婚約破棄されたし、取り敢えずニラ摘む。~表現が少々不自然なのは流してください、って何これ!? タイトルがめちゃくちゃ!?~
それは、ありふれた何ということのない日だった。
「お前との婚約は破棄とする」
婚約者でデザイナーの青年レイヴィオから人生に関わる大きなことを告げられてしまった。
「一応理由は言おう。お前の良くないところは、ファッションセンスに特別さと抜きんでているところがないというところだ。これは何よりも大きな悪いところ。特に、俺のような人間からすれば、お前みたいな平凡を絵に描いたようなファッションセンスの女は到底受け入れられない――まぁ簡単なことだろう、それが婚約破棄の理由だ」
何やら長い理由の説明を受けた。
でも正直よく分からなかった。
それに、そういうことを私に求めるのは違う、とも思った。
彼はデザイナーだろうが私は違う。
その差を理解せず、ファッションセンスとか何とか言うとか、そういうのはどうかしていると思う。
人は誰しも得意下手を持っているもの。そして、いろんな差があるものなのだ。それが普通。なのに彼はそれを理解せず自分の求めるものばかり押し付けている。
ま、婚約破棄となったことは事実だ。
今さら何を言っても意味なんてない。
ならば私は――ニラを摘む!!
……あれ? 表現が変だろうか? もしかしたら、収穫する、の方が良いかもしれない。
「ふ、ふふふふふ、ふふふふふすふすふすすすすす」
鎌を使い、ニラを刈り続ける。
「ふ、す、ふ、す、すすすするすすする、ふふふふ、ふふふするる、するるるるるる、ふるするふるるするるるるる、ふ、ふ、す、すすすす、ふふふふふふふふ」
ひたすら刈りとり続ける。
どんどん進める。
「ふるふるふるするふふふふふふふふふ、ふ、る、ふ、ふ、ふる、ふす、す、すすすすす、ふ、すすす、ふるするふる、す、するるるるるるるるふるふふふふふふるるるるる」
自宅の近くの広い畑に植えてあるニラを数時間で刈り取ることに成功した――そう、私には『スキル・十倍速狩り』がある。
だから一般の人より圧倒的に素早く刈ることができるのだ。
こうして素敵な一日が終わった。
◆
あれから数年、私はニラ刈り名人として国王から表彰されるまでになった。
今はニラ界の女王となっている。
……そんな名称はおこがましいとは思うけれど。
一方レイヴィオはというと、あの後、デザインを盗まれたことでやる気を失い、ある日突然仕事を辞めてしまったそうだ。で、以降は、ほぼ一日中自室にこもっているようになってしまっているらしい。彼はどこへも行かず引きこもり、ずっと何やらぶつぶつ言っているだけだそうだ。
……人の一生とは分からないものだ。
◆終わり◆




