吉日のアキバ
107話 吉日のアキバ
土曜の夜にネコ耳少女に変形したAIネコロボペットで明日の日曜を占った。
また。
「ご主人様の好きな場所ヘ行けば良いことがあるでしょう」
と。
ボクの好きな場所は、やっぱりあそこだ。
翌日アキバの街中。
中央通りは、歩行者天国に。
コスプレ娘の撮影会や歌を披露する新人アイドルグループ。
若手漫才師のストリートパフォーマンス。
日曜のこの通りはお祭り騒ぎだ。
「カワイイ!」
ボクのリュックから顔を出してるネコ耳少女のチビを見た知らない女の子が。
「ソレ、カワイイですね。全身見せてもらってもいいですか?」
「いいですよ」
ボクはリュックをおろしてチビを取り出した。
こいつはロボなので二足で立つ。
「わぁー立った。写メ撮っていいですか。カワイイなぁ」
「いいですよ」
それを見ていた。もっと年上の女性が。
「あら、ホントカワイイ。私もいいかしら」
カメラを出して写した。
カメラは安ぽいデジカメじゃなく、大きなレンズの本格的なヤツだ。
ボクは詳しくないので、名前とか知らないけど。この女性は、カメラマニアか、プロの人かな。
いろんな角度で撮り、玄人めいている。
「キミ、コレを何処で手に入れたの。私も欲しくなっちゃた」
「実は、もらい物で。わかりません」
「そうか〜残念ね」
女性は、黒いサングラスをかけて雄勝町方面へ去って行った。
キレイなおねえさんだったなぁ。
「あら、カワイイ」
今度は全身真っ白ロリータファッションの美少女だ。
曇りだが傘をさしてる。でも傘もファッションの一部なんだろうフリフリの布が傘の周りに。
ハッキリ言って本物のロリータをはじめて見た。それも美少女だ。いくつだろう。ボクと同じくらいか、もっと上かな?
彼女は、しやごんで、チビの両手をもち。
「この子のお洋服、イマイチね。もっとカワイイお洋服着せてあげて」
「はあそうですか。さすがにボクはこういった人形のファッションには、うといもので。それにこの服は初めから……」
彼女は、しゃがんだまま上目づかいで見た。
ドキドキした。
「コレもカワイイけどね。もっとカワイイお洋服を……」
「き、キミもカワイイね。ボクと……」
「あの、ストップ。ナンパは、なしよ。あの、あなた……獄門島さんの知り合い?」
「えっ獄門島さん……なんでわかるの?」
「キミの頭の中に獄門島さんの記憶がたくさん見えるけど」
「え、記憶。そんなものが見えるのキミ?」
「獄門島さんに思いを……あ、ゴメンね。うっかり、よけいなことを」
まだ、ボクを。他になにか。
「最近黒いサングラスの女を見ましたよね……。」
と、言って立ち上がりアキバの駅の方に歩いて行った。
「なんだ、あの子は……。カメラの女性のことか……」
追って。ストーカーみたいなコトは、したくない。でも気になる。
「あら、この子。不思議な、からくり人形ね」
わぁっ今度は黒いロリータだ。
「この、オートマタ、キミが、作ったの?」
今度はオートマタと、きたか。この立ってるだけのチビが動くのが、わかるのかな?
「いえ、もらいもんです」
「最近のAIって、魂とか入っちゃうのかしらね。意志みたいなものを感じる……わけないか。ねえキミ、コレ動かして見せて」
「おい、チビ。挨拶をして」
チビは両手を膝上におき腰を曲げお辞儀をした。
「いい動きね……いいモノ見せてくれてありがとね」
黒いロリータのおねえさんは、ボクの手をとり手の甲にキスをして去った。
おわぁあ。
彼女も美人だった。
なんだか、いいことばかりおきる。やっぱりココに来て正解だ。
また、獄門島さんに会えるかな。
白いロリータの子も獄門島さんを知っていたな。あの子、獄門島さんとどんな関係かな。
しかし、あの子は黒いサングラスの女に会ったコトを。異能力者かな?
ボクはチビを抱き上げ聞いた。
「チビは今まで、会ったオンナのコたちは、なに者かわかるか?」
「いいえ。わかりません。でも、顔や音声は登録しました」
だよな。
「お腹すいたな、チビのオススメの店とかあるかい?」
「お待ち下さい……」
今日は、ほぼアキバに。
カワイイメイドさんやキレイなおねえさんたちとチビがきっかけで、話が出来たり。LINEこうかんしたりで、ネコのときのチビの占いより楽しい一日だった。
家の最寄りの駅まで帰ってきた頃は暗くなっていた。今日は夕飯までに帰る約束に。
「こんばんは」
帰り道で声をかけてきたのは。
サンクラスをかけて去ったあの美人だ。しかし、夜道でサングラス?
さっきまで歩いてた駅前の商店街なら、わかるが。ここは、住宅街でそんなに明るくもない。見えにくいのでは。
「あなたの、AIロボ。回収させてもらいます」
「回収?」
「ソレは、あなたが持っていては、いけないモノと判明しました」
判明? そういえば、やたらといろんな角度でチビを撮ってたけど、あれは。
「あなたにソレを渡した人は誰かしら」
「チビは、お爺ちゃんが……」
「そのお爺様に、渡した人は?」
「知らないよ、お爺ちゃんだって知らない人だって……」
〘ピーッ、コチラは確保した、あとはブツの回収だけだ〙
「了解!」
サングラスのおねえさんは、イヤフォンで、話を終えると、ボクに警棒のようなものをあてた。
身体がしびれて動けなくなった。
おねえさんは、リュックからチビを取り出した。
そしてバッグから、ヘッドホンみたいなモノを取り出しボクの頭にかけた。
今度は頭の中が、真っ白に。
「おい、イズミ」
「お爺ちゃん。お帰り!」
「イズミもどこかの帰りか?」
「うん、アレっ今日は何処に行って来たんだっけ……」
「おい、イズミ。ボケるのは、まだ早すぎるぞ!」
「アハハハ。そうだよね」
「久しぶりにママさんの夕飯が食える。早く帰ろう」
「ああ」
アレ、なんかお爺ちゃんに言いたいコトがあったような。
「コチラ、TP35211。回収終了。帰還お願いします」
〘了解!〙
「キャツ!」
「どうした! 由美」
「ソコに居た女の人が、消えたわ」
「消えた……まさかぁ幽霊でも見たか。そこんとこで前に女が刺されて死んだんだ」
「ええっウソ!」
「ウソだよ。ハハハハ」
『猫耳少女サプライズ』の巻 おわり
つづく




