とかも。あ、マズッ!
本棚の横にエロ本とAVのディスクが。
「グリーン、やはり出よう。知り合いのビジネスホテルがあるから、ソコに泊まるといい」
「あの、私はお金を持ってません」
「オレが出す」
本部に、領収書を出してカネをもらわんと。
正義のためとはいえ、無収入でこき使うのはパワハラってもんだ。
パワハラの使い方あってるのかな?
「ブラックさんの部屋でもいいですよ……。汚いなんて言ってごめんなさい」
「ナニを。グリーンは、汚いなんて言ってない……」
「ココに泊めて下さい」
と、グリーンがオレに寄り添った。
なんだか、妙な展開に。
「私はスパイの養成所に居た頃は、もっと酷い部屋に……あ、気にしないでね」
わからんでもないが。地底人のスパイ養成所って、よっぽど酷い所だったんだな。
思えば大学生の時のボロアパートは、ココより酷かった。
そんな部屋に、はじめて出来た彼女を入れ。
ナニ思い出してるんだオレは。
なんとか部屋をかたづけて。一人分の布団はひけた。
いつもは、この部屋で寝袋の中に。
「グリーン。オレはお茶の間で寝るから、ココをつかってくれ」
「布団はオレので。もうしわけないが、それしかないからガマンしてくれ」
「大丈夫です。私、ブラックのコーヒーみたいな、臭い好きだから」
コーヒー? オレ、そんな臭いするのか?
オレがコタツに入って寝てると。
パルルルル
戦隊用のスマホが鳴った。
〘みんな、無事かしら?〙
犬上明菜の声が。
いや、司令の声だろう。
〘私も地下通路を通り脱出出来た。が、千葉の基地は使い物にならないくらい破壊されたわ。 私が今居るのは祭玉の花巣壁基地よ。明日正午にココに集合。場所のマップは送るわ〙
「あ、ブラックさん、聞きました。基地が変わったようですね」
って、グリーンがドアを開けて裸で。
「おい、グリーン! 裸で寝てたのか!」
「私たちは寝るときはいつも……」
「そ、そうか。寒くないのか」
「私たちは、暑さも寒さも大丈夫な身体ですから」
「そ、そうなのか。地底人はスゴイんだなぁ……」
「そうでもないです……では、おやすみなさい」
まさか、裸で。びっくりした。
みごとな生おっぱいだった。
薄明かりだったが、ちゃんと下も緑色だったのが見えた。
いかん、興奮して眠れそうにない!
オレはトイレに行った。
眠れないまま、夜が明けた。
「おはようございます」
グリーンは朝はちゃんと、戦隊のスーツを着ていた。
グリーンは、他の服を持ってない。基地に居たときのままだ。
バイクに乗るときはいいが、普段はあまりに目立つグリーンの全身スーツ。
この戦隊スーツは、なんで出来てるのか知らないが全身タイツみたいに体にフィットしていて体の線がハッキリ出る。
さすがに男用は股間は防御カバーが有り。モノは浮き上がらない。
だが、昼間の移動はずっとバイクに乗ってるわけにもいかず。
当然オレが着替えを持ってるわけもなく。
オレの上着を貸して近所のショップへ買いに行かせた。
帰ってきたグリーンを見て驚いた。
「なんだ、それは。まえと変わらんじゃないか」
なんと、緑に白いラインが入ったジャージの上下じゃないか。
「コレ、安かったし。気に入ったから」
寒くは、ないと言ってたがオレのモスグリーンのジャンパァを着せ、彼女の戦隊スーツを入れたリュックを渡しバイクで祭玉の花巣壁を目指した。
ゴーグルは、基地のロッカー室で。
多分新しい基地にもあるだろう。
何故か昨日のオレたちのゴーグルは、昨夜の連絡と同時に壊れた。
かぶっても視界がせまいタダのマスク状態だった。
渋屋。
わたしを尾行するなんて、やっぱりストーカーかしら? 学生の頃、後輩女子から、ストーカーされたけど。社会人となってから、そういうのはなくなったし……アレ。
「テマリじゃない」
「愛さん、おはようございます。仕事ですか?」
「ええ、田守くんが治りかけていた足をまた悪くしてね。おかげで、浮気調査や身辺調査がわたしにまわってきてね。やりなれないから、大変よ」
「手伝いますか? あたし、暇だし」
「暇なのは、テマリさんだけじゃありませんわよ」
「わ、テマリじゃあるまいし、ドコからわいて出たカオル!」
「愛さん、あたしじゃあるまいしって、なんですか?!」
つづく




