墓参り
167話 墓参り
年末に母の命日がある。
わたしは休日をもらって叔母の家に。
とーちゃんは、再婚の時に前妻の仏壇は、まずいと叔母の所へ仏壇を移した。
「この前来たときは大変だったね」
「ええ、まあ。アレはその後は?」
「出てないねぇ」
「そうですか。良かったです」
「マサ兄とは、会ってるのかい?」
「家を出てからはぜんぜん。妹たちから聞きました。相変わらずだと」
「綾ちゃんと宮ちゃんには会ったのかい」
「東侠に来たときに」
「そうかい。元気だった。私は足を痛めてねぇ……年はとりたくないわ」
と、叔母さんはコタツの中の足をさすった。
「マサ兄と義姉さんが、こないだ線香あげに来たよ。義姉さんも相変わらずキレイだったね。最近ますます、あんたの母親に似てきたよ」
「そうですか。ホント、とーちゃんが再婚するって言ってきたときは、あたし許せなかった。ママが亡くなって3年もたってなくて。でも、義ママを見て驚いたわ。ママが生き返ったと思ったもの。でも、とーちゃん。話したんだねママが亡くなったコト……」
「あぁ。アレは双子ちゃんたちが産まれた頃かなぁ二人で来て。ホント。相変わらず、あんたの母親のときみたく。いつでもベタベタとマサ兄」
翌日、叔母のクルマで墓参りに出かけた。
「あら、マサ兄」
「君江、おまえも墓参りに。! えっ愛か? 愛じゃないか。それ母さんのメガネ、おまえが……」
「とーちゃん。久びさに娘と会って、お祖母ちゃんのメガネから」
「あ、いやなぁ〜。なんと言ったらいいのか、わからなくて。とっさに目についたのが、そのメガネでつい」
「そう。ちゃんと憶えてたのママの命日……でも少し早いけど」
「仕事の都合もあってな、来れる日に来た」
「わたしと同じね」
「聞いたぞ、コンピューターの会社に勤めてるんだってな。なんだっけMMCとか」
「ぜんぜん違うわよ。あの子たちが物覚え悪いのか、とーちゃんの方か……」
「違うのか? まあいい。東侠でちゃんと食っていけてんだろ」
まったくとーちゃんには似合わない背広と花束を持ちママの墓前に。
しゃがんで、花を。
そして線香に火を点けて手を合わせながら。
「わるいな。俺は今は幸せだ。ホント、今の妻はお前と生きうつしでな……」
「とーちゃん、ママにのろけてんの?」
「いや、違う。ただの近況報告だ。あのな俺は本当に真央は、ケイコの生まれ変わりだと思ってる」
「とーちゃん、ありえないよ。生まれ変わりならわたしより若いでしょ真央さん」
「細かいことは気にしない。一休さんも言っていた」
「知らないわ」
「時間は、あるのか? 時間があるならウチにも寄らんか」
「いいよ、とーちゃんのベタベタ見たくないから」
「夫が妻とベタベタしてナニが悪い。お前も旦那をもらえばわかる。そーだ。お前、いい男は、いないのか? ミヤたちはナニも言ってなかったが」
「男なんかいないよ」
「ケイコ、悲しいなぁ。愛のヤツいい年してまだ男がいないそうだ。今の愛の年よりまえに、おまえと俺は……イチャつき放題。で、今の愛と同じ年には愛を産んでたつーのによぉ。なさけない娘だ。愛のやつまだ、男を知らねぇ……」
「ママの墓に何いってんのとーちゃん!」
「なあ、あの男はどうした? いきなりウチに来て愛を嫁にくれと来た」
あ、そんなヤツ思い出したくもない。
「あんな、ヤツとは、とっくに縁を切った。とーちゃんが、あのときいいよ。とか行ったから。とんだ勘違いをして、わたしのこと許嫁だなんて。いい迷惑だった!」
「縁を切った……。それまで付き合ってたのかヤツと。俺は名前も忘れたが……なんだっけ」
「付き合ってなんかないわよ、思い出したくもないわ、あんなヤツ。帰ろう叔母さん!」
「愛ちゃん、線香まだ」
「また来る!」
「珍しいねぇ。私、愛ちゃんが怒るのはじめて見たよ」
「どうしたんだ。あいつ、ケイコの前で……」
「マサ兄が、愛ちゃんの触れちゃいけないトコ触れちゃたんじゃないの」
「ソレなに?」
つづく




