ジャンプ一発
103話 ジャンプ一発
久々に? 会ったテマリが、能力を試したいから付き合ってと。
千葉県の釜鳥にある、彼女のマンションに。
と、言うのは渋屋の駅前から瞬間移動で外房線千葉駅の先にある釜鳥駅まで翔んだんだ。
コレは、彼女の異空間移動能力を魔術に応用して、跳んだ瞬間移動だという。
「この魔術が完璧になれば、もう電車やバスはいらないわ。魔女が移動に使うホウキや使い魔すら、無用になりますわ。とりあえず釜鳥まで問題なく翔べましたわね愛さん。ここまで来たからウチまで……」
と、言うわけだ。駅から大分離れた田園地帯にある実家へも。
大きな農家の蔵が彼女の部屋だ。
和風の蔵の中がまるで、ハロウィンの飾り付けのような内装。あのオレンジのカボチャがないだけだ。
ロフトのようになった。二階に彼女のベッドが有り、書斎けん寝室になっていると。
ちょこっと見たが、本棚には魔術関係らしい本が並んでいて、洋書の数も多かった。
一階には大きなテーブルが置かれ実験器具等が並べられてる。
床に大きな魔法円があった。あの悪魔を呼び出したりするヤツだ。
そんなコトしてるのかテマリ。
そして暖炉が有り、そこに大きなカマが。
「このカマで、何作るの?」
「ああ、魔女には付きもののカマだけど、手に入れたのは、いいけど使ったことがないの。アンジェラにも聞いたけど、別に子供でも煮て喰うわけじゃなし。今は使い道がないようよ」
「って、まえはカマで子供を煮て食ってたの?」
「アンジェラは、おとぎ話だって言ってたわ。あんな、おとぎ話が魔女のイメージを悪くしたと、怒ってたわ」
「そういえば、ホウキに乗った魔女も、おとぎ話だって言ってたよね」
「まあホウキにまたがって飛ぶってオマタ痛そうよね。乗っていた魔女も居たかもしれないけど乗り方が違うって。履く方を前にして飛んでたって……なんか、かっこ悪いわよね」
「だからやめたのかしら。ところで、あなたの実家は農家なのね。いつもゴスロリ姿なのテマリは?」
「ええ、でもこの辺も大分ひらけてきたから、違和感も減ったわ。駅前にショッピングモールが出来たし。モール内のショップで、お洋服を買うことも。まえは駅の逆方向に出来たショッピングモールまで行かなくてはならなかったの。歩くのはちょっと遠かったわね。お母様が軽トラで行ってたわ。でも、瞬間移動魔法が完成すれば、知ってる所なら何処へでも」
「それは便利ね。テマリは免許証とか持ってないの?」
「愛さん、クルマを運転するロリータって見たことあります?」
「言われてみればないなぁ〜。その格好でクルマと言えば馬車かな……」
「ですよね。ホントは電車なんか……乗りたくないんです」
「おーい。てまりぃ居るよなぁ」
「お婆ちゃんだわ。何かしら?」
「焼き芋が焼けたから食べないか?」
「食べるわ。今、お友だちが来てるの」
「じゃ持ってきてやっから、一緒に食べな」
「ありがとうお婆ちゃん! 愛さんウチの畑でとれたサツマイモは美味しいですわよ」
蔵に入る前に見た、家は百年以上続く農家で見るからに豪農の屋敷。
なんてアンバランスなゴスロリのテマリと家。
ロリータの姿で地元を歩いてたら目立っただろうに。
と、あぜ道を歩くテマリを想像してしまった。
お婆ちゃんが持ってきてくれた焼き芋は、すごく甘くて美味しかった。
しかし、いつまでもココには。
「テマリ、悪いけど。仕事があって、早く渋屋に帰りたいのだけど」
「あら、それなら待って」
テマリは、蔵から出て、しばらくするとコンビニ袋にお芋を入れて戻ってきた。
「コレ、お土産」
なんだか、田舎のお爺ちゃんチに遊びに来たときみたいだ。
「愛さん、その魔法円の中に入って。じゃ行きますわね!」
テマリは人差し指を立て、来たときとおなじく呪文を唱えた。
「トーテス・グン、イス!」
あっと、言う間に渋屋の駅前に。
ん、おかしい。
「テマリ、失敗よココ渋屋の駅じゃないわ見て!」
「渋谷って……。ここはアンジェラの居る異世界だわ。ごめんなさい愛さん!」
つづく




