いいとも
153話 いいとも
「なんか、病室。落ち着きましたね」
午後のリハビリに大熊波瑠さんが来て。
「はあ……朝は、おさわがせしました」
「あら、お出かけ?」
わっ、獄門島さんだ。
車椅子のボクを見て。
「これからリハビリに」
「そうですか。それでは、また。コレ、シュークリームです。看護婦さんも良かったら。多目に買ってきましたから」
「あ、どーも。おかまいなく」
「獄門島さん、この人はリハビリ士さんです」
「大熊です。お母さんですか?」
「わ、また。大熊さん、年上の女性を皆、母にしないでください」
「面白いヒトですね……」
獄門島さん少し怒こってる?
「彼女も、会社の……」
「も。今日はもう誰か? 等々力さんかしら」
「あ、いや青沼さんとか金田一さんとか病院坂さんも……」
獄門島さんは帰るので。
今、同じエレベーターの中。
「田守くんって、甘い物が好きなんですね。午前中にも、お見舞いの方がたい焼きを持って。それに、モテモテですよね。来る人は女の人ばかり……」
「ですね、田守くん甘い物が好きなわりに太らないよね。それに……モテるのは会社の七不思議なんです」
「獄門島さん、七不思議のあと六つを教えて下さい」
「えーと、元メイドの金田一さんにぃ。何してるのか謎の社長秘書八ツ墓村さん。その社長が居る社長室も謎よ。使ってるのか、わからない秘書室とか、それから……」
ツッコんだつもりで言ったのに獄門島さんマジで数えだした。このヒト、こういう天然なとこも。
「いつ来て。いつ帰るのか、わからない蔵中さんとかも……」
「獄門島さん、あなたがボクには一番の謎です」
「わたしですか……。そういうコトにしておきましょう。そしたら八不思議だね。田守くん」
「エッヒヒヒ。なんだか、楽しそうな会社ですね。で、なんの会社なんです?」
「あら、田守くん。言ってないの」
「変人だらけのおかしな会社と笑って、ごまかされましたエッヒヒヒ」
「その通りの会社です。寿探偵社っていいますけど結婚相談所じゃありません」
「寿……探偵社。結婚相手とか、の調査してるんですか? それとも相手を探してくれるとか」
「まあそんなところです」
ウソだ。獄門島さん。
「そうなんだ。じゃわたしも探してもらおうかな」
「あなた、病院じゃモテモテなんじゃないかしら。可愛くて、ほがらかだし」
「そうでもないですよ。お爺ちゃんばかりだし……」
わからなくもない。
「大熊さん、結婚相談所じゃないと、さっき。それに相手探しはしてませんから」
「ですよね。あ、ごくも……」
「獄門島です」
「この田守くん、もらっちゃていいですか?」
「いいとも……でも、ライバル多いですよ」
「ナニ言ってるんです、獄門島さ〜ん、大熊さ〜ん」
つづく




