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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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湖の畔にて婚約破棄を告げられたのですが、直後彼は大量の魔物に襲われ……。

 この国で最も美しいとされている湖であるポッポン湖の畔にて、私は今、婚約者の青年オルディーノと向き合っている。


「ご用とは何でしょうか?」


 いきなり呼び出されたので何の用かまではまだ聞いていない。

 しかし彼は真剣な面持ちでいる。

 どうも面白い話や楽しい話ではなさそうなのだ。


「ああ……重要な話だ」

「はい」

「君との婚約なのだが……破棄とすることにした」


 オルディーノは淡々としかしどこか切なげに告げてきた。


「婚約、破棄……ですか?」

「そうだ」

「……本気で仰っているのですか?」

「ああ! もちろん!」


 どうやらオルディーノは私への感情を既にほとんど失っているようだ。


 彼は冷ややかな目つきをしていた。


 刃のような。

 氷のような。

 剣みたいな。


 ――そんな目つき。


「そうですか……残念ですが、分かりました。では、そういうことで、さようなら」

「ああ、さらば」


 オルディーノは方向転換して歩き出した――が、刹那、湖から大量の魔物が飛び出してきた。


 すっぽんに似た魔物ポッポスンだ。


「うわっ!」


 それらは一斉にオルディーノに飛びかかった。


 全身に吸い付かれる。


「ぎゃ! わ! おわわ! わ!」


 ポッポスンたちに吸い付かれたオルディーノは、その吸い付きの威力に耐え切れず、やがて「ぎゃああああああ」と痛々しい悲鳴を放ち始める。


 彼は皮膚を吸い取られ、数分以内に亡くなった。


 最初は騒いでいたオルディーノだが、あっという間に静かになってしまった。


 ポッポスンの吸引力は凄まじかった。


 この時初めて、そのことを思い知った。


 その力は時に人をも殺すのだと。

 やはり可愛くとも魔物は魔物なのだと。



 ◆



 あれから数年、私は気の合う人と結婚できて幸せになれた。


 毎日はとても楽しい。

 彼といるとワクワクできる。


 こんな日々が長く続けばいいな――と思いつつ、少しずつ未来へと進んでゆくのだ。



◆終わり◆

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