裏で他の女性と親しくしていた彼との婚約は破棄となりました。~彼には明るい未来はないでしょう~
「どうして、そんな……他の女性と……?」
その日まで私は知らなかった。
婚約者ロベオが裏で恋人のような女性を作っていたことは。
「この際言ってやる! お前にはもう飽きてたんだよ」
「そんなこと言っていなかったではないですか」
「当たり前だろ、そんなこと一方的には言いづらいだろうが。馬鹿かよ」
「ですが! 気持ちは言ってほしいとお願いしたではないですか!」
「はっ、馬鹿か。そーんな正直に言うわけないだろ」
ああそうか、私は馬鹿だったのだ。
ロベオを真っ直ぐに信じていた。
彼が正直者だと思っていた。
……それ自体が馬鹿げたことだったのだろう。
「貴女が婚約者さぁん? 奪ったみたいになっちゃってごめんなさいねぇ~、でも! 勘違いなさらないで? あたし、奪ったわけじゃないですからぁ。ロベオくんがあたしに惚れちゃっただけ! ね? 分かった?」
「そういうことだから、もうお前は要らない。こうなったらちょうどいい、はっきり言わせてもらうが……婚約は破棄する!! じゃ、さよなら」
こうして私は切り捨てられた。
結局ロベオは私を欠片ほども愛してはいなかった。彼が愛していたのはあのセクシーな女性だけ。私は本当に、ただの婚約者でしかなかったのだ。そこには、情も愛もなかった。
……もう彼について考えるのはやめよう。
私は私の足で歩いてゆくしかない。
そうやって行く未来にしか、きっと希望はないのだろう。
もう誰にも頼らない。
◆
あの婚約破棄から五年。
私は今、王国防衛隊に加入し、国と国土を護るために日々訓練を重ねている。
女性隊員はまだ少数だ。けれども女性だからといって下に見られるかというとそうでもない。だから女性である私にだって居場所はある。女性であっても、男性であっても、頑張れば成果をあげればきちんと評価されるのだ。
その点、この世界は偉大だ。
ちなみにロベオはというと、あの後も複数の女性とくっついては離れてを繰り返していたようで、段々評判が悪くなっていったようだ。で、最近ではもうまともな家柄の女性からは相手にされなくなってしまったそうだ。それは、女性関係の悪さが明るみに出たからである。
また、それに追い打ちをかけるように奇病を発症し、それによってロベオはさらに精神を痛めつけられることとなってしまったそうだ。
でもまぁ……自業自得だろう。
これまでの行いの悪さが今その身に現れている、と言っても不自然ではない。
◆終わり◆




