あたしを助けて
19話 あたしを助けて
東部邸。
「お嬢様、どうでした。学校は?」
「まあうまくやった方ね。 このコの記憶で、なんとか、しのいだけど。学生だから、友人が少し不審がってるわ。もう少し記憶をチェックしないとあぶないわね。志摩さんみたいな行きずりの老人だと楽だわね」
「あんたが選んだんだぜ」
「ダバ、そういうお酒の呑み方はヤメて、家の中がお酒臭くなるわ」
「なんでおまえたち兄妹は、酒を飲まないんだ? まあいいけど。次から、一体の仕事の値を上げたい」
「何が不満なの?」
「不満はないが、この国の物価高だよ」
「便乗値上げかしら!」
「そう思ってもいい」
「わかったわ。兄さん言っとくわ」
「お嬢様。お客様が」
「誰?」
「伯父上様です」
「応接間へ、すぐ行きます」
応接間。
「いらっしゃい伯父さん」
「?! もしかして、おまえ夏美か。……随分若い体を手に入れたな。まだ、子供じゃないか」
「いえ、コレでも高校生よ」
「それでも、未成年だ。大丈夫なのか?」
「ウフフ、兄さんみたいなコトを。大丈夫です。私、器用ですから」
「そうか、まあいい。私もそろそろ人の体を手に入れたい。近所の子供に敏感なのが越して来てな。顔の無い人だと言われるんだ」
「ええ、時々居ますわね」
「永いこと同じ町に住んでたが、そろそろ」
「そうですか。わかりました。で、年齢とかの希望はあります?」
「いや、特には無い。異性以外はな」
「わかりました見つかり次第連絡します」
「じゃ、正治によろしく」
東部邸。外。
「あ、誰か出て来た」
東部邸から、出て来た。初老の男は、わたしたちを見て怪しげな顔をして、駅の方に歩いて行った。
まあ、わたしらを見て変だと思うのが普通だ。
「やっぱり。入る時は、帽子を目深にかぶってて、わかりづらかったけど。あの男、黒のっぺよ」
「そうなの。 ねえ、薫さんは、この家の周りの魂とはコンタクト取れないの?」
「どうかなぁ。 やったコトないから」
「魂と喋れれば、この家の秘密がわかるんじゃないかと」
「そう、じゃソコに居るお婆ちゃんと」
「えっ、ドコ、ドコ?」
「ソコ……。お婆ちゃん、話せる……」
わたしが、居た歩道に居ると、わたしにはナニも見えない。感じない。
「ダメみたい……」
だろうな。簡単に死者とかと、話せたら。あんた名探偵になってるよ。
「向こうからコンタクトしてくれば、話せるのよ」
そうなんだ。
〘ソコのロリータちゃん〙
「え、誰?!」
急に薫が、振り向いて上を見上げて。
「あなた、もしかして」
〘ホントだ。こっちから、話したら通じたわ〙
「一昨日、この家に来たわよね。あなた」
〘うん、来たよ。で、あたし……体、乗っ取られたのよ。まいったわ〙
「なるほどね……もしかして、中に居る外国人に」
〘わからない。気がついたら、こんな状態に。で、あたしが動いてるのを見たの。学校にも行ったけど誰もあたしに気づかない……あたしは、死んでしまったの?〙
「元の体に入れば……。ソレには今、入ってるヤツを追い出さないと」
〘ロリータちゃん、あたしを助けて〙
「助けてあげたいけど……」
「薫さん、誰と話してるの?」
「一昨日、ココへ黒のっぺと来た女のコよ。今、中に居るのは彼女の体を乗っ取たヤツね。多分、一緒だった女よ。黒のっぺたちは……普通の人の体を得て顔を」
「そうか、ココに沢山居るという魂たちは体を黒のっぺに乗っ取られたのね」
「じゃないかと」
年間何人もの行方不明者が出てるというけど、そのウチの何パーセントかは、ここに。
「どうしよう愛さん」
「こう見えてもCIA、乗り込むわよ」
つづく




