見鳥川緑
17話 見鳥川緑
東部邸。
「遠慮なく入って、パーティー会場は別なの。ココは兄の自宅。ココで着替えをしてから行くから、お茶でも飲んで待ってて。お志麻さん! この子にお茶を。あ、若いからコーヒーがいいかしら。暑いからアイスがいいわよね」
「アイスコーヒーでいいです」
「お志麻さん、アイスコーヒーね。すぐもってくるから。あ、私は正治の妹で東部夏美。大学生よ。あなたは?」
「名前言ってませんでしたね。見鳥川緑です。姓のみどりは、見る鳥で名前は色の緑です」
「そうミドリちゃんね。あらためてよろしく。着替えてくるわ」
パーティーだ、Tシャツにジーンズでは、行くないのか。
ドレスでも着てくるのかなぁ。
あたしのようなギャル系ファッションでも大丈夫なのかしら?
「どうぞお客様」
「ありがとう」
「ミルクと砂糖はコレを」
砂糖は液体シロップ、ミルクはポットに。
「いただきま〜す。冷たくて美味しい」
「お客様、コレを乗せてください」
「アイスクリーム! 嬉しい」
シロップいらなかったわね。コーヒーフロートだわ。
「美味しい……アレ……」
「ダバ、準備はいいかしら?」
「いつでも、大丈夫だ。あの小娘か。いくつだ」
「高校生で、選挙権がないそうだから、十六、七でしょ」
「夏美、やっぱり未成年は気がすすまない」
「弱気ね兄さんは。わたしがうまく、あの子になりすますわ心配しないで」
ライブ会場前。
「ミドリ来ないわよ、ナニやってんのかしらあの子。栞、連絡は?」
「あたしたちの『次の電車に乗る。』が、最後のLINEよ」
「始まっちゃうわよ、入ろう! ミドリ、チケット持ってるから、後から来ても入れるから」
東部邸の屏の下。
「おかしいわね。あの黒のっぺの男女は、なんであの女のコを中に」
「そうね。あの様子だと、女のコは、拉致されたようには、見えなかったわね」
しばらくすると。
「あ、ガレージが開くわ」
「女のコと男の黒のっぺが、出てきた」
黒のっぺと言うが。薫には普通の顔が見えないのか?
あの男、資料に載ってる、あの家の持ち主衆議院議員の東部正治だ。出たのは二人。入る時に一緒にいた若い女は、居ない。
東部が、送っていくのか。来た時の運転手付きの高級車と違う常用車で出た。
「行っちゃたね。どうします愛さん」
さて、どうするか。
「なんか、変なのよねぇ」
「どうしたの薫さん」
「薫で、いいですよ。あの、帰った女のコ。来た時とオーラ、背光ね。色が違うのよね」
「オーラ、はいこうって?」
「人の体から波しってる光よ」
「その、オーラ。背の光で、はいこうね。て、コトは、今の女のコは別人かしら?」
ライブ会場近くのカフェ。
窓際の席に座ると土門栞たち。
「ミドリ、来なかったわね」
「来ても見つけられなかったのかなぁ」
外をライブ終わりの人たちが帰るのを見ながら。
「あのコ、気まぐれなトコあるから気が変わって来るのやめたんじゃない」
「ないと、思うけどなぁ。チケット買ったんだし。ミドリ、楽しみにしてたよ今日のライブ……。あ!」
「どうしたの栞?!」
「今、外にミドリが」
「え、ドコドコ」
「ないわよね……。だってココ二階だよ。ミドリか見えたのはその窓ガラスの上の方だったの」
「へえ〜栞、それ、まぼろしぃ」
見鳥川邸。
「緑、あなた今日ライブへ行かなかったの? わたしのスマホに栞ちゃんからLINE入ってたよ。緑が来ないって」
「ただいま。アオ姉。気分が悪くなったから行くのやめたの。わたし寝るわ」
「待ってよ緑、栞ちゃん心配してたからLINEしときな!」
「ホント、あの子帰ってきてから、ちょっと変なのよね。ホントに気分悪いのかしら。蒼、後で部屋覗いてみてね」
「そうね、なんかいつもと違ってたわよね、あのコ」
翌朝、土門健のアパートの前。
「おそいなぁ」
どうしたのかしらミドリ。
いつもはもう来る頃なのに。
遅刻しちゃうわ。行くか。
駅への交差点。逆へ行くとミドリんチだ。
姿は見えない。
「おはよう栞ちゃん!」
「え、あ。おはようございます」
お父さんの助手の江戸山さんだ。
「どうしたの?」
「あ、いえ、いつも一緒に学校行ってるコが来なくて」
「ああ、あの元気がいい子ね。アパートの前でいつも一緒の」
「はい、彼女です。学校に行く時は大丈夫なんだけど、遊びの時はよく遅れるコで。なのに今日はまだ」
「そうか……アレ、向こうの歩道を行くのあの子じゃない」
「あ、そうだ。ミドリぃ!」
ミドリは振り向くと笑って手を振り。
また、駅の方に。
「あれ?」
「あの子、日焼けしたの? やけに色が黒かったわ」
「いえ、一昨日は、いつもと変わらずで色白でしたけど。まさか、昨日日焼けサロンとかで? あの子は日焼けすると赤くなって皮がむけて、そう色黒にはならないタイプよ。黒いだなんて。見間違いじゃ。いつもと変わらなかったわ」
「そうかなぁ、確かに前見た時は色白だったわね」
「あ、ゴメンネ。電車、乗り遅れちゃう。おーいミドリってば待って!」
「あ、なんか前とオーラも違うわね……ナニかあったのかしらミドリ」
つづく




