王女ですが、元婚約者が処刑されました。~女好きが酷すぎるうえ婚約破棄されて逆恨みし襲おうとするなんて、愚かの極みですね~
我が名はフェミリア、この国の王女だ。
私には婚約者がいる――否、いた。
彼の名はオッズ・ア・クロフトネイン。
金持ちの息子だった。
そう言えば条件は悪くないようだが、お金の有り無しなど気にならないくらいの問題があった。そう、女性関係の素行だ。彼は非常に女好きであり、王女の婚約者という位置にありながら城では侍女を街では一般市民の女性を誘惑し、深い関係になろうとすぐにするのである。
明らかに問題のある振る舞いだったので、こちらから婚約破棄した。
だが彼はそのことを恨んでいたようで。今朝、散歩中に、突然柱の陰から飛び出してきた。その手には刃物が握られていて、明らかに私を狙っている様子だった。もっとも、従者と共に歩いているところだったのですぐに捕らえられたのだが。
拘束後彼は「裏切り者の王女め死ね!」とか「俺を捨てやがって許さねぇからな!」とか叫んでいた。
はぁ……まったく、厄介な人だ……。
しかしもう彼に会うことはないだろう。なぜって、恐らく近いうちに処刑されるから。王女に手を出そうとした罪は重い。恐らく、いや間違いなく、彼は数日以内に死刑となるだろう。
◆
「オッズ・ア・クロフトネイン、処刑完了しました」
「あらありがとう、報告お疲れ様」
あの事件から三日。
その報告はついに来た。
「最期、何か言っていた?」
毎回そういうことを聞くわけじゃない。
でも今回だけは気になった。
恐ろしいまでの行動力を持った彼の最期の言葉。
「はい。『なんで俺を愛さないんだ! 物分かりの悪い王女!』などと、無礼なことを叫んでおりました」
「そう……相変わらずね……」
やはり彼は反省しなかったようだ。
もし処刑されず生きていたとしても、きっと反省することはなかっただろう――最期の言葉を聞けば簡単に分かった。
「ええ、無礼にもほどがあります。それだけでも処刑なくらいですよ! 本当に! 何と無礼な!」
「まぁまぁ落ち着いて」
「……はい」
「ありがとう、下がっていいわ」
「承知いたしました」
オッズはこれで消えた。
彼はもう二度とこの世の空気を吸うことはない。
◆
あれから数年、私は、城内警備隊の中で最も優秀だった青年と結ばれた。
この結婚は国王である父が決めたもの。ある意味、強制的なものとも言えるだろう。しかし彼は私と結ばれることを嫌がってはいないようで。むしろ喜んでくれているような雰囲気すらあった。
私も彼と結ばれることができて嬉しい。
信頼できる人と歩めること、それが一番素敵なことだと思う。
◆終わり◆




