僕とエリーサ、二人は婚約者同士。いつまでもそんな関係でいられると思ってた。
僕とエリーサ、二人は婚約者同士。
いつまでもそんな関係でいられると思ってた。
ずっと仲良しでいられるって。
ずっと良き人生の友であれるって。
そう信じていたし、そのことを疑ったことなんて一度もなかったんだ。
婚約が決まった日からずっと、君と行く未来を固く信じていた。
でもどうしてかな。
どこかでボタンを掛け違えて。
二人行く道はねじ曲がり。
――変わっていってしまったんだ。
「ティップ、あんたとの婚約だけど破棄しますわ」
ある雪の日、エリーサがそんなことを告げてきた。
彼女は確かに彼女。
なのに少し違う。
今はもう、僕への良い感情なんてあまり残っていないのかもしれない。
「そんな。どうして、急に」
「言ったままですわよ」
「いや、だから、そうじゃなくて……」
「婚約は破棄。それはもう何を言われようとも変わることのない選択ですわ」
「でも……」
「何なんですの? あんた、しつこいですわね」
「で、でも! 僕は君のことが好きだよ! 今も!」
するとエリーサは眉間にしわを寄せて不快そうな顔をした。
「ったく、いい加減にして!」
高く鋭い声が二人きりの部屋に響く。
「みっともないですわよ、そういうの」
「で、でも、どうか……」
「やめて! もう去って! ……そして、二度と現れないでちょうだい」
そんなことになって、僕は婚約破棄されてしまった。
僕は少し落ち込んだ。
悲しかったのだ。
大好きだった人に拒否されてしまって。
でも、向こうが嫌がっているのに無理に近づくというのもどうかと思って――だから、エリーサに執着するのはやめておくことにした。
◆
あれから二年半が立ち、僕は、旅行でこの国に来ていた女性と仲良くなった。
そして結婚。
今はこの国で二人で暮らしている。
彼女はこの国の出身ではないけれどこの国で生きてゆくことを選んでくれた。
ありがたいなぁ。
ちなみにエリーサはというと、あれから少しして容姿最上級の男性を気に入り婚約したらしい。
ただ、その男性はとても浮気性で。
婚約者がいる時ですら複数の浮気相手と関わり続けているような人だったらしい。
で、エリーサは段々疲れてきて。
ある時、ついに、そのことについて強く言ってしまったそう。
それによって関係は壊れてしまったらしくて。
エリーサはその流れで婚約破棄宣言をされてしまい、怒りやら何やらの感情が渦巻き、それから徐々に心を病んでいったそうだ。
そして今、エリーサはもう無気力になってしまっているらしい。
僕ならエリーサにそんな思いをさせたりしないのになぁ。
僕なら彼女のために尽くすし彼女だけを見るのになぁ。
色々考えてしまった。
でも、それもまた彼女が選んだ道だから、僕はそこに対してあれこれ言う気はないんだ。
エリーサが選んだ道でエリーサがどうなったって僕には関係のないことだよ。
◆終わり◆




