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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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職場結婚だった私たち、夫の不倫で別れることになりました。~そして彼は居場所を失う~

 私と夫ウィルクスは共に高級宿で働いている。


 というのも、そもそも出会ったのが仕事場だったのだ。


 職場で親しくなって結婚した。

 よくある話。

 私たちもまたそういうありふれた始まりから生まれた夫婦なのである。


 だが最近、ウィルクスの様子がおかしい。


 私と話している時いつも上の空で、恋する乙女みたいな目をしていることも多く、たまに何もないところで宙を見つめてにやけていたりもする。


 以前はそんなことはなかった。


 なので、何だか変だなぁ、と思っていたのだが――。


「今夜どこの宿泊所にしますかぁ?」

「ああええと……北町のところとかはどう?」


 ある晩、仕事終わりに、目撃してしまった。


 ウィルクスが知らない女性と会っているところを。


「良いですね! あそこ! 素敵ですぅ」

「確かイルミネーションが綺麗だとか」


 そういえば最近「ちょっと残業があるから先帰っていて」と言われることが増えていたのだが――そういうことだったのか。


「ええっ、そうなんですかぁ! わたし、そういうの大好きでぇ、嬉しいですぅ!」

「料金は僕が持つから」

「やったぁ!」

「料理も注文していいよ」

「はぁ~い」



 ◆



「ただいま~」

「お帰りなさい」


 夜遅く、ウィルクスはいつもと変わらない様子で二人の家へ帰ってきた。


「ウィルクス、ちょっといい?」

「ん? 何?」

「今日さ、帰り、女性と会っていたでしょう」

「え」


 一瞬顔が強張った。

 すぐに笑みを取り戻したけれど。


 彼、どうやら、心当たりがあるらしい。


「あ、ああ、彼女は……勘違いしないで、ただの友人だよ。偶然出会ってさ、少しだけ喋ってたんだ」

「でも宿泊所に行ったのでしょう? それって友人と言えるのかしら」

「そんなことしてないよ!」

「私聞いたのよ、喋っているのを」

「そ、そうなの……? でも、勘違いだよ! そんな感じじゃなかったでしょ!?」


 ウィルクスは慌てているようだ。


「残念ながら、そんな感じに見えたわ」


 ここははっきり言わせてもらう。


「最近様子がおかしいと思っていたけれど……そういうことだったのね」


 そこまで言うと。


「し、仕方ないだろ! 僕だってたまには癒やされたいんだから!」


 急にキレ始めた。


「仕事に家庭にで疲れてるんだ! ちょっとくらいいいじゃないか、安らぎをよそで求めたって! べつに子ども作るわけじゃないし! ちょっと遊ぶだけだし!」


 もはやこれまでか。


「いいわ、じゃあ、離婚としましょう」

「えっ」

「離婚する、と言っているの」

「な、何で!?」

「癒やしを求めたいくらい家庭が嫌なのでしょう? なら終わらせてあげる。貴方だってその方が良いのでしょう」

「ち、ちちち、違うよ! それは違う!」

「もう遅いわ」

「待って! 違うよ! 違うんだ! そういう意味じゃないっ」


 急に慌て出すウィルクス。

 どうやら離婚は嫌みたいだ。


「お願い! 離婚はやめて! 離婚だけはっ……そ、そうだ、お金! お金払うから! だからどうかやめてっ……お願いします!」

「ごめんなさい、もう無理。さようなら」

「お願いします! 離婚しないでください! 一緒にいてください! 本当は貴女を愛しています! 誰よりも! だからどうか、どうか、離婚しないでくださいそれだけは許してください!」


 彼は色々言っていたけれど、私は別れることを決めた。


 その後。


「ねぇねぇ聞いた? ウィルクスさんって、奥さんいるのに他の女と遊んでて離婚されたんだってぇ」

「捨てられたってコト?」

「そうそう! それ!」

「ええ~。でもまぁきっと酷いことしたんだろうね」


 職場にこの話が広がり。


「他の女ととかないわ、最悪」

「そのようなこと、あり得ませんよね。酷いですよね。わたくしだったら絶対に許せなかったと思います」

「サイッテー!」

「美人の奥さんいるのに女好きとかきっつ」


 ウィルクスは周囲から色々言われるようになり、居場所を失った。


 そして徐々に休みがちになっていって。


 やがて退職した。


「ウィルクスさん、辞めるみたいですね」

「ふ~ん。ま、でも、いいんじゃね?」

「女関係でやらかした人の顔なんてみたくないですしねぇ」


 でも誰にも祝われず。

 お疲れ様、さえも言われず。

 寂しい退職となった。


 その後、彼は、あの女性からも振られたようだった。


 何でも、ウィルクスが仕事を辞めたことを知ると女性はウィルクスへの愛を失ったようで。


 結局ウィルクスは何一つ手に入れられなかったようだ。



 ◆



 あれから数年、私は今も働いている。


 が、もうすぐ退職する。

 良い人との結婚が決まったからである。


「もうすぐ退職ですね!」

「え、ええ……そうなんですよ」

「結婚ですよね~、羨ましいなぁ~」

「そんな」

「今度こそ! 幸せになってくださいね!」


 二度目の結婚だけれど、今度こそ絶対に幸せになってみせる。


「今までお世話になりました!」



◆終わり◆

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