土門親子と助手
16話 土門親子と助手
家近くのスーパーの駐車場で。
「あつ、選挙演説してる」
「あの人は近くに越してきた人だよ。ミドリ」
「あたし、そーゆーの興味ないから、わかんないよ。でも、あの人って若くてイケメンじゃない。政治家ってイメージないよね。ちょっと歳をとったジョニーズアイドルって感じ。一票入れちゃうかぁ栞」
「わたしたちまだ、選挙権ないよ」
「そうだね。あのおじさん貴重な一票をのがしたわね。アハハハ」
「じゃね、明日は遅刻厳禁よ。いつもみたいに遅れたら、行っちゃうからねバ〜イ。ミドリ」
「バイバイ栞」
背田谷住宅地のある家の前。
「ヤバい家よね、あの家」
「そうなの……」
わたしには普通の家にしか見えない。
見る人が見ればわかるんだ。
「愛さん、なんか家探してるみたいだっけど、まさかココ」
実際ここなんだけど、仕事上言えない。
「あ、いや。なんかもっと先みたい」
「そうですか、良かったですね。この家ヤバいですからね。関わらない方がいいですよ。どんな人が住んでるのかしら」
資料には、最近越してきた議員の男の家と。
家は、売れていたタレントが落ち目になり売った家らしいが。
異変は議員の男が越して来てからだからだと。前の持ち主のタレントは関係ないだろう。
土門心霊研究所。
研究所なんて、看板上げてるけど、ただのアパートの一室。
こいつのおかげでウチはビンボー。
その隣が我が家だ。ちゃんとした一軒家に住みたい。
部屋のカギを開けてると。
「おかえり栞。今日は早いなぁ」
「ちょっとね、今日は……。お父さんこそ、ナニ?」
「自分の家に入るのに理由がいるのか?」
「べつに……」
カギが、開いたのでドアを開けようとすると、お父さんと反対側の通路から。
「こんにちは栞ちゃん」
お父さんの助手という女子大生の江戸山花菜さんだ。
給料も出ないというのに助手をしている心霊マニアで、霊感もあるらしい。
インチキ親父の書いた本読んで、押しかけてきた。
「江戸山君あった?!」
「ええ、湯フォーエヴァ焼きソバ特盛とエナジーマンドリンクですよね」
「ソレは良かったエナジーマンドリンクは売り切れてる事が多いからな」
「お父さん、遅いお昼?」
「ああ、ちょっといろいろしててな」
アレ、江戸山さんが赤くなった。ナニしてたのかしら?
隣の部屋は研究所とかいっても、学校の理科室みたいのじゃなく心霊関係の本が並んだ本棚の書斎部屋と応接室。
まあただのお父さんの趣味部屋だ。
一応心霊研究家だから趣味ではないけど。
部屋に入ると、すぐにダイニングキッチン。
四人がけのテーブルで、嬉しそうにお父さんはエナジーマンドリンクのシールをはがしてる。
「やったぞ! 江戸山くん当たりだ。エナジーレディのフィギュアが当たった。やはり君はスゴいな、君が買ったエナジーマンドリンクは皆、当たりだ。おかげでエナジーマンフィギュアがコンプリート出来た。嬉しいぞ江戸山くん」
「先生、まぐれですよ。焼きソバ食べたらフィギュア、もらってきますね」
「エナジーマン」は、最近お父さんがハマってる特撮ドラマだ。
お父さんは、特徴ドラマやアニメ好きのおっさんオタクなんだよね。
わたしも嫌いじゃないが、人気アニメの「プリティ・セーラーエンジェルス」は、わたしより詳しいお父さんって。
実写化されて、ライブ・アクションステージには、わたしを連れて、お父さんが付き添いの親として何回も行ったのは、今は思い出話。
今のわたしは表産道46というアイドルグループのファンだ。
実は高校に入る前に親友のミドリとオーディションを受けたが落ちた。
翌日。背田谷駅前。
「ヤバ、昼寝してたら寝坊しちゃた。栞たち駅出たと、急がなくちゃ。あ、あの人は」
駅前にあの昨日の議員さんとキレイな女の人が。
昨日、気になってママに聞いたらポストにチラシが配られていたと。
見たらあの人のポストカードじゃない。東部正治っていうのか。
その東部の隣の美女は奥さんかな?
横を通る時に東部と目が合った。あたしはペコリと頭を下げて。
「東部さんですよね、頑張ってください!」
「あ、どーも。」
「あら、兄さん。お若いファンね。お嬢さん中学生?」
兄さんって、奥さんじゃないんだ。
「ちょっと、嬉しいです。あたし私服だと、よく小学生に間違われるんですよね。中学生じゃなく高校生ですまだ、選挙へは行けませんけど。もう少しです。そしたらあたし、票を入れますから」
「あっ、待ってお嬢さん!」
「おい、子供だぞ」
「高校生よ、体は大人だわ。わたし、あの子気に入ったの」
「だから、子供はダメだ。アシがつきやすい」
「お嬢さん、良かったら兄のパーティーに、こない」
「え、パーティー?」
「そう、今日は兄の誕生日なの」
「誕生パーティーか。あ、でもあたしプレゼントとかは……」
「そんなのお嬢さんから、いただかないわ。美味しいケーキやごちそうが出るわよ議員さんのパーティーを一度味わってみたら。めったにないチャンスよ」
「でも、あたし友だちとライブに行く約束が」
「風邪でもひいた事にすれば。ライブ代は、わたしが払ってあげるから。パーティーの料理はライブ代以上よ」
「ホント……。じゃ行こうかなぁ」
背田谷住宅地の議員の家の近く。
「あれ、愛さん。また会ったね」
昨日。彼女、病院坂薫と別れて、この家を一晩張り込んだがナニもなかった。
これから二日目だ。
「あたし、近くの友だちの家にお泊りしてたの。愛さんも?」
「うんまぁそんなとこ」
「あ、またココに来ちゃたね」
「この家の前の道は駅に近いからね。ソレにわたしは、ナニも、見えないよ。今もやっぱり……魂の群れ見えるの?」
ソコへ黒塗りの高級車が着てガレージが開いた。クルマの中から、男と女、ソレに女のコが。
「ああ、アレ。黒のっぺだ、愛さん」
つづく




