少しだけ喋ったことのある同年代同性の紹介で知り合った人と婚約することになりましたが、その話はすぐに壊れてしまいました。
両親が冒険者だったということもあってか、私は、幼い頃から女でありながら剣を振ることが好きだった。周囲の娘たちがお茶会や男の話を楽しんでいる時も、私は剣を握っていた。そんなこともあって変わり者と言われていたけれど。でもべつに何か具体的な嫌がらせをされるわけではなかったので、気にしないでいた。好きなことをして生きていた。
そんな私も十八歳になると婚約者ができた。
過去、一時期だけ、少しだけ喋ったことのあった同年代の女性。その人の紹介で知り合ったオズワイドという男性が、私の婚約者。一度顔を合わせて、そこから、流れに乗るようにして婚約まで至ったのである。何を考えていないうちに婚約者同士になっていた、というような状況であった。
しかし、そんな関係も長くは続かず。
オズワイドは短期間で私を愛さなくなった。
そして――。
「お前との婚約、破棄とする」
ある穏やかな晴れの日、ついにそう告げられた。
「婚約破棄……ですか」
「ああそうだ」
出会ってすぐの頃は、彼も、私に対して甘い言葉をかけてくれていた。
でも今はもうそんなことはなくて。
私への情なんて、とうに消え去ってしまったみたいだ。
「そんな……なぜです?」
「他にもっと素敵な人を見つけたから、それだけだ」
「本気で言っているのですか?」
「もちろん」
「そう……本気、なのですね」
「当たり前じゃないか、こんな質の悪い嘘をつくわけがないだろう。そんなことをしたら迷惑じゃないか」
私とて彼を心から愛しているわけではない――だからべつに彼に執着して引っ付き回る気はない。
終わってしまうのならそれもまた運命で、それでも構わない。
「そうですか、残念ですけど……分かりました、では、これにて失礼いたします。さようなら」
こうして私とオズワイドの関係は終わった。
◆
あれから五年。
私は剣を使う冒険者として大成功を収めた。
今ではもう、この国で三位以内には入るくらい優秀な冒険者となっている。
人々から私へと向けられるのは、称賛の眼差し。
そう、前に一度魔物の群れによる襲撃を一人で撃退して以来、この国において英雄となったのである。
こんな未来は予想していなかった。
きっと何だかんだで皆と同じように婚約して結婚して子を生んで――となるのだろうと思っていた。
けれども私の人生はそういう当たり前なものではなく。
待っていたのは、自分だからこそできること――それを活かして生きてゆくという道だった。
ああそうだ、そういえば。
オズワイドはあの後とても可憐な容姿の女性に惚れてその人と驚くべき早さで結婚したそうだが、結婚後彼女が非常にわがままな娘であることが発覚し、尻に敷かれるというような状態となってしまったそうだ。
彼はもうずっと妻に厳しく接され、まるで奴隷か何かであるかのように扱われているらしい。
だがまぁ、そういう人との道を選んだのは彼だ。
彼の人生は彼が決めたものなのだから、どんな目に遭おうとも可哀想ではない。
◆終わり◆




