まだ入院中です田守くん
152話 まだ入院中です田守くん
「田守く〜ん。リハビリ行きましょ」
なんとか、立てるようになって、リハビリをすることに。
ボクのリハビリを担当してくれる女性。
大熊波留さんが朝食後、部屋にむかえに来た。
まだリハビリは三日目だ。
大熊さんは名前と違い小柄だ。
ショートヘアーでボーイッシュな感じ。
で、いつも笑顔でいて、よく笑う娘だ。
歳はボクより少しだけ、上のようだ。
上だと思ったのはボクを君付けで呼ぶからだ。
同じくらいか、年下にしか見えない。
さんとか、くんとか今はあまり関係ないようだけど。社会に出るとやはりまだ。
さすがにまだ、ちゃんと歩けない。
リハビリ・ルームに行くのは車椅子だ。
大熊さんが押してくれる。
はじめて車椅子に乗り自分一人で移動したら腕がすぐに疲れた。
「今日の朝食は美味しかった? エッヒヒヒ」
「ボクは入院、はじめてで。人に病院食は不味いと聞かされてましたけど、そんなコトなく」
「美味しかった」
「ええ。ボク、朝はコーヒーとトースト一枚でしたから。ここではホテルみたいな朝食ですね」
「まあ、田守くんは病人じゃないから普通食だからね。味とか常人向けなのよ。それに、この病院の食事は美味しいと評判なのよエッヒヒヒ」
エレベーターで、一階にあるリハビリ・ルームに。
「おはようハルちゃん」
エレベーターには入院患者の中年の女性が。
「鈴木さん、おはよう元気?」
「元気なはずないよ。入院してんだからホッホホホホッ。相変わらずハルちゃん。いつもの病院ギャグね」
「エッヒヒヒですね」
「あ、私ね来週退院するから、お世話になったねハルちゃん」
「そうですか、お大事に。また来てくださいね」
「そうね……。外来のときに来たら寄るわ、リハビリ・ルーム」
病院で、また来てください。もギャグなんだろうな。
エレベーターは、一階に。
退院すると言ってた女性は売店の方に。
「あの女の人。私が、はじめて担当した患者さんなんだよね。多分忘れないだろ……。鈴木なんだっけエッヒヒヒ」
「そうなんだ。大熊さんって、みんなに好かれてるよね」
病院で彼女を知らない人は、いないんじゃないかと思うくらい、皆声をかけてくる。リハビリ士だから挨拶は、あたりまえだろうけど。素通りする人を見たことない。必ず一言は、ある。
「おはようございます!」
朝は大きな声でリハビリ・ルームに入る。
「田守くん立ってみて、今日は少し歩いてみようか。あ、ソコは立てなくてもいいよ。まあ元気な証拠でもあるけど」
「ハハハハ、お兄ちゃん。おハルに手を出すな。おハルは、わしのモンだからな」
「佐久田さん、大熊波瑠二十二歳。まだ、誰の物でもありません!」
「あれ、このまえは二十五って言ってなかったっけ」
大熊さんは、結局いくつなんだ?
「立ってませんよ。大熊さん、そんなをコト指して大きな声で言わないでください」
ま、こんなとこもある大熊波瑠さんですが、彼女のキャラのおかげでリハビリも楽しい。
周りの人も明るくする病院向きのイイキャラだとボクは思う。
約、一時間ほどの午前のリハビリを終えて部屋に帰ると。
「どう。脚の具合は? リハビリしてるんだってね」
青沼さん!
「仕事が、かたずいたんでね。面接時間外だけど……。やっと見舞いにこれたよ。カワイイナースちゃんに世話になっててウハウハなんじゃないかって、等々力さんが。ホントだね」
「そんなコトありませんよ。それに彼女はナースじゃありませんし……」
「はじめまして、盛太くんのリハビリ担当の大熊です。お母さんですか?」
「大熊さん、失礼なことを僕の会社の上司です」
「それは、すみません。美人の方なので」
あの大熊さん、なんで美人だと、ボクの母?
母は、青沼さんと比べたら。
大分落ちる。
「こんにちは~田守さ〜ん。妹さんに頼まれて、かえの下着を持ってきました……」
「あ、ありがとう金田一さん」
今日の彼女は会社でのメイド服の上ににブルゾンを着ている。
下のフリフリのスカートは、来るとき目立っただろう。
「忙しかったの? その格好は。妹のヤツ……金田一さんに頼むなんて」
「違うの、田守さん、妹さんは関係ないのよ。はじめ社長がメイド服で田守さんを慰めてこいと。でも、さすがに営業じゃないからって、わたしブルゾン着て……」
さらに。
「ごきげんよう田守さん。お昼に食べて。田守くんの好物。プリプリ庵のたい焼き買ってきたわよ」
院内で、白い日傘をかぶったロリータファッションの病院坂薫さんが現れた。
ものだから、大熊さんが。
「あのぉ……田守くんって、どんな仕事してるんです?」
つづく




