玉蟲先生2
168話 玉蟲先生2
叔母さんが、正月の料理の買い物に行くというので一緒に。
大きなスーパーだ。わたしが居た頃のこの町にはなかった。
叔母と離れて、一人でブラブラ見ていると。
「獄門島じゃないか、久しぶりだな。メガネ変えたな。髪、伸びたな。話は双子から聞いたぞ」
うわっ玉蟲先生。
中学のときはお婆ちゃん生きてたから。メガネは普通の縁無しをかけてた。髪もおかっぱだった。
隣にいる若い子は、噂に聞いたロリ婚の奥さん?
「ちょっと墓参りに……」
「獄門島先輩、お久しぶりです」
先輩って、言われたけど憶えがない。ダレ?
「先輩、あたしのこと覚えていませんか? 先輩が三年の時に入った板倉一美です」
「今は玉蟲一美だがな」
やはり奥さんか。だけど、知らない板倉なんてぇ後輩。
この記憶もタイムパトロールに。
いや、もともと、わたし一年の後輩なんて一人も憶えていない。
夏休み前には受験で部活やめたし。
「ごめんね。おぼえてなくて……板倉さんでしたっけ」
「玉蟲だ、獄門島」
「先生の奥さんなのね」
「あたしなんか、下手だったし。目立たないボッチでしたから、おぼえてなくて当然です。先輩のせいではありません。あやまらないでください」
って、言われても。
「一年のときは、目立たんかったが、この娘は熱心にやってからな。俺が、手取り足取り教えてな。今じゃ俺の道場の師範を任せてる」
「先生が手取り足取り……それ以上に教えてくれたおかげです」
なるほど、それで今にいたるか。
「そうだ、獄門島。今夜ウチに、こないか。スキヤキパーティーやるぞ」
あ、奥さん先生に腕くんだ。
この二人もウチの親と一緒だ。
「あ、すみません。仕事があるんで夕方に帰るんです」
「仕事か。何でもMMCとか、ミヤが言ってたな」
「先生、MMCって?」
「亭主を先生と呼ぶなって言ったろカズちゃん。Mはなミニだ、もうひとつはミルクのM。ミニミルククラブだよな」
なによ、それ? 意味わかりません。わたし、そんな小さくもないし。
「先生。それなんです?」
「だからぁ先生は〜。小さい胸のキャバクラだ。獄門島。中学の時から変わらんなぁ」
セクハラで、訴えてやる。
わたしをキャバ嬢だと思ったのかしら?
やっぱり、あの子たちが言ってたように。
このスケベ先生に、わたしナニかされたのかも。
記憶なくして、良かった。
見ると奥さんは巨乳だった。
先生たちはイチャイチャしながら去った。
「あ、愛ちゃん何処に行ってたの。何か、食べたい物ある? 何でもいいわよ」
ああ、わたしの知り合いで一番マトモなのは叔母さんだわ。
「今夜、ビーフストロガノフが食べたい」
「どうやって作るのソレ?」
そうだ、叔母さん少し天然だった。
『愛 故郷へ』の巻 おわり
つづく




