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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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一番親しい友人が婚約破棄されました!? ~待っていたのは、想像していなかった未来でした~

 これは私の話ではない。

 一番親しい友人の話だ。


 その子リフレッティアは、十八の春、親に言われてほぼ無理矢理一人の青年と婚約することになった。


 外面を気にする両親だったから、周囲がそろそろ婚約とか何とか言っているのに自分ちの娘だけがそういうことになっていないというのが嫌だったのだろう――かなり急いでの無理のある婚約だった。


「仕方ないよ、親の意向だもん」


 リフレッティアはいつもそう言っていた。

 でもその表情はどこか切なげで。

 純粋に婚約を喜んでいるようなものではなかった。


 ちなみに、婚約者の名はレウトビッツといった。


 何でも、親が家業を営んでいる家の子息だそうで。噂によれば顔は悪くはないらしい。が、性格には少々難がある人だそうだ。


 そう聞いていたから心配していたのだけれど。


「酷いの、いっつも悪くばかり言うのよ」

「ええ……」


 その心配は杞憂ではなかった。


「少しでも意見を言ったらね、『お前みたいなクズを拾ってやったんだから~』とか何とか言って、それ以上意見を言えないようにするの」


 やはりレウトビッツは良い人ではなかった。


 可愛くて、優しくて、包み込んでくれるようなリフレッティア。

 その彼女に対してもそんな心ない発言をするなんて。

 どう考えても善良な人とは思えないし虐める気満々としか考えられない。


「何それ! 酷くない!?」

「傷つくわ」

「リフレッティアにそんなことを言うなんてあり得ない!」

「……ありがとう」

「気にしちゃ駄目よ!」

「うん、そうする。そう言ってもらえて嬉しいわ」


 そんなことを話した日から数日、リフレッティアはレウトビッツより婚約の破棄を宣言された。


 理由は『口ごたえが多いから』だそう。


 なぜそんなことを平然と言えるのだろう? 謎でしかない。夫婦ならお互い意見を言い合って話し合ってやっていくべきではないか。なのに彼は意見を言うことすら許さず、しまいには『口ごたえ』なんて表現をして。それは正常か? そういうものか? ……そんなの理不尽過ぎるではないか。私はそういうのを正常だとは思いたくない。人を無理矢理押さえつけるようなやり方に賛同できるか? できるわけがない。


「婚約破棄、されたんだ……」

「そう、なの……」

「大丈夫?」

「ううん……無理、お母さんもお父さんも私が悪いみたいに言うもん……ただちょっと意見を言っていただけなのに……」

「そっか、そういう人たちだったね」

「そう……酷いわ……」


 婚約破棄されたリフレッティアは悲しんでいた。


 どうしてこんな酷いことができるの?


「家に居場所なんてない……」


 そう嘆く彼女を見ていたら、こちらまで心が痛んでくる。


 理不尽過ぎる。

 気の毒。


 皆、あまりに酷い。


「あのさ、リフレッティア」

「……何?」

「良かったら、だけどさ。うちに来ない?」


 だから提案してみた。


「え」

「うちでしばらく暮らさない? その方が健康にいいよ、きっと」


 幸い、私の両親はリフレッティアのことをよく知っている。

 事情を知ればきっと受け入れてくれるだろう。

 少なくとも無視してきたり嫌がったりといったことはないはずだ。


「でも……」

「どう?」

「迷惑、かけたくないの」


 リフレッティアはいろんな意味で気を遣っているようだ。


 気にしなくていいのに。


「大丈夫だよ!」

「……本当?」

「うん! 親に話してみるからさっ」

「……そっか、うん、分かった。じゃあ……お願い、しようかな? ごめんね、本当に、色々」

「任せて!」


 その後、両親からの許可も得られて、リフレッティアを自宅へ連れ帰ることができた。


「一人家族が増えたみたいで嬉しいわぁ」

「しばらくよろしくな!」


 母も、父も、リフレッティアが来たことを嫌がってはいなかった。



 ◆



 あれから数年、私たちの未来は想像なんてしていなかったものだった。


 私とリフレッティアは女性同士でありながら夫婦に近いような関係へと発展、パートナー登録制度を利用して女性同士でありながら正式に夫婦のような関係性になることができた。


 パートナー登録制度を利用したのは、この国においては、私たちが初であった。


 今はリフレッティアと楽しく暮らせている。


 ちなみに、かつて彼女を捨てたレウトビッツは、今は婚活をしているそうだが希望条件が厳し過ぎるためになかなか良い人と巡り会えず困っているそうだ。

 もう少し条件を緩くすれば……、と周囲からは言われているらしいが、レウトビッツは「そういうことは絶対にしたくない、妥協したくない」と言って聞かないそうだ。


 きっと、今のままでは、良い人には出会えないことだろう。


 だがまぁそれも当然だろう。

 なんせ素晴らしい女性であるリフレッティアを捨てたような人だから。


 彼女で駄目なら世の女性はほぼ駄目だろう。


 ただ、若干諦めてきているところもあるようで、最近は「女なんて、結婚なんて、クソだ!」とか「結婚したって良いことなんてない!」とかが口癖になっているらしい。


 ま、恐らくそれで心を守っているのだろう。



◆終わり◆

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